表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/11

二話 幸せな結婚式

 その日の夜。私が求婚されたことを知った両親は、それはそれは喜んでくれた。


「ようやくあなたの魅力をわかってくれる人と出会えたのね」

「それもあのクラウゼン侯爵だなんて! やっぱりお前は、私たちの自慢の娘だよ」


 そう言いながら涙を流す両親を見て、私は心底安心した。

 よかった、求婚を受け入れるという私の判断は間違っていなかったのだわ、と。




 それからはあっという間だった。


 顔合わせを行い、書状を送りあい、正式に婚約を果たして……

 気付けば、結婚式の当日になっていた。


「緊張なされていますか?」


 控え室で侍女に問いかけられて、私はいつも通りの冷たい表情で返す。


「えぇ、少し……」

「大丈夫ですよ。クラウゼン侯爵はとてもお優しく素晴らしい方だと評判ですもの。きっと、シャーリンお嬢様のことも幸せにしてくださると思いますよ」

「そう、よね……こんな私と結婚してくれる方なんだもの」

「お嬢様ったら、またそんな風に卑下なさって……。そろそろ入場のお時間ですよ、いってらっしゃいませ」

「ありがとう、いってくるわ」


 まさか私にこんな日が訪れるなんて、思ってもみなかった。

 涙目の父と腕を組んで、会場に入場する。ウェディングドレスはこんなに重いのに、バージンロードを一歩ずつ歩くたび、心が軽くなる気がした。


 そして、先に待ってくれていたクラウゼン侯爵……いいえ、ヴィクトル様と目が合う。彼の優しい微笑みで、心の中の氷が解けていく。


 父から離れて、ヴィクトル様に腕を絡ませる。

 祭壇の前に着いた私たちに、神父が問いかけた。


「汝、ヴィクトル・クラウゼンはシャーリン・エルフィナードを妻とし、神の教えに従い、死がふたりを分かつまで共に生きることを誓いますか?」

「誓おう。どんな過酷な運命が待っていようとも、私は生涯シャーリンを愛し続ける」

「汝、シャーリン・エルフィナードはヴィクトル・クラウゼンを夫とし、病めると時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、愛し敬い、慈しむことを誓いますか?」

「……はい、誓います」


 わぁ、と会場に拍手と歓声が沸き起こる。


 今から私は結婚する。


 ____私のことを愛してくれる男性と。






 誓いのキスは、ドキドキしてあまり覚えていない。

 けれどもこの瞬間、私はシャーリン・クラウゼンになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ