十七話 キャロライン
「なによ……これ……」
全く想像していなかった内容に、私は言葉を失った。
だってこれ……似ているどころか、私と夫そのものじゃないの……!!
私の名前は『シャーロット』とぼかされてはいるものの……夫の名前はそのままだし、爵位だって……。それに、夫の愛人の存在まで書いてある。
あと、私が殺されたことまで、一緒だわ……。いえ、ちょっと私のことを美化しすぎじゃないかしら、とは思うけれど……。
でも、わからないこともある、それはこの「青年」に関することだ。もしこの話が私の一度目の人生をもとにして書いてあるとしたら……私のために、誰かが夫を裁いてくれたということなのかしら。
いいえ、それ以前に……肝心なところが所々黒く塗りつぶされているけれど、きっと時間が巻き戻ったのはこの「青年」の道具が関係しているのかもしれない。だとしたら、なんのために?
まさか、本当にわたしのことが好き? ……いえ、さすがにそれは自惚れすぎよね。
私なんか、人に好きになってもらえるような女じゃないもの。
第一、この作者は何のためにこの本を書いたというの?
きっと、一度目の人生にはなかったはずよね。
作者の「アレク」って、何者なの?
……駄目ね、わからないことが多すぎる。でもこれではっきりしたこともあるわ。
夫が「愛している女性と結婚できるようになった」といったのは、彼女が男爵令嬢になったから。
だから、邪魔になった私を殺したのね。きっと、普通に離縁するだけでは、不貞していたことがバレてしまうとでも考えたのかしら。
外面のいい夫のことだもの。
それに、もう一つ重要なことがわかった。
夫の愛人の、名前は…………。
*****
____ガチャ!
「いらっしゃい! ヴィクトル!」
「あぁ、久しぶりだな。最近は結婚で忙しかったから……。君に会えることが何よりの楽しみだったよ…………愛しのキャロライン」




