↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大震災の元凶、地龍を倒して日本を救ったのに異界に追放されたので我流六気操術で無双します。  作者: 坂井ひいろ
第6章 城塞都市ヨーコ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
87/104

06-11 聞くものを引き付けて離さないその声

「旦那、本当にセイレーンの塔(タワー)へ行かれるんですか?近辺の商人に聞いたところ、塔は海洋にあって潮の流れが複雑で商船では近づくことさえ無理と言う話でっせ」


強欲商人ゴウは腰が引けている。そしてさり気なく自分をメンバーに含めない言い回し。


「ゴウ、だからこそのホバークラフト型ウィンド・バイクだろ。海上に浮いて走るから海流の影響を受けにくい」


解の説明に強欲商人ゴウの脳内レジスターは回りだす。


チーン!


「なるほど、確かにそうですね。って、ことは海に接する帝都トキオや城塞都市チーバ、城塞都市ヨーコの海難救助艇と売れるってことですね」


「いいね!それ、それとだな。帝都トキオには競馬レースがあるらしいな。俺がいた世界では同じようにボートレースってのがあってな、ウィンド・バイクレースなんてどうだ、ゴウ」


「っ……。旦那もう天才すぎです。あっしのかみさんのところ、桜龍会(おうりゅうかい)で帝都トキオの競馬レースを仕切っておりやす」


ギャンブルビジネスは恐ろしく儲かる。強欲商人ゴウの心に火が灯る。


「忙しくなるな。ところで新婚旅行はいいのか?」


解はニヤニヤ。


「旦那、あっしもサキも金(かね)が趣味でして」


強欲商人ゴウもニヤニヤ。


「城塞都市ヨーコの自警団(ヤクザ)がアータミの漁港に、旦那のサイドカー付きと四台のウィンド・バイクを用意しております。地図はこちらで……」


道案内でついて来いと言われないか不安なD級冒険者のヘナチョコ、ゴウ。


「サキと二人で引き続き情報収集とウィンド・バイクレースの件を頼む。あっ、それとだな」


ジジー。


解は無限収納ファスナーのつまみを引いて時空の狭間から、港町ヨーコのダンジョンで手に入れた、宙に浮く海藻と空中を泳ぐソード・フィッシュの魔石を大量に取り出す。


「キビ村鍛冶屋、タキに渡して解析を頼む。うまくいけば空を自在に飛べる魔道具が作れるぞ。ウィンド・バイク量産工場を増設しろ」


解はニヤリと笑う。


「旦那、もう人使いが荒すぎでっせ。望むところですが」


強欲商人ゴウの脳内レジスターは回りっぱなしとなる。


「ゴウ。前にも話した通り、恐らくこの世界は、この先、大災害に見舞われるかもしれない。金持ちと権力者しか生き延びられない世界にしたくないだろ。その時に金は必要だ。頼りにしている」


解はゴウの肩を叩き、耳打ちする。


「わかってますよ。旦那」


「それとだな。まだ時間はあるから桜龍会(おうりゅうかい)の女親分サキさんとの新婚旅行、最後まで楽しむんだぞ。その為の金は出し惜しみせず使いたいだけ使え、別予算だ。仕事はそれからでいい」


ちょっと泣き顔になる強欲商人ゴウを置いて解は仲間の元へと歩き出した。


-----


ドドドドド。バヒューンー!!


海上を浮かび飛ぶ風魔法を応用した魔道具、五台のウィンド・バイク。


カモメが舞う青い空、ゆったりと流れる白い雲、その先に浮かぶ入道雲。


「解さん、どうやらセイレーンの塔(タワー)はあの嵐の雲の中ですね」


解が現世で陰陽師の備品からパクったインカムから先導するドラキュラ伯爵の声が響いてくる。


「らしいな。八十年も全貌が分からないわけだ。みんな振り落とされるなよ。突っ切るぞ」


「「「「了解」」」」


解たちのウィンド・バイクは加速し、次々と積乱雲の中に突っ込んでいく。


「マユ、頼む」


回復師(ヒーラー)マユは聖魔法で防御結界を展開。みんなを雷雨から守る。


嵐を突き抜けた先にセイレーンの塔(タワー)はあった。


見上げる先が霞むほどの高さの人工物。


「師匠、これ。東京スカイツリーより高いですよね」


小さな永久が見上げるとさらに巨大に見える。


「足腰が鍛えられそうだな」


解は苦笑い。


「「……」」


人狼ガルムと鬼女ベニは呆然。


「ふわー、解さん。綺麗ですね」


マユは感動で瞳をキラキラ。


-----


セイレーンの塔(タワー)の島に上陸する六人。


五台のウィンド・バイクを手分けして解の時空の狭間へと押し込んだ直後。


ギ、ギ、ギ、ギー。


タイミングを見計らったかのようにセイレーンの塔の扉が開いた。


天空から響き渡るセイレーンの歌声。


ララララー、ララララー、ハアアアー、フウウウー。


どこか懐かしく、もの悲しく、聞くものを引き付けて離さないその声。


「見られているな」


「そうですね」


近くで見ると更に巨大に見えるその塔を見上げる解と永久。


「「っ……」」


人狼ガルムは狼耳と尻尾を展開、鬼女ベニの額から二本の角が伸びる。二人は既に戦闘形態に移行。


「ふっ……」


マユはフラフラと解にもたれかかる。


「マユ、どうした」


解はマユの肩を両手で優しく支える。


「この声、聴いたことが……。ちょっと眩暈がして、その、ごめんなさい……」


マユは静かに気を失った。


「師匠、マユちゃん大丈夫なんですか?」


「マユは俺の部屋で休ませる」


ジジー。


解は無限収納ファスナーのつまみを引いて、時空の狭間の自分の部屋のベッドにマユをそっと横たえる。


呼吸は正常。顔色も悪くない。解はマユの寝顔を確認して外に出る。


「ドラキュラ伯爵、先導してくれ」


「了解した。解、彼女を塔の上に連れて行く理由があるんだな」


ドラキュラ伯爵はいつになく真剣な顔をする。


「ああ……。人魚族の黒魔術師セイレーン。大魔王プロトニを倒した勇者のパーティーメンバー……。会えばわかる」


五人になったパーティーメンバーはセイレーンの塔の入り口に進む。


ララララー、ララララー、ハアアアー、フウウウー。


セイレーンの歌声が彼らを誘っている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。