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大震災の元凶、地龍を倒して日本を救ったのに異界に追放されたので我流六気操術で無双します。  作者: 坂井ひいろ
第1章 辺境の村キビ

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01-07 近代化すれば

「おっ!この『気』はもしや」


いきなり声を上げる解。


「新たな敵ですか!」


狐耳をピクピクさせる永久。村人たちはビクッとして固まる。


解の腕に『闘気』が集まり輝きだす。里山を震わすような禍々しい『気』の迫力に木々に隠れた鳥たちが一斉に飛び立つ。


村人たちはいい知れぬ不安を募らせてひと固まりとなり、おどおどと様子をうかがう。


「おりゃー!」


いきなり祠の横の地面に埋まった巨石を叩く解。


バッコーン!!!


クレーターのように巨石に穴が開き。直下型大地震のようにように揺れる大地。


ゴゴゴゴゴ。ビシュー!


「師匠……、温泉掘り当ててどうするんですか?」


六気操術ろくきそうじゅつ『創気:天地改変』ってやつだ!」


我流六気操術がりゅうろくきそうじゅつには本来そんな技はないが、活躍の場がなかった解は村人、特に「マユ」に自己アピールしたくなっただけ。


「……師匠、カッコつけて、闘気を使ったただの力技ですよね?水脈がたまたま地下にあるって『気』の流れを読んだけで……。陰陽道でも温水脈は探せます」


巨石に空いた岩穴に、程よい温度のお湯が溜まってゆらゆらと湯気が立ち上る。


「まあ、それでも湯舟と採掘を秒で完了させるのは師匠くらいですけど」


「まあな。温泉掘りの高額闇バイトはメッチャ儲かったからな」


「最近、極局所的な直下地震が群発したり、都内の温泉旅館が急に増えたのって……師匠のしわざ……」


「温泉はいいぞ。『邪気』を鎮め、『瘴気』を祓う。村長、いるか!」


腰を抜かした白ひげ村長ゲンを、筋肉もりもりリーダーことタキが抱えて抱き起こす。


「今日からここは『蜘蛛神神社』から『稲荷大温泉神社』に改名してリゾート開発するぞ」


村長も村人も怯え切って、コクコクと首を縦に振るだけ。


「永久、後よろしく。稲荷神社だからな。俺はこいつの資源化の調査するから」


解は作るだけ作って興味を失ったのか、例のファスナーをご神木の幹につけてジジー。


裂けた巨大空間に土蜘蛛を引きづり込んで雲隠れした。


「師匠……、名付けただけじゃん……」


ガクッとうなだれる永久。


それでも健気に首を上げる。ピーンと立った狐耳。モフモフの九本の尾っぽ。


祠の前にウエディング姿で凛と立つ、九尾永久きゅうび とわの姿は神々しい。


こっそり村人全員に完全悪魔認定された天乃解あまの かいとは大違いである。


永久は両手で陰陽道の印をつくり、九本の尻尾を花びらの様に広げる。


「陰陽五行全開放」


四本残して五本の尻尾が花びらの様に舞う。


「式神、木属性・蝶花ちょうか召喚。変化へんげ、ピクシー」


「式神、土属性・豊花ほうか召喚。変化へんげ、ピクシー」


「式神、水属性・翡花ひか召喚。変化へんげ、ピクシー」


「式神、火属性・焔花えんか召喚。変化へんげ、ピクシー」


「式神、金属性・月花げっか召喚。変化へんげ、ピクシー」


立て続けに唱えると、それぞれの尻尾は妖精へと変化し、透明な杖をかかげる。


「みんな。リゾート温泉ホテルを作るよ。思いっきり張り切っちゃってね」


木属性、蝶花が杖をふると地中から薔薇の木が何本も生えてきて絡まりながら密集し湯舟を隠す塀となる。


ゴージャスな香りが辺りを満たし、薔薇の花びらが風に舞って湯舟に浮かぶ。


土属性、豊花がやしろの周りで杖をふると凸凹だった土が整地され、鳥居に向かう階段が石段へと変化する。


水属性、翡花が杖をふると小川や滝が生まれ、風景に色を添える。


火属性、焔花は杖をふって松明を生み出し、各所に設置して回る。


金属性、月花は杖をふってシャワーや洗面台など洗い場、トイレなどを生み出す。


次々と構築されていく光景に、魔法を見慣れた村人たちと言えども口をあんぐりと開けて仰天。


注目されるピクシーたちをよそに、永久はコソコソと目立たないようにちっさい社の雑巾がけ。


「グググッ、蜘蛛の巣。やっぱ土蜘蛛、後でこっそり殴っとこ」


ブツブツ言いながらもメチャクチャ地味な作業をコツコツとこなす永久。


「まったく、ほんと師匠の人使いの荒さには辟易する」


ため息をついいて周りを見ると村人たちが手にてにほおきや雑巾、はたきなどの掃除用具を持って永久を手伝っている。


子供たちは草刈り、女たちは月花に鍋や包丁を作ってもらい、豊花が育てた野菜を刻む。


夕方には立派なパーティーが開ける全てがそろっていた。


ジジー。


ご神木の幹のファスナーが内側から開く。


「あれ?見違えるようにきれいになってる」


「師匠、ここで神前結婚式をあげてもいいんだよ」


ウエディングドレスの永久はスカートの裾をそっと引き上げて淑女を気取る。


「永久……、お前」


逃げ回る解。解を追いかける永久。それを見て村人千人に笑いが伝播する。


解は逃げながら吉澤繭よしざわ まゆの気を探す。


両親に囲まれて笑顔を取り戻した「マユ」を見つける。


現世の繭は親の顔を知らない孤児だった。でも、異界の「マユ」には両親がいて家庭がある。それが繭が求めた願望なのだろう。


小さな村での小さな幸せ。かつて解が繭と共に作りたかったもの。


「お幸せに……」


心の中で小さくつぶやき、街へ出る決意を固めた。


異界と現世、謎解きは始まったばかりだった。


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