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大震災の元凶、地龍を倒して日本を救ったのに異界に追放されたので我流六気操術で無双します。  作者: 坂井ひいろ
第6章 城塞都市ヨーコ編

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06-01 美女と野獣

あれから数ヵ月が経ち解、永久、マユ、人狼ガルム、鬼女ベニ、ドラキュラ伯爵の六人は水(スイ)の街、城塞都市ヨーコ(現世気相:神奈川)へ来ていた。


「師匠、のんびりですね」


「ああ、永久だけな」


海の見えるホテルの最上階のペントハウス。


二人はプールのある豪勢なテラスのビーチチェアに寝ころび海を眺める。


海では人狼ガルム、鬼女ベニがホバークラフトを応用したウィンド・バイクのデモンストレーションをおこなっている。


ホバークラフトを参考に開発した風魔法の魔道具を応用した水陸両用車なので、海の上だろうと、砂浜の上だろうと浮かぶように走る。


デモと言っても、ただ遊んでいるだけなのだが。


「ゴウ、どんな感じだ」


解はサイトテーブルに置かれたトロピカルドリンクを手に取って、ウィンド・バイクの予約状況を強欲商人ゴウに尋ねる。


「そりゃうもう。あっし、登場回数メチャメチャ削られてましてたんで……、あいや、張り切って売らせてもらってます」


解が睨むとゴウは少しだけ顔を歪ませるが、今回はどや顔ターンなので強欲顔がほころんでしまう。


「メチャクチャ、売れてますよ。ギルド冒険じゃだけでなく、もう、港町ヨーコのナンパ必須アイテムですわ。解さんの考えたタンデムシート、最高ですわ。あれなら男女が引っ付きまくりですもんね。いったいどこで思いついたんですか……?」


「……。まあな」


解は現世のバイクをパクったとは言えないので口を濁す。なるほどそう言う意味だったのか。現世では、ヘタレオタクだった解には想像外である。


「それじゃ、サーイのキビ街の生産工場の増設が必要だな。工場長のタキによろしく連絡してくれ。あっ、急がなくてもいいぞ」


解はゴウの顔を見てニヤリと笑う。


「キビ村も人口が増えて街になり、タキさんも鍛冶屋からすっかり出世して……って、あっしの出番、これで終わりですか。あっしも城塞都市ヨーコのダンジョンアタックに連れて行ってくださいよ」


強欲商人ゴウはちょっと寂しそう。


「ゴウ、おまえ冒険者ランク、D級から上がったか?今のパーティーは全員A級だけど……」


「っ……。ハイ、了解しました」


強欲商人ゴウはしょげる。


「あっ、それとな。サーイの街でおまえ『一生俺について行きます』って言ったけど、他の誰かにも同じこと言ったよな」


解はニヤニヤ。


「グフフ、私の耳は地獄耳」


永久は狐耳をピント立てピクピクさせる。ゴウは永久の正体を知っている古参のメンバーなのである。


「そっ……。そんな。今更、捨てられても……」


強欲商人ゴウは半泣き。


「しかし、まさかとは思ったが……。これお祝いだ」


ジジー。


解は無限収納ファスナーを引いて、中から金貨の入った革袋を取り出してゴウに投げる。


ジャリン!


「退職金ですか?」


ゴウは心はポッキリ折れた。


「師匠、もういいですかね。グフフ」


「良いんじゃないか。永久」


「了解です」


永久はホテル部屋の方へ走っていく。


揺らぐレースのカーテン。


マユに手を引かれて出てきたのは桜龍会(おうりゅうかい)女親分サキ。


いつもの気っぷの和装姿と異なる、ウェディングドレス姿。


慣れないドレスに戸惑って裾を踏みそうになるあたり、ちょっと可愛い。


何よりベールの下の顔はちょっと赤い。


永久はコロコロと赤い絨毯を転がし敷く。


パタ、パタ、パタ。


ボワッ。


ドラキュラ伯爵が現れる。神父の衣装で十字架のネックレスを握る。


伯爵はキリシタンに紛れて長崎の出島に入り、江戸観光中に当時の江戸の陰陽師隊と一戦交えて異界に追放された経緯がある。


永久はせっせと簡易祭壇を組み立てる。


「師匠、準備完了です」


「ゴウ。ほら、早くいけよ。帝都で俺たちがミートに向かう見送るときに二人で酒盛りしてただろ。その時の返事を聞きに!」


解はニヤリと笑う。


いつの間にかぞろぞろ出てくるドレス姿のA級魔導士木のウルちゃん、土のアヤちゃん、水のノアちゃん、火のヒヨちゃん、金のスズちゃん。


純情オヤジと化したゴウは桜龍会(おうりゅうかい)女親分サキの元に駆ける。


「ゴウ、忘れてた。これ、髭マッチョのヨウから」


解は海の見えるホテルの最上階のペントハウスのカギを投げるのだった。


「もう、これだら。何と言われようが、あっしは解さんに一生俺について行きます!」


ゴウはうれし泣きでカギをキャッチする。


「師匠。ゴウの奴、泣き顔で不細工度がアップしてます!美女と野獣ですね。やっぱり鏡、買ってあげるべきですよ」


永久は横で笑顔を向ける。


「ああ、祝える時に祝っておかないと、この世界はどうなるか分からんからな」


「グフフ。そうですね」


「そうだ、永久、知っているか。近くにアータミって言うスパリゾートがあるらしいぞ。ヨーコのダンジョンアタックが終わったら、足を延ばすか?」


「はっ?えっ?師匠、それって現世の『熱海』ですよね。戦前の昭和のハネムーンのメッカ……。プロポーズ?」


顔を真っ赤にしてうつむく童女、永久。モジ、モジ。


「っ……。いつの時代だよ。聞いたことないし。マユとガルムとベニ、ドラキュラ伯爵の六人でだ」


「ぐっ……。昭和なんて私からしたら一年前と変わらないんですけど」


こうして解たちの休日はワチャワチャ、ガチャガチャと過ぎていくのだった。


明日はいよいよ水(スイ)の街、城塞都市ヨーコのダンジョンアタックである。

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