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大震災の元凶、地龍を倒して日本を救ったのに異界に追放されたので我流六気操術で無双します。  作者: 坂井ひいろ
第4章 帝都トキオ 学園編

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04-20 アラン・グラント学長に押し付けましょう

ここは帝都トキオ剣術魔法学園生徒会室。カーテンに隠れて張り付く小さな蝙蝠コウモリが一匹。ドラキュラ伯爵である。


「くそっ。A級魔人、オーガ五匹のフルパワーをシレッと通常能力で対応しやがって。全くそこが見えなかった」


帝都皇帝ケン・ムラーイは苦虫を噛んだような顔をする。


ドカ、ドカ、ドカ。


皇帝は文化祭の大道具などを怒り狂って殴る、蹴る。メチャ小物。


「「「……」」」


生徒会三役の会長ヤニ・マリファ帝都トキオ侯爵家次男、書記べリス・コカ帝都トキオ伯爵家次男、会計ドク・タイマ帝都トキオ子爵家三男は、ただ、黙って嵐が収まるのを待つ。


「おい、お前ら。どうするつもりだ。あっ、あぁーっ!どうするつもりなんだ。あのお方に……、あのお方に……どう説明するんだ」


帝都皇帝ケン・ムラーイは頭を抱えて震えだす。メタクソ小物。


「「「……」」」


それでも親から引き継いだ地位だけは高い。帝都貴族家次男、三男の生徒会三役は途切れる寸前の輝かしい未来を憂う。


「とにかくだ。都市対抗チーム戦で大衆にオーガの存在を知られた以上、魔蟲の痕跡になる魔力反応を全て抹消しないと老いぼれアラン学長の捜査のメスが及ばんとも限らん」


「ファイヤーボール」


帝都皇帝ケン・ムラーイは室内であることも考慮せずいきなり火球をぶっ放す。


ドッカーン。


大きな音とともに魔法陣ペンタグラムで魔蟲飼育室へとつながる生徒会、会長の机を灰にした。


「いいか、転移階段の先が城塞都市ミート、あのお方のダンジョンの中にあることは絶対に秘密だからな」


コクコクと首を縦に振って頷く三人の生徒会役員。


「とにかく後は任せた」


帝都皇帝ケン・ムラーイはドアを力任せに開けて出て行った。


「「「……」」」


三人の生徒会役員はただ、ひたすらに俯く。


……。防音結界も張らず聞いてくださいというばかりの不用心さ。さらにここに証拠がありましたとでも言わんばかりの会長机の破壊。カーテンに張り付く蝙蝠コウモリこと、ドラキュラ伯爵は、ただ呆れた。


「おっ、おい。燃え広がっている」


帝都皇帝ケン・ムラーイの放ったファイヤーボールの火の粉は勢い余って雑多に置かれた生徒会室の小物に飛び火。


あれよあれよと言う間に室内は火の海。


「「「アクア・ビーズ」」」


生徒会三役は水魔法を放つ。


ポッ、ポッ、ポッ!


ジュ、ジュ、ジュ!


米粒みたいな水弾が発射されるが焼け石に水どころか効果ゼロ。


くっ……。魔力覚醒時のE級初歩魔法!?ドラキュラ伯爵は引き時だなと納得して蝙蝠の羽をパタパタさせて窓の外へと脱出した。


-----


一方、こちらは帝都トキオ闘技場、城塞都市サーイチーム控室。


「おっ、俺たちが……、優勝……。アヤお嬢様ぁー」


ゴリラ男ボブ・アーレン男爵子息は優勝トロフィーを抱えて男泣き。腕には鼻水、顔は涙でグシャグシャ。妖怪もドン引くゴリラ相。


「きもいから抱きついてこないでよ」


アヤ・サーイ悪役伯爵令嬢は室内を逃げ回る。


そんな慌ただしい室内に、救護室から戻って真っ赤な顔で背中を向けて俯き座る解とマユ。


青春だなーって生暖かい目を向ける九尾永久きゅうび とわ、若干千歳の童女である。


「おい、火事らしいぞ」


「学園本校舎の生徒会室が燃えているらしい」


闘技場控室の外の廊下が騒がしい。


パタ、パタ、パタ。


一匹の小さな蝙蝠が窓から入ってきてマユの周りを飛び回る。


「あら、蝙蝠さん」


ボワッ!


変身を解いたイケおじ紳士が黒マントをひるがして、マユの前で片膝をつき彼女の細い手をとる。


「これこれはお美しい。お初にお目にかかります。闘技場でのご活躍、見惚れました。わたくし、トランシルヴァニア公国、伯爵のドラキュラと申し……」


マユの手の甲に口づけしようとする伯爵の腕をはらって止める解。


突然の侵入者に抱き合って白目をむき完全フリーズする悪役伯爵令嬢とゴリラ男。お化け大嫌いコンビであった。


「ドラキュラ伯爵、マユの手の甲に口づけなんてしたら浄化ピュリフィケーションされるぞ」


解の言葉に牙を出してニヤリと笑うドラキュラ伯爵。


「美しき者に消されるなら本望ですぞ。解殿もそうではありませんか?」


「っ……」


マユと目が合って言葉に詰まる解。ポーッと頬を赤らめるマユ。


何なんだこの三人。キモイ!進まぬ会話にイライラが募る九尾永久きゅうび とわ若干千歳の童女である。


「ドラキュラ伯爵さん。で、帝都皇帝ケン・ムラーイと生徒会役員はどうだったんですか!」


睨まれて気圧される伯爵。


「やや、永久殿もおいででしたな。見目麗しきお姿、お変わりなく……」


ピシッ!


片膝をついたまま手を取ろうとしてくる伯爵の手を弾く永久。


「いゃ、失礼、失礼。何やらお熱い雰囲気でしたのでつい、歳柄にもなく仲間に混ぜてほしくて……」


ドラキュラ伯爵は爽やかな笑顔を浮かべる。


「ハーレムごっこは帰ってからお好きにどうぞ。で、首尾は!」


永久は口をゆがませる。早くしろ、このエロおじ。爆発寸前まで妖気が高まっていく。


「お遊びはここまでにして、解殿の予測通り転移階段を使った魔蟲飼育室は別の場所にあるようです」


解も永久も真顔になる。


「場所は?」


解は端的に質問する。


「城塞都市ミートのダンジョンの中だそうです。恐らくやつもそこにいます。帝都皇帝ケン・ムラーイがファイヤーボールで生徒会会長机を灰にしたのでそちらのルートは使えぬものと……」


「それで火事騒ぎ。城塞都市ミート、行くしかないか……」


「師匠、帝都皇帝ケン・ムラーイと生徒会三バカ役員はどうします?」


「泳がしていてもいいんじゃないか。脅威になるというより、むしろドジを連発して向こうの足を引っ張ってくれる。そんな感じだろドラキュラ伯爵」


「はい、想定を上回るアホでした」


「帝都の腐敗はいずれ何とかしないとだけど……」


「城塞都市チーバも帝都トキオも剣術魔法学園も、マルッとアラン・グラント学長に押し付けましょう」


永久はニヤニヤ顔。


「はっ!」


今頃になって復活するピンクの縦巻き髪の少女アヤ・サーイ伯爵令嬢。


がっちりとその腰に抱きつく白目のゴリラ。


「はなさんかい。このボケー」


ロングネイルの右手ビンタがボブ・アーレン男爵子息の頬にヒットした。


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