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大震災の元凶、地龍を倒して日本を救ったのに異界に追放されたので我流六気操術で無双します。  作者: 坂井ひいろ
第4章 帝都トキオ 学園編

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04-17 現世の男子と女子の願望の詰まった代理戦争

帝都トキオ剣術魔法学園闘技場に立ち並ぶ帝都トキオチームと城塞都市ヨーコチーム。


政治力と膨大な資金力をバックに圧倒的権力を誇る、絶対王者のジンの街トキオチーム。


対する港町の地の利を生かして急成長を始めたスイの街、城塞都市ヨーコチーム。


因縁のライバル対決だけに観客の応援もひときわ盛り上がっている。


「それでは、第三回戦、帝都トキオチーム対城塞都市ヨーコチーム戦、始め!」


剣術魔法学園アラン・グラント学長の開始の合図と共に各チームの五人は礼をしてかまえた。


最初に動いたのは帝都トキオチーム。


トキオのエンブレムが輝くおろしたての剣術魔法学園のジャケットを引き上げる。


「「「「「いくぞ、へーんしーん」」」」」


鶏卵大のA級魔石を贅沢に二個使った超高級変身ベルトが、へその上で輝く。


「師匠、あれ、ズルくないですか」


永久はあきれ顔で笑う。


「ああ、トキオチームは全員、侯爵、伯爵家、子爵家の長兄らしい。自領を引き継ぐものとしての威厳を示したいのだろう」


解は冷めた顔で舞台を見詰めている。


「スッゲー、帝都超有名五家、秘蔵コレクションベルト勢ぞろい!おれもいつか金持ちになってあんなベルトを作るんだ」


バナナを片手に鼻息を振りまくゴリラ男ことボブ・アーレン男爵子息。


「ボブさんの家だって男爵家ですよね?」


「城塞都市サーイと帝都トキオじゃ、同じ貴族でも格が違うんだよ。うちは貧乏男爵家なんだよ」


マユの質問にシュンとなるゴリラ男。喜怒哀楽が分かりやすい。


「ふん、あんなお飾り。派手なだけで実践向けじゃないから」


アヤ・サーイ伯爵令嬢はピンクの縦巻き髪のお手入れに余念がない。


城塞都市サーイチームのそんな会話が続いても終わらない変身シーン。


「「「「「我らトキオ戦隊レインボースター!」」」」」


赤、橙、緑、青、藍。ようやくの決めポーズ。


解と永久は頭を抱えた。完全に児童向けテレビ特撮ヒーロー。現世、特にオタク男子の気相がそうさせるなら残念さが半端ない。


ショッピングモールの広場でおこなわれる着ぐるみシューを見せられている気分になる。


「師匠、五人なのにレインボーだって。足し算できないんですかね」


「並びが欠けて変だな。二人補欠なんじゃないか」


「あっ、さすが師匠。場外に黄と紫の女子がいます。あからさまな男尊女卑ですね」


「選手層が厚いってことだな。まあ、家督を継ぐ男子が優先されたんだろ」


対する城塞都市ヨーコチームは、むしろ紳士。ちゃんと変身完了まで待ってあげている。


が、その風貌はかなり洗練されていてオシャレだ。黒系統で統一した戦闘服は個性的でファッション誌から抜け出したようなアイドル風細マッチョイケメン。


フードを外すとフワフワのヘアにチョコンと見え隠れする鬼角がアクセントになっている。気になるのは全員ノースリーブであること。


観客席からは地区関係なく女子たちのコンサート会場さながらの黄色い声援が飛ぶ。これも現世、特に女子の願望の具現化なのだろう。


「師匠!ヨーコチーム、メチャイケメンぞろいですよ。ぐふふふ」


永久の声に反応して、ピンクの縦巻き髪のお手入れに熱中していた悪役伯爵令嬢が顔を上げる。


「ぐふっ……。ヤバイ」


あんぐりと開いた口に上にのっかる瞳はハートマークで輝いていた。


二人の反応にちょっと不安を募らせた解はマユをチラ見する。


「フフフ」


解の真剣な横顔を眺めていたマユと目が合い思わず顔を赤くする。


「師匠、ウブ可愛いですよ」


永久が茶々を入れる。


城塞都市ヨーコチームは踊り歌うように闘技場の石床の上を跳ねまわって華麗に拳激を繰り出す。


ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ!


帝都トキオチームはベルト能力を使ったチート魔法攻撃でそれを受け、反撃を加える。


ビシ、ドド、ガーン、ドヒューン、ジュバーン!


飛び交う拳と魔法弾。現世の男子と女子の願望の詰まった代理戦争。見ごたえ十分のA級相当戦が続く。


闘技場の石畳は震え、観客のボルテージは上がっていく。


パキッ、バキッ!


プシュー。


突然、トキオチームの一人のベルトに仕込まれた魔石が砕け散って変身がとける。


パキッ、パキッ!プシュー。


パキッ、パキッ!プシュー。


パキッ、パキッ!プシュー。


パキッ、パキッ!プシュー。


会場が騒然となる中、次々と砕け散るトキオチームのベルトのダブルA級魔石。


損害額、A級魔石十個、金額に換算して金貨一万枚。帝都貴族の胃がキリキリする額である。


トキオチームの応援席からは貴族たちのため息が聞こえ漏れる。


ついにトキオチーム全員が生身の体に戻ってしまう。


何が起きたか分からずオロオロする五人は、すかさず両手を上げて降参した。


「永久、見たか?」


「一瞬でしたけど腕が伸びてました。あれ、やっぱり鬼爪シャドーネイルですね。現世の酒呑童子シュテンドウジって言う妖怪の技です」


「そうか、やっぱりな」


解と永久は黄色い声援を浴びで両手を振りながら退場する細マッチョイケメン五人の頭にのっかる鬼角を見詰めた。

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