04-16 影の組織に操られる傀儡
解は桜龍会女親分サキと別れて金の街、城塞都市サーイチーム控室に戻る。
その頃には第二回戦、城塞都市ミートチーム対城塞都市チーバの試合は終わっていた。
ギギー。
「お、おい!いっ、今、勝手にドアが開いたよな」
解が妖学迷彩マントで姿を消して、忍び足で部屋に入るとゴリラ男こと、ボブ・アーレン男爵子息が大仰に驚く。
「都市対抗チーム戦が行われる闘技場の控室なんだからお化けくらい出るでしょ。無念の事故で死んだ先輩だって数えるほどね」
ピンクの縦巻き髪の少女ことアヤ・サーイ伯爵令嬢はロングネイルを磨きながらサラリと言ってのける。
解はいたずらでゴリラ男が手に持つ食べかけのバナナを奪い取り、皮の端を持ってパタパタさせてみる。
「ばっ、バナナが鳥みたいに!そんなバナナ」
ゴリラ男は椅子から滑り落ちて尻もちをつく。驚きすぎて痛みすら飛んだらしい。
その反応に解は妖学迷彩マントのフードの下でクスリと笑ってしまった。
マユがその小さな笑いを聞き取って解の方を向いて口を動かす。
お・か・え・り・な・さ・い、か・い・さ・ん
どうやらマユには影武者がバレていたようだ。そのことが解には嬉しかった。
解は控室内の戦略室の扉をゆっくり引いて中に忍び込んだ。
カチッ。
ドアに鍵をかけて、妖学迷彩マントを脱ぐ。
「永久、戻った。防音結界を頼む」
永久はすかさず式神、風属性風花召喚して防音結界を張る。
解は自分の影武者である闘気神、仙を本来の姿に戻してお礼をする。
「仙、ありがとな」
深紅のチャイナドレスを纏った二つ団子ヘアの女児はコクコクと頷き六芒星の中に帰っていった。
「師匠、ごめんなさい。時間稼ぎのつもりがゴリラ男が駄々々々々々(ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ)で悪役令嬢が見境なくぶっ放して数分でした……」
永久はペコリと頭を下げる。
「いや、結果的にはラッキーだった。おかげで生徒会長自ら例のモノの場所に案内してくれたうえ、生徒会の三人組が解説までしてくれた」
「師匠、意味わかりませんけど!?仲間に引き入れたってことですか?」
「そうじゃなくてだな」
解は永久に生徒会室で起きた生徒会三役の結果的に間抜けな行動と、事態の詳細を説明した。
「魔石の貝殻を背負った魔蟲で鬼化ですか。平安時代に蟲を取りつかせて人を操る傀儡師ってのがいましたけど、似てますね」
永久は厳しい顔をする。
「ああ、魔石を応用したのは偶然かそれとも俺らと同じ現世人か。単なる狂人ではないな。今度の敵は知恵が回る」
解も厳しい顔になる。
「帝都皇帝ケン・ムラーイでしょうか?現世では由緒ある陰陽師家の末裔ですし」
永久から出た言葉に解は苦笑いする。
「あれな。多分違うだろ。生徒会三役いわく、所詮小物、影の組織に操られる傀儡。だそうだ」
解の言葉に笑いが戻る永久。
「現世の陰陽師頭領村井健と同じですね。気相の輪廻転生ってやつですかね」
二人は互いに顔を見合わせて笑った。
「厳しい顔ばかりしてても状況は変わらないからな。目的はどうせ俺たちの能力を見極める刺客。操り人形は所詮その程度だ。本命は必ず別にいる。まあ、第三回戦、城塞都市ヨーコチームのお手並み拝見だな」
「そうですね」
「ところで永久、第二回戦の城塞都市ミートチーム対城塞都市チーバはどうだった?」
「城塞都市チーバチームは伝説の魔導士少女五人組が卒業してからパッとしませんからね。城塞都市ミートチームの勇者ノヴァ君の独り舞台でした」
「そうか。勝ち抜いてきたってことは第四戦で当たるか。楽しみだ」
「そうですね。ウフフ」
「そうだな。そろそろ第三回戦、トキオチーム対ヨーコチームの対戦時間だな」
解と永久は戦略室を出て、マユ、アヤ・サーイ伯爵令嬢、ボブ・アーレン男爵子息と合流し、試合観戦に向かうのだった。




