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大震災の元凶、地龍を倒して日本を救ったのに異界に追放されたので我流六気操術で無双します。  作者: 坂井ひいろ
第1章 辺境の村キビ

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01-04 テンプレはテンプレで対応します

住人、三百人ほどの小さなキビ村。


井戸のある中央広場を囲むように建てられた家々。村長の家が辛うじて木造。


のこりは藁と竹で作ったような粗末な作りだった。


「師匠、何かあったら新幹線で村人全員避難できる規模ですね」


「馬鹿な事、言ってないで村長に挨拶するぞ」


筋肉もりもりのリーダーことタキの後について二人は広場に入る。


モブ扱いなのでタキの自己紹介は省略なのです。


「お前さん方か?旅人と言うのは。私は村長のゲンと申します」


白ひげを蓄えた老人が出迎える。


「丁寧なご挨拶。ありがとうございます。旅人の解です。こっちが永久といいます」


「見たところ二人ともかなりお若い。お二人で荒野を抜けてこられたのですか?」


村長と名乗る温和な老人の瞳だけは鋭い。警戒心が消えていないのかもしれない。


「瘴気が漂う森がいきなり無害になったので様子見で歩いていたら、ここまで来てしまいました」


「はぁっ?あの森を抜けてこられたのですか?」


老人は素っ頓狂な声を上げる。瘴気の森の向こうは何十年も断絶し、老人すらどうなっているか分からない。


老人は今は過去になってしまった異界から来た「勇者の伝説」の話を思い起こす。


この年で村一番の力持ち鍛冶屋のタキを軽くあしらう力……。『マユ』を救うことが……。しかし……もし違ったら。


「これ、挨拶代わりです」


解がチョコレートを差し出すと二人に付き添っていた村人たちの喉がゴクリとなる。


ついでに永久の喉もなる。


「めんどくさいな。箱ごとやるからみんなで分けな」


例のファスナーを引いて取り出そうとするがブレザーの裾では箱が大きすぎて引っかかる。解は気にせず太ももまで引き下げる。


「なっ、何と無限収納ポケット!しかも見たことのない最新式?A級冒険者以上しか持てないという超貴重品……」


村長の中で期待が膨らむ。勇者の再来……かも。しかし、A級冒険者でもかなわない土蜘蛛の強さも知っている故のジレンマ。


とりあえず慌ててひざまずき、なりふり構わず土下座する。


村人たちはチンプンカンプンな顔だが、チョコ欲しさにそれにならう。


解は苦笑いしながらも、力を示すような面倒な儀式が省略できてホッとする。


どうやら同じような収納アイテムがこの世界にはあるようだ。


村人全員が集められてチョコレートを分け合いみんな笑顔。一組の家族を除いて。


「おいしい!最後にこんなおいしいものが食べれるなんて……。私、生まれてきて……」


少女がポロポロと涙をこぼし始めた。


少女を支える両親が目頭を押さえる。村長はその家族に向かって顔をしかめる。


「蜘蛛神様に嫁に行くのは名誉なことだ。『マユ』は村一番の美人なればこその証だからのう」


解は『マユ』と呼ばれた少女を見て小さくうめく。


「師匠、これって村イベントあるあるのテンプレじゃないですか」


解は村長を広場から連れ出して、怖い顔で尋ねる。


「蜘蛛神様はにえを求めるのか」


「仕方のないことじゃ。蜘蛛神様がいらっしゃるからこの村はもう何年も魔物モンスター被害にあわずにすんどるのじゃから……」


「ふーん。なるほど。で、長老は蜘蛛神様とやらを見たことがあるのか」


「……」


長老の顔が曇る。


「神様と呼べるような代物だったか」


「……」


「はぁ~。やっぱり土蜘蛛かよ。退治していいか」


「そっ、そんな。S級冒険者でも倒せるか分からないダンジョンボス並みのS級魔物ですぞ。A級冒険者が何人も殺されて……、城塞都市サーイのギルドからも見捨てられ、なんとか毎年、娘一人で静まっていただけているのに」


「三下妖怪な、土蜘蛛。魔物が襲ってこないんじゃなくて、近寄る魔物を土蜘蛛が食って『気』を奪っているんだ。この村は差し詰め奴の独占餌場ってことさ」


「ほへっ?それでも、いなくなってしまったら魔物被害が……」


「まかせな、今まで通り魔物が寄ってこなくなるようないい考えがある。あのは交代だな。代わりに俺の連れの永久を蜘蛛神様の嫁に指し出そう」


「おーい、永久。ちょっとこっちこい」


「何ですか、師匠。特別なチョコ、隠しているとか!」


ニコニコ顔でやってくる永久。


「お前、あのマユってより美人だよな」


「師匠、なんですかこんな所で。もちろんです。でへへ。屋上呼び出しイベントきたー。師匠……、いや、天乃くん、あれ、解くん。やっと私の美しさに気づいたんですね」


クネクネ。デレデレ。ポワポワ。


意味不明な動きに気持ち悪さを感じる解であった。「やっぱポンコツかよ!」の言葉を必死にこらえる。


「よし、なら永久は蜘蛛神様のところに嫁に行け」


「へっ。いきなりのNTR指示。師匠にそんな趣味が……」


「ない。断じてない。土蜘蛛を蹂躙して式神にし、村を守らせろって話だ。陰陽師だろ」


「なーんだ。そういう事。朝チョコ前です。師匠」


こうして解はチョコ饅頭で永久きつねを家来にして鬼退治ならぬ土蜘蛛退治に出かけることになったとさ。

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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます 小説とはいえ、妖怪をやっつけてヘトヘトだとはいえ 災害級の英雄くんがあっさり異世界送りにされて しまってビックリです 今度はこちらで妖怪をやっつけて どんどん元いた世界に送り…
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