04-10 帝都トキオ剣術魔法学園の都市伝説
帝都トキオ剣術魔法学園の正門を出る城塞都市サーイのチームと城塞都市ミートのノヴァ君、そして城塞都市チーバのA級魔導士の五人少女。
正門から少し離れた路地裏に隠れて木の街、城塞都市ミート所属学生、モブ五人組は仕返しのタイミングを伺っていた。
もちろん自分達だでは敵わないのは百も承知。その為の兄貴達をしっかり用意しての用心深さである。
「情報通りノコノコと街見物かよ。恥かかせやがって。しめるぐらいにしとくつもりだったが死んでもらうわ」
目を血走らせたメリケンサックのリーゼントヘアが、石畳に唾を吐き捨てる。
「リーダー、かわいこちゃんが……。五人も増えて七人に!ハーレムじゃんかよ」
「くっ……、木の街、城塞都市ミートの期待外れ、ノヴァ君までいますよ。とことん虐めましょう」
「美少女たちが泣き叫ぶ顔が楽しみですね。売りさばけば兄貴達も丸儲けですね、でへへ」
モヒカン三人組がそれぞれ勝手な想像を膨らます。
「あの男だけは私の奴隷だからな。顔だけは残しといてね」
ジャラジャラピアスが復活したスカート超ロング吊り目女子は後ろに控える兄貴達にウインクする。
永久を案内人にサーイのチーム、ノヴァ君、五人少女がワチャワチャと目の前に来た瞬間。
「「「「「兄貴達!お願いします」」」」」
五人の興奮した掛け声とともにメイン通りに飛び出して道を塞ぐ兄貴達。
桜と龍の鮮やかな入れ墨が勇ましい。
「てめえらか、俺達の可愛い舎弟に恥かかせ……」
先頭の男がドスの利いた声で啖呵を切ったが、永久の顔を認めた瞬間、その顔面は紙のように真っ白に染まった。
「あ、あ……あね、姉御ォ!!?」
「あれっ。目立つから迎えによこすなって親分に言ったはずだよな?」
永久が半眼で睨みつけると、先ほどまで勇ましかった直立不動の男衆は震えあがる。
冷や汗が桜と龍の鮮やかな入れ墨を上を滝のよう流れ出す。
「いや、俺たちは、その、街の治安の警邏でして、その……」
完全にシドロモドロ。
「その、路地で暴れている若者達がいると連絡を受けたもんで」
先頭の男は路地裏を睨みつける。
そうそうと頷く桜と龍の鮮やかな入れ墨が勇ましい兄貴達。
「そうか、ご苦労。暴力はダメな、ちゃんと言い聞かせて更生させてね!」
出てきた路地裏にすっ飛び戻る男衆の面々。
「てっ、手前らよりによって姉御に手ぇー上げたんか!」
「えっ、何の話……」
「永久様は桜龍会の若頭的存在だって言っているんだよ」
「「「「「はあっ?」」」」」
あんな童女みたいなちんちくりんが帝都を牛耳る桜龍会の若頭格の強者???
価値観が崩壊して茫然自失のリーゼントリーダー、モヒカン三匹、吊り目女子。
「永久、なんかあったか?路地裏が騒がしいけど」
「いえ、何でもないですよ。師匠、桜龍会の地下闘技場はすぐそこ何で急ぎましょう」
永久にせかされて御一行は石畳の大通りを進んだ。
この後、城塞都市ミートの本当の期待外れ五人組は付き物が落ちたかのようにすっかり大人しくなって模範生として帝都トキオ剣術魔法学園を卒業していった。
帝都トキオ剣術魔法学園の教育の賜物と現学長アラン・グラントの格が上がり、本人は何も知らず戸惑うばかりだったことを付け足しておこう。
陰でそんな都市伝説が生まれていることを知らないマユとピンクの縦巻き髪の少女とゴリラ男、A級魔導士の五人少女は、この後に地獄の特訓が待っているとも知らずに歩く。
永久と解は騒がしい路地裏を振り返って悪い顔を浮かべた。




