04-09 陰でこっそりコツコツします
ガタゴトと音がして逃げるのを諦めたのか、ドアを開けて永久くらいの身長の少年が入ってくる。
トキオ剣術魔法学園のブレザーのエンブレムは木の街、城塞都市ミート所属の生徒。
「この一週間、ずっと俺のことを付け回してだろ」
「御免なさい」
少年は頭を下げて震えている。
「で、何の用だ?」
「ノヴァと言います。出身は木の街、城塞都市ミートのヤンガ村 十四歳」
ノヴァと名乗る少年は言いにくそうに口をモゴモゴさせていたが、吹っ切って話を切り出す。
ノヴァ少年の話は切実だった。
ギフトで勇者の資格を貰ったが、基礎魔力の成長の見込みがないと魔医から宣告されて見捨てられました。
勇者の資格は回復師と並んで貴重で、五属性魔法、剣士、拳闘士を習得でき回復以外の全て網羅できた。
木の街、城塞都市ミートのヤンガ村は大騒ぎで、村の期待を一身に背負ってトキオ剣術魔法学園に入学したため、帰るに帰れず。
それでも自主退学の手紙をつかんで学長室をノックしようとしたとき、剣術魔法学園の学長アラン・グラントと事務員の会話を小耳にはさんだ。
転入生の中の一人に魔法の五属性魔法に頼らずに奇妙な剣技を使う少年がいると。
木の街、城塞都市ミート学生からも虐めを受け始めたノヴァ少年は藁をもつかむ心地だったらしい。
「ふーん。虐めてきたのはリーゼント頭のモブかリーダーの残念チームってわけか。闘技場の外のやり取りも見てたんだろ」
ノヴァ少年はコクンと頷く。
「お願いです。僕を弟子にしてください」
ノヴァ少年の目から大粒の涙が溢れだした。
「いいよ、どうせ暇だし」
解の答えに反発するピンクの縦巻き髪の少女とゴリラ男。
「「敵対チームですよ!」」
どうして、毎回ハモるのか後で二人の気相を調べようと解は思う。
「師匠。昔、陰陽五行が使えなくて、我流六気操術を生み出したって言ってましたよね」
「ああ、気の素質を見込まれて養子になったのに幼心をえぐられたな。特に陰陽師頭領村井の指導で何度死にかけたことか。ま、今ではあいつもただのモブだけどさ」
ぐふふと笑い合う永久と解を温かい目で見つめるマユだった。
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話は遡って転入日の翌日の放課後。
「師匠、何ですかその本の山」
「図書館から借りてきた魔法書さ。さすが帝都トキオ剣術魔法学園、質も量も金の街、城塞都市サーイとはけた違いだ」
ジジー。
無限収納ファスナーを開けて解は大量の本を運び入れて消えた。
ジジー。
消えたと思ったらすぐに出てくる解。心なしかやつれている。
「師匠、何ですかその本の山」
「また図書館から借りてきた。魔法書」
ジジー。
無限収納ファスナーを開けて解は大量の本を運び入れて消えた。
ジジー。
消えたと思ったらすぐに出てくる解。段々とやつれ方が増えている。
「師匠、もしかして一日で読破する気ですか?」
「あぁ、ちょっとこちらの魔法体系と陰陽道の陰陽五行、五芒星の相関を知りたくてな。メチャ面白い」
「師匠、時空の狭間で何日過ごしてんですか?」
「二週間ほどかな」
「あっ、アホですか。脳みそパンクして鼻から流れ出ますよ」
「大丈夫、マユちゃんいるし」
「くっ……」
永久は天井を見上げた。
図書館との往復を繰り返す解。呆れね永久。
ジジー。
「師匠、目のクマ。パンダみたいです」
「そっ、そっか。やっと読み終わった」
「師匠のオタク気質、半端ないですね」
「そうだ永久、城塞都市サーイの強欲商人ゴウを呼んでくれ。それと魔力練習場に気を消して隠れていた奴、気づいているよな」
「もちろんですよ。ぐふふ。いよいよですか。調べますね」
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話は戻って城塞都市サーイのチームと城塞都市ミートのノヴァ君が集う空き教室。
「さてと、放課後の極秘特訓の場所は確保できてるな永久」
「師匠、もちろんですよ。桜龍会の地下闘技場確保してます」
解のオタク気質も相当だが、九尾永久の優秀さはそれに負けてない。
「それじゃ、野外活動に出かけるぞ」
ピンクの縦巻き髪の少女とゴリラ男は一抹の不安を抱えるのだった。




