03-08 まあ、いいか。目的は果たしたし
土の街、城塞都市チーバのダンジョンのボス部屋。玉座に座る黒ローブの男。
「ようやく来たか」
男はローブの中から手を出し、永久の式神、蝶花の羽を摘まんで取り出す。
蝶花の羽は萎れる花びらの様に、みるみる腐って消える。
「師匠、やっぱり罠でしたね」
永久の言葉に解はニヤリと笑って答える。
「さて、せっかくお越しいただいたのにいきなりボス戦で、はい、終わりましたではつまらないだろうし、そちらの妖狸のお相手も用意してますよ」
「ぬぐぐ、狸じゃなくて、狐なんですけど……」
「えっ?!狐……。いや、でも、丸顔にたれ目……」
フードで顔を隠してるがローブの男に明らかな動揺がはしった。
「くっ……。師匠、この間抜けも私が相手してもいいですか?」
「うーん。瘴気で頭、腐っているみたいだけど、強いよ、あいつ」
「軽口もそこまでだ。いでよ、ゴーストイーター。やつらの魂を刈り食らえ」
黒ローブの下から大鎌を持ったゴーストイーター四体が宙を舞う。
バッ、バッ、バッ、バッ。
解は手の平から超濃密火球を生み出して四体にぶつける。直撃かと思われたそれは、ゴーストイーターの体をすり抜けて壁にぶち当たり大爆発。
ドッガーン。
「師匠、効いてませんよ」
すかさず永久は地を蹴って俊足のスピードで拳撃を見舞う。
ダダダダダダ。
ものの見事に空振り。
「バカが。ダンジョン大ボスクラスのS級、霊体に魔法攻撃も物理攻撃も効くものか」
黒ローブの男はあざ笑う。
「アンデッド系ダンジョンのテンプレ」
「お約束、なんでね」
解と永久は笑い返す。
「師匠、準備運動も終わったんで、そろそろいいですか」
「どうぞ」
「にひひ。閻魔様に借りた力、使っちゃいますもんね。師匠、やっぱり黒ローブはお任せします」
永久は久しぶりに帰って来た尻尾を引き抜く。
「では、お待ちかね。式神、火属性・焔花召喚。天女焔姫憑依、焔獄狐!」
永久の体が三メートルの白狐となり、体に地獄の焔を纏う。
焔獄狐とゴーストイーター四体、東洋と西洋の地獄バトルが始まる。
宙を駆け咢をふるう焔獄狐。大鎌で応戦する四体のゴーストイーター。
激しくぶつかり合う妖気と瘴気。ボス部屋はその衝撃で震える。
ゴーストイーター四体、全てを食らいつくして立っていたのは焔獄狐。
プシュー。
頭に蒸気を纏いながら永久は人間の体に戻った。永久は限界ぎりぎりの体を引きずって解にハイタッチ。
「師匠、後よろしく。閻魔様、この出力を出し続けられるなんてやっぱ凄いわ」
そのまま、解の懐に倒れ込んだ。
すやすやー。
「寝るんかよ」
ジジー。
解は無限収納ファスナーを引き下げて、中のベッドに向けて永久を投げ入れる。
ジジー。
無限収納ファスナーを閉じて、引手を制服のブレザーのポケットにイン。
「さて、大ボス戦だぞ」
黒ローブの男を睨みつける。
「おやおや。ズルいな~、地獄の焔とかゴーストイーターじゃ格違いだよ。まあ、いいか。女狐の力を晒す目的は果たしたし」
黒ローブの男はフードを後ろに下げる。隠されていた顔があらわになる。
「さてと。如月創の影、死霊使の瘴』だ。我流六気操術の力とやら全てを見せてもらおうか」
解と瓜二つの顔が嗤う。
「触れるだけで全てを腐らせる妖刀『鬼神瘴』六振の一つ。試させていただくよ」
スチャリ。
死霊使、瘴は妖刀、鬼神瘴を抜きはらった。




