03-07 ズッバーン、ズッバーン、ズッバ、バーン!
土の街、城塞都市チーバのアンデッド系魔物の住むダンジョンの中を進む解と永久。
「師匠、なんかここダンジョンと言うより炭鉱ですね。崩落とかしないですよね」
「そうだな。剥き出しの岩肌に魔石の一部が飛び出し、コボルトゾンビ、デッドオークに変わって襲ってくるシステムみたいだな」
ズサッ。
解は妖刀、鬼神解を一振りして飛び足してきたデッドオークを切り伏せる。
デッドオークは光の粒となって魔石が転がる。
「師匠、アンデッド系の魔物は刀で切っても元に戻るって聞きましたけど……」
永久は魔石を拾いながら尋ねる。
「妖刀、鬼神解は鬼や神など解く刀だからな。アンデッド系のゴースト, 幽霊, 亡霊, 霊, 妖怪は相性がいいんだ」
ズサッ。
コロン。
「神獣地龍の力が宿ってからは、気もほとんど必要なくなった」
ズサッ、ズサッ。
コロン、コロン。
解は生まれ出た魔物を瞬殺して進む。
ズサッ、ズサッ、ズサッ。
コロン、コロン、コロン。
「これ、もう単なる作業だな。飽きて来たぞ」
「……。チートすぎて笑えないですね」
地味に魔石を拾って回る永久は呆れる。
「師匠、ロールプレーイングゲームとか絶対に苦手なタイプですよね」
「……。装備忘れてフィールドに出てボコボコにされた」
「アメリカ人みたいですね……。あっ、師匠、宝箱ですよ。本当にあるんですね」
ニコニコ顔の永久。
解は宝箱に右手の平を向けて丹田に力を込める。
我流六気操術の六芒星が右手の平に光り浮かぶ。
『妖』の文字が大きく光って発動する。
「はっ」
手の平に集まった妖気が火球となって飛ぶ。
ズッバーン。
「えっ、えっ、えっ!宝箱、燃やしてどうすんですか。完全焼却されて灰も残ってないです」
ガクンと首をうなだれる永久。
「ミミックかもしれないしな。低階層だから仮に本物でもクズアイテムだ」
「……。現実主義すぎ!」
おまけ付きのチョコを開ける瞬間のワクワクが大好きな永久だった。
「アンデット系の魔物は臭くて、もう、限界だ。永久、近道するぞ」
「えっ、転移石板でも見つけました?」
解は地面に右手の平を向けて丹田に力を込める。
「はっ、はっ、はぁーっ」
連続して発射される超濃密火球。
ズッバーン、ズッバーン、ズッバ、バーン!
「十階層くらい突き抜けたんじゃないか。ほいっ」
解は確認もせずに、できたばかりの穴に飛び込んだ。
「師匠、無茶ぶりですよ……。まあ、毎度ですけど。ほんじゃ私も、ほいっ」
こうして二人はあっという間にボス部屋の前。
「師匠、この穴、冒険者が落ちたら危険ですよ」
「そうだな。創気神、一柱建立、天」
解が丹田に力を込めると、足元に六芒星が浮かび上がり「創」の文字が光る。
その文字から白い光の柱が立ち上がり、消えた後に純白のレースドレスを纏ったストレートヘアの女児。
女児が手に持つフルートを奏でると、ダンジョンに穿たれた穴は一瞬にしてもとの姿に再生。
「天、ありがとう。助かった」
純白のレースドレスの女児はコクコクと頷いて消えた。
「師匠……、師匠といると底なしの無双ができますね」
「そんなことより、式神、蝶花の回収はいいのか?」
「そうでした。蝶花、迎えに来たよ」
永久が声をかけると岩の隙間から大きな瞳のトカゲが顔を出す。尻尾が千切れて痛々しい。
「待たせてごめんね」
永久はトカゲの頭を数回撫でて、妖気を補充する。トカゲの尻尾はみるみる再生して永久の尻尾に戻っていった。
「ガンダール・サーイ伯爵卿がキビ村に冒険者を派遣してくれたので式神、焔花も戻り、完璧ですよ私」
永久は狐耳を立ち上げ、九本の尻尾をクジャクのように広げて見せた。
ラスボス部屋の鉄扉を睨みつける解と永久。
城塞都市サーイのラスボス戦で感じた邪気に匹敵する濃密な瘴気に呼応し、妖刀鬼神解の鞘に巻き付いた地龍が激しくうねる。
土の街、城塞都市チーバのダンジョン最終決戦が、今、始まる。




