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大震災の元凶、地龍を倒して日本を救ったのに異界に追放されたので我流六気操術で無双します。  作者: 坂井ひいろ
第3章 城塞都市チーバ

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03-04 死霊使(ネクロマンサー)

ここはの街、城塞都市チーバの主城。


「ぬぐぐ」


豪勢な贈り物がズラリと飾られた謁見の間で領主、カッペーノ・チーバ伯爵卿は間者スパイの報告に苦虫を嚙んだような顔をしていた。


「それで、我が方はA級魔導士五人を失い、先方の損害はゼロ。さらに、みすみすガンダール・サーイ伯爵卿のお株を上げただけと……」


「ドラキュラキャッスルは壊滅、領主も眷属となった魔導士共々消滅。しかも手間なしで。全てカッペーノ伯爵卿様のお知恵の賜物でございます」


間者スパイは伯爵の功績を褒めたたえる。横に並ぶ大臣たちもウンウンと頷く。


「貴様ら、あほか!ただ不死身と言うだけで、辺境に籠って害も脅威もない脳筋の魔物ドラキュラなんぞどうでもよかったんだ」


ガンダ・サーイ伯爵卿は貧乏ゆすりを始める。でっぷりと太ったお腹が揺れに揺れる。


「それを勝手にA級魔導士五人を偵察に差し向けて眷属として取られましたとか、泣きついてきやがって。おい、大臣ども、お前らのことだぞ」


「はっ、いや、その……、手名付けてコマにしろとおっしゃられたのは伯爵様……」


カッペーノ・チーバ伯爵卿は椅子の横にあった剣を抜き間者スパイの首をはねる。


血しぶきがブシュっと飛び散り、大臣たちの顔を濡らす。


「祝勝パーティと言う名の名目で接待攻勢だ。田舎者に格の違いを見せつけてやる。やつらのA級冒険者を駒として取り込め」


カッペーノ・チーバ伯爵卿は目の前に転がった間者スパイの頭を忌々しそうに蹴り飛ばした。大理石の床に血の筋が走る。


「づぎ失敗したらお前らの首はないものと思え」


柱の陰から黒ローブをまとった男が現れてその頭を拾い上げて間者スパイの胴体に繋ぐ。


手先から集めた黒い魔力の光を魔石に込めて男の下腹部たんでんに植え付ける。


男は夢遊病者のように立ち上がる。それには殺された痛みも、恨みも、記憶も残されていない。


死んだ間者スパイは黒ローブの男の指示でふらふらと歩く。


部屋の隅まで行くとモップを取り出し、自分の血を掃除し始めた。


-----


ぞろぞろと退出する大臣たち。


「困りましたな。カッペーノ様の癇癪にも」


「仕方ない。領民の税を限界まで引き上げるしかないですな」


「漁村や農村など、働けもせず、子供も産めないババアどもの口減らしを進めるしかないな」


死霊ゾンビにすれば労働力になりますからな。各村の墓もあばきましょう」


「しかし、カッペーノ・チーバ伯爵卿お抱えの死霊使ネクロマンサー、あれはいったい何者なんですか。どうも気味が悪くて……」


「めったなことを口にするな」


「そうですぞ。あの方があるからチーバの公共工事は五都市きっての最強なんですぞ」


大臣たちはひそひそ話をしながらフカフカの高級絨毯の廊下をあるいた。


-----


真っ平らなチーバの街道を馬車で進む解と永久、白いタイツにかぼちゃパンツを着こなすガンダール・サーイ伯爵卿。


「師匠、チーバの街道は石ころもなく悔しいくらい広くて快適ですね。チーバなのに」


「ガンダール伯爵卿、アンデッド系魔物が巣くう土地は作物が育たないって言ってなかったか?サーイと比べて裕福に見えるが」


「チーバの領民税は五都市で一番高い。それにな……」


ガンダール・サーイ伯爵卿は先方を顎で示す。


血の滲んだぼろぼろの服をまとった男、女、子供が黙々と道を整備している。中には手足がないものも。


「しっ、師匠。何なんですか。気味が悪いですね。化け物ですか?退治しますか?」


「永久君、彼らは死霊ゾンビだ。意識もない死人奴隷。の街、城塞都市チーバの労働力さ」


「なるほど。土地がダメでも、死者がいるってことですか。気に入らないな」


解は不快そうに吐き捨てる。


「そうですね。あの男の子の傷、刀傷ですね……」


永久の顔が暗くなる。


「雄大な青い海、整備された土地。城塞都市チーバに住む裕福な市民と城壁の外に暮らす貧しい農民と漁師。これが今のチーバの実態さ」


「貧富の差が大きいってことですか。住民は蜂起したりしないんですか」


「魔法の使えるものとそうでないもの。力の差があまりに大きすぎる。反抗するだけ死人奴隷が増える」


「病んだ街ですね」


「ああ。生きている時は税に苦しみながら都市の為に清潔な食べ物を生産し、死ねば単純な肉体労働。都市だけが太っていく」


ガンダール・サーイ伯爵卿は青い空を見上げる。


「カッペーノ・チーバ伯爵卿とは帝都トキオの剣術魔法学園の同期でな。お互い領主の子息として青臭い夢を語り合ったものだ」


「それがどうしてこんな街になったんですか」


永久が不思議そうに尋ねる。


死霊使ネクロマンサー……」


ガンダール・サーイ伯爵卿は近づいてくる城塞都市チーバの城壁を睨みつけた。

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