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大震災の元凶、地龍を倒して日本を救ったのに異界に追放されたので我流六気操術で無双します。  作者: 坂井ひいろ
第2章 城塞都市サーイ

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02-07 ダンジョン、吹っ飛んでました

「何だこりゃー!」


半径百メートルはあろうかと言う巨大な縦穴。腰を抜かして一声叫んで気を失う強欲商人ゴウ。


「また気絶したよ、こいつ」


肝心なところで役立たず。


「師匠、この人、寝すぎですよね」


白目をむくゴウの頬をツンツンする永久。


ダンジョンの入り口はかろうじて残っているが、その下のフロアの各階が吹っ飛んだかの光景。


巨大な岩穴にネジを切ったようにフロアの端が螺旋の道となって残っている。


「師匠、これがダンジョンですか?なんかテンプレイメージと違いますね」


「ものすごい『邪気』を感じる」


ダンジョンスタンピードを起こした魔獣はこちらの異界の魔法ペンタグラムでは「金」。


我流六気操術がりゅうろくきそうじゅつの気相は『闘気』。


『邪気』は六芒星ヘキサグラムでは『闘気』の対極に当たる。


ちなみに異界の五芒星魔法理論で分類できない何か。


「未知の属性の魔物に追い立てられて、行き場を失った魔獣が全て逃げ出しスタンピードになったのだろう」


「それで十万の軍勢。大量脱出で穴が広がったと」


「いや、誰かがスタンピードを起こすためにダンジョンフロアを階数まとめて吹っ飛ばしたってのが正解かなー」


「ダンジョン魔物全部を一撃で抹殺した師匠とどっちが強いんですか?」


「互角ってところじゃないか」


解はニヤリと笑う。


「狭いダンジョン内で魔物が順番に出てきたら、個別撃破しなければならないから不利だな……」


「師匠のことだからそれでも無双しちゃうんでょ。で、あの技はなんなんですか?」


「ただの水平切りに我流六気操術の『闘気』を乗せただけ。日本は海で囲まれているからな。対艦隊戦で役立つかなって」


「米七艦隊を秒殺できるって嘘じゃなかったんですね……」


解は続けざまに思考する。


そんなことより……、


ケルベロスとミノタウルスあたりが中ボス、ゴールドドラゴンがラスボスだとするとこのダンジョンはもぬけの殻。


しかし、ここの『邪気』のレベルはスタンピードの魔物の比じゃない。


地下から縦穴を通って漏れ出る膨大な『邪気』。


解は眉をひそめる。


一方、『気』の質を見分けられなくても陰陽道を知る強者、九尾永久きゅうび とわも足がすくむ。


「師匠、底が見えませんが一気に飛び降りますか?」


「いや、ダンジョンの入り口から各フロアを螺旋に下ろう。敵の特質を見極めた方がいい」


「師匠でも慎重になることがあるんですね」


「俺は何時だって慎重だけど……」


そんなわけあるかい!むちゃぶりしか見たことない。


心の中で強がらないと心が折れてしまうくらいの『気』の量だ。閻魔大王に謁見した時を思い出すくらいの……。永久は覚悟を決める。


「そらっ」


グギ!


「あっ、だんな、あれっ、あっし……」


「寝てたから起こしてやった。ゴウ、商売の匂いがプンプンするだろ。行くぞ」


「いやその。商売と言うより死の匂いと言いますか、あっしはE級冒険者なのでダンジョンは立ち入り禁止と言いますか」


「『人生かけてお供いたしやす』って言った口はどこだったかな」


「っ……」


そうは言っても限度がある。想定外、規格外の化け物。


そんなのって……。


ゴウの心はとっくに折れている。と言うかもう数回はバッキバキに折れまくっている。


かと言って二人に置いていかれる勇気もない。


「あのー。戦闘になってもあっしのこと、忘れたりしないでくださいね」


「あぁ、ちゃんと守る」


「ほっ、ほんとですよね。ほんまにほんとですよね」


こうして解と永久、腰引けゴウの三人はダンジョンの入り口を潜ったのだった。

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