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大震災の元凶、地龍を倒して日本を救ったのに異界に追放されたので我流六気操術で無双します。  作者: 坂井ひいろ
第7章 城塞都市コーフ編

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07-14 国家予算で用意するからな

六本木の高層タワーの解の部屋に戻った解、永久、繭、そして冨士岡総理。


窓から見える東京のパノラマ。


ビル群の明かりの奥で何もなかった富士山が夕闇の中にたたずんでいる。


「師匠、何か忘れている気がするんですよね。あっ、思い出した。村井頭領をボコるの忘れてた!」


永久、愕然。


「くっ!そうだったな。あんまり情けない姿すぎてすっかりな」


解は苦笑い。


「そんなことを画策していたのか?」


冨士岡総理はあきれ顔。


「ぐやじぃー。人狼ガルムと鬼女ベニはボコったのに……」


永久、地団駄。


「っ……。人狼ガルムと鬼女ベニを知っているのか?」


冨士岡総理、仰天。


「五年前に村井頭領をボコって、陰陽師に俺達と同じ異界に追放されて冒険者として大活躍しているぞ。妖魔対策本部の陰陽師隊に残っていたら相当な戦力になったのにな。惜しい逸材を逃したものだ」


解はちょっとばかり誇張して、総理に知られないように永久にウインク。


「くっ、……」


冨士岡総理はギリギリと歯ぎしりし始める。


「そうですよ。妖魔対策本部の陰陽師隊が、手に負えない妖魔を粗大ゴミみたいに異界にポイ捨てするもんだから、異界の市民は大迷惑ですよ。責任者の顔を見せてやりたいです。その内、現世と異界で妖怪大戦争が始まりますね」


永久が追い込む。


「かっ、解。本当なのか?」


冨士岡総理の面目丸つぶれ。


「まあ、可能性はゼロじゃないですね。各国の組織もポイ捨てしてるみたいですから、サミットの議題にしたらどうです」


解はニヤリ。


「そう脅すな。そんなことを公表したら世界は大混乱。株価は下落して世界恐慌だぞ」


冨士岡総理、タジタジ。


きっと今頃、異界の城塞都市サーイギルド長、通称髭マッチョのヨウの胃がキリキリしているんだろうなと思う。


「ところで冨士岡総理。神獣火龍討伐の報酬、私の分もあるんですよね」


打って変わって永久、ニンマリ顔。


「とっ、当然だ」


とんでもない金額を請求されそうで、冨士岡総理は一歩後退。


「なら、追放されてから発刊された漫画本とアニメのDVD。まるまるっと全て耳をそろえて、この部屋に所望します。漫画もDVDも保存用と鑑賞用で各2セットです。DVDは初回限定版の特典付きですよ。間違えないでくださいよ。あっ、それとイタリア製のソファーとポテチセットもです」


永久、口角を上げる。


「っ……とっ、永久。ここに居座る気か?」


今度は解は冷や汗。


「師匠、今は私の無双ターンなんですから、口挟まないでください」


永久の狐耳がピーン、九本の尻尾がクジャクみたいに広がる。ついでに妖気が陽炎のようにぶわり。


「わかった、わかった。国家予算で用意するからな。耳と尻尾をしまってくれ」


冨士岡総理が追い詰められてタジタジ。


「永久ちゃん、解君。名残惜しいでしょうが、そろそろ行きましょう」


その間、三人の会話を笑顔で見守っていた、唯一の精神的大人である繭が告げる。


「そうですね。総理いじりも飽きたところだし」


「親父、じゃ、またな」


トン、トン、トン。


ギギー。


トン、トン、トン。


パタン。


三人は階段を上って隠し扉を下から押し上げて階上へと消えた。


冨士岡総理は頼もしくなったなと思いながら見送るのだった。


こうして未曽有の大惨事、富士山大爆発は日本国民に知られることなく事なきを得たのだった。


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