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大震災の元凶、地龍を倒して日本を救ったのに異界に追放されたので我流六気操術で無双します。  作者: 坂井ひいろ
第7章 城塞都市コーフ編

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07-11 高校生が習えるもんなんですか?

「なっ……。師匠、ここって……」


階段を下りた先は現世の東京のマンションの一室だった。


「永久、言い忘れていた。現世の部屋の上に時空の狭間の部屋を置いてメゾネットにしたんだよ。オシャレだろ」


解は悪戯っぽく笑う。


東京の街が一望できるパノラマ仕様に巨大窓。富士山の景色もバッチ見える。


「師匠、ここ、もしかして。テレビによく出る六本木の高層タワーじゃないですか?芸能人とかIT企業の社長しか住めない超高級物件……」


永久は窓に張り付くように景色を眺める。


「ああ、最上階のワンフロアを冨士総理にねだったからな」


解はちょっと得意げ。


「わっ、解さんがくれるチョコがこんなに!って、解君。こんな高級チョコレート、お金の無駄遣いです」


キビ村のマユと現世の吉澤繭(よしざわ まゆ)の記憶が交錯している繭。


段ボール山積みの銀座で話題のショコラティエ作の一枚一万円越えのチョコレートの山。


「どうやって仕入れたんですか!」


永久はプンスカ。


「んっ?スマホのSNSでデリバリーだけど」


解はポケットからスマートフォンを出す。


「師匠、地龍を倒して世界からヤバいやつ認定されて異界に追放されたんですよね!?」


永久ブチ切れ寸前。


「まあ、そうだけど。結果、妖魔対策本部の陰陽師の頭領村井じゃ、心配だろ。一回追放して、諸外国に納得いただいて、富士山がヤバくなったら帰って来いってのが冨士岡の狸親父の考えたシナリオなんだよ。スマホで連絡入れてるからもうすぐ来るんじゃないか」


解はちょっとオロオロ。


「っ……。内閣総理大臣とグル!?わかりましたよ。総理に仕返しします。グフフ」


永久は何かを思いついたのかニンマリ顔。


チーン。


タイミングよく、エレベーターが到着。フロア全部が一軒なので、この階で下りれるのはこの部屋のカードキーを持つものだけ。


ドアが開いた瞬間、内閣総理大臣、冨士岡洋(ふじおか よう)は吉澤繭(よしざわ まゆ)に向かってまっしぐら。


「「っ……」」


解と永久は眼中になし。


「繭、生きていたのか!良かった。本当に良かった」


繭の肩に手を置いて泣き崩れる冨士岡内閣総理大臣。


繭から献身的な介護の件を聞いてはいたが、それはそれ、納得できない解と永久。


「あれれれれ。総理の何時から美少女趣味になったんですか、総理。私、知ってますよ。総理の趣味は『いくぞ!変身(へぇーんしん)』ですよね」


「それとミヤマクワガタな。うん、あれはカッコいいもんなー」


永久と解は並んでニヤニヤ。


「なっ、なぜそれを……」


冨士岡内閣総理大臣は仕事のストレスが溜まると総理官邸でこっそり変身ポーズをきめていた。


なぜか知らないが、最近はリアルな夢さえ見てしまう。


「ってか、九尾永久!」


冨士岡内閣総理は永久に駆け寄り、太った体で永久を抱え上げて恐怖の針金無精髭を頬に寄せる。


ジョリ、ジョリ。


チク、チク。


「ぬぐっ……。髭刺さってるから、もう頬ずりやめてー、異界と同じじゃん」


「親父……、はあぁ」


ため息ついて項垂れる解。


金(コン)の街、城塞都市サーイのギルド長のヨウとの出会いのデジャヴュ。


「そんなことしている場合かよ、親父。このマンションを公費で俺に借り与えている意味を思い出してくれ」


解は気を取り直して冷静に伝える。


「おっ、解。久しぶりだな。そうだった。積もる話は後だ。この上のヘリポートに例の物を航空自衛隊の新田原基地の極秘倉庫から二機、呼び寄せてある」


解は人を追放しといて挨拶それだけかよと思ったが、時間がないのも確かだ。


「総理、急ごう。妖魔対策本部の陰陽師じゃ、今晩までもつかどうかだ」


冨士岡総理、解、永久、繭はエレベーターで屋上に向かった。


-----


「っ……。師匠、あれ、ヘリじゃないですよね!?」


エレベーターの扉が屋上で開いた瞬間、永久は絶句する。


「ああ、自衛隊最高指揮官に頼んで、米国製超音速 垂直着陸(STOVL)戦闘機を日本の技術で複座式に改良してもらった」


解はシレッと答える。


「ぐぐぐっ。自衛隊最高指揮官って冨士岡総理じゃないですか。師匠、どこまで無双する気ですか!」


永久は呆れ果てる。


「日本始まって以来の有事だからな、これくらい当然な」


どや顔の解。


「解、調子に乗って壊すなよ。一機二百億円の税金が投入されているんだからな」


と言いながら冨士岡総理はパイロットからヘルメット二個を預かり、一個を解に手渡す。


「まっ、まさか。総理と師匠が操縦……」


永久、ドン引き。


「あれっ?俺さっき複座式って言ったよな。それに冨士岡総理はああ見えて空自出身の元飛行機乗りだぞ。知らなかったのか?」


解はヘルメットを被りながら説明する。


確か大統領が元パイロットなんて都合主義の映画があったような気がする永久。しかし、それはそれ、これはこれ。


「総理も心配ですが、師匠はもっと心配です。いつ操縦訓練したんですか。だいたい、高校生が習えるもんなんですか?」


永久は腰が引ける。


「大丈夫。シミュレーションでは新田原基地のパイロットを抜いてダントツ一位な。複座に合わせて操縦もほぼAIで自動化。改善改良技術は日本のお家芸だからな」


「……」


永久は後ずさる。


「それにいざとなったら飛び降りればいいだろ。ってことで、飛び降りても死にそうもないのは永久だから、お前はこっちな。早くいかないとボコる前に陰陽師の頭領村井が死んでしまうだろ」


解はニヤリと笑う。


「師匠、村井頭領をボコるために行くんですか?」


永久は苦笑い。


「命を懸ける理由なんてそんなもんさ」


解は永久の首根っこをつかみ上げて、垂直着陸(STOVL)戦闘機の座席に向かった。


隣の戦闘機の複座には冨士岡総理と繭がVサイン。


「繭ちゃん、腹くくるのメチャはや!?」


-----


グオオオオオォー。


唸るジェットエンジン。


垂直に浮上する垂直着陸(STOVL)戦闘機。


バシューン。


二機の戦闘機は夕暮れで赤く染まる富士山に向かって音速で飛ぶ。


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