第23話 DD51重連
都会の駅から水上へ向かうDD51の最後の重連運転。
自分は一人、都会の駅の近くの駐車場からそれを見た後、上越線で列車を追い、水上手前の上牧駅近くの公民館から撮影。折り返しの上り列車を、川を渡る鉄橋で撮影し、都会の駅まで行き、都会の駅の機関区に入る入換作業を撮影する。
洋館の町を出て、都会の駅に行き、南へ歩いたアリーナから機関区を見てみると、DD51‐842と895の重連がちょうど、機関区から出て来たところだった。
多くの同業者に混じってそれを撮影。
「ピッ!」と汽笛が聞こえる。
電気機関車のそれとは違い、どこか寂し気に透き通った汽笛を鳴らし、電留線に留置されている旧型客車に連結。そして、駅に入線するため、一旦推進で、機関区の方へバックすると、電気機関車EF65‐501がパンタグラフを降ろして止まっているのが見えた。一応、構内移動はするのだろうが、もう旅客列車として動くことはないEF65‐501。
かつては、東海道本線でブルートレインを牽引したEF65の500番台のトップバッターだが、その仲間はみんな引退し、535号機が東芝府中事業所、520号機が碓氷峠鉄道文化むらに居るが、この501が引退することで、本線上から500番台を冠するEF65は完全に姿を消す。
パンタグラフを降ろして佇む様子は、抜け殻になってしまったように見えた。
そして、その抜け殻になってしまったEF65‐501を横目に、今日の運用に就くDD51重連もまた、寂し気だ。
自分は駅の北側へ移動し、駐車場の中からDD51重連のさよなら列車を見送る。
駅のホームは大賑わいだ。
そして、その駅のホームにDD51重連が入線している様子を望遠レンズで撮影し、発車時刻になると、ガラスの笛のように透き通った汽笛を鳴らし、DD51重連のさよなら列車が都会の駅を発車する。
今日は鉛色の空。今にも雨が降りそうだ。
事実、水上駅近くは霧雨だと言う。
その霧雨に向かって、自分もDD51重連を追って普通列車に乗るが、車内は同業者で一杯。渋川駅で、DD51重連を追い越し、川を渡る鉄橋を見てみると鉄橋の袂には多くの鉄道好きがカメラを構えて待っているのが見えた。
以前、蒸気機関車の重連運転をやった際も凄い人出だったが、今回はそれに匹敵する程だ。
敷島や沼田を過ぎ、同業者達は徐々に列車を降りて撮影地に向かって行く。
水上の一駅手前の上牧駅で列車を降りた時、鉛色の空から遂に雨が降って来た。傘を差し、公民館まで歩き、公民館で撮影準備をしていた時には、視界も悪くなっていた。
そして、雨のカーテンを切り裂くように、紅いディーゼル機関車DD51の重連はヘッドライトの灯りを照らして水上へ向かって、汽笛を鳴らしながら駆け抜けて行った。
(ジオラマの世界で、DD51は生きられる。現実の世界から消えても。でも、消える前の最後の姿も見届けなければ。)
と思う。
だからこそ、都会の駅に戻る列車の撮影地は、渋川駅より水上側へ行ったところにある、川を渡る大きな鉄橋にした。
上牧駅から上り列車で渋川駅まで戻り、キヨスクでちょっとした菓子パンとお茶を買って、鉄橋まで歩く。
撮影機材に加えて、アウトドア用の小さい椅子を背負って歩いているのだから重い。このところの運動不足も重なって疲れる。
ゼェゼェ言いながら、鉄橋と並行する国道の橋の歩道橋まで歩いてきた。
ここで列車まで待ちながら、アウトドア用の椅子を広げて座り、キオスクで買った菓子パンとお茶で昼食にしながら、午前中に撮影した写真を持ってきたノートパソコンに入れて、パン屋のブログ記事を作成。
(SNS担当しおり。ブログ記事担当リオナ。良いのか悪いのかは分からないけど、こうした事で、駅前のパン屋こと「ベーカリーステーションレンガ」をきっかけに、洋館の町が盛り上がってくれたらいいな。)
と思う。
上りの普通列車と、EH200牽引の貨物列車がそれぞれ1本通過したのを撮影し、太陽が西に少し傾いた頃、DD51重連の上り列車がやって来た。
この頃にはもう、雨はすっかり止んで、東の空には虹も見えている程。しかし、自分の居る位置からでは、列車と虹全体を一緒に写すことは困難。それでも、自分はDD51重連を狙ってファインダーを覗き、シャッターを切る。
切り終わって、撮れた写真を見て「おっ!」と言う。
虹の端の部分だけ写ればいいと思っていたら、虹の端の部分がちょうど、DD51重連の本務機にあたる、DD51‐842と重なっていたのだ。
早速、パソコンにその写真を移し、いつでも編集できるようにした状態で、渋川駅まで歩き、渋川駅を発車する上りDD51重連に間に合った。ダメ元でDD51重連の列車の指定席券を買い求めるとギリギリで1枚取れたので、急いで乗車。
車内の様子を撮りながら、都会の駅に戻って来た。入換作業の様子を撮影するのは取り止め、直ぐに来る両毛線の列車に乗り換えて、洋館の町へ帰りながら、写真を編集し、それを使ってブログ記事を書き終えた時、両毛線の211系の普通列車は洋館の町の駅に到着した。
明日は、EF64電気機関車の重連運転が走るのだが、日曜日で観光客も来るだろうと思い、明日は駅前のパン屋こと「ベーカリーステーションレンガ」でバイトして、手が空いたらジオラマの最後の仕上げだ。
いや、本当は不要な部分である、コールサックへ向かう分岐線部分のジオラマなのだが、今日のDD51重連を見てふと、脳裏に浮かんだ光景がある。
そこには、DD51重連は入る事は無いし、そもそも、線路は繋がっているが、ポイントは常時安全側線側に固定され、更にそっちへ行く線路は端数レールの、レールを外した物を繋いでいるため、物理的にそちらへ列車は行かない。なので、失敗したら、その部分は外してしまっても構わない。
(思い立ったが吉日。鉄は熱いうちに打て!)
と、思った。




