終ー1
終章
クイが動けるようになるまで、一週間がかかった。
女官たちの話によれば、結婚式は当分延期になったらしい。
クイが怪我をしたのが原因なのだが、その間にウテリア領は麦の収穫期に入ってしまい、領主の結婚式どころではなくなってしまったからだ。
それに、オレリアスも多忙を極めていた。
結界が整い魔獣の襲来が減ったために、領軍が再編されることが決まったからだ。
ただ、領軍を縮小する方針は決まっても、必要な兵力と兵たちの希望とをすり合わせるのは難しい。しかも、今は農繁期で、少しでも労働力がほしい農民たちから、矢のような催促がある。
そのため、調整会議は、連日遅くまで行われていた。
オレリアスが館に戻ってこない日も増えて、クイは、なかなかオレリアスに会えなくなった。
三週間も経つと、新しい事業を立ち上げたクイの方も忙しくなった。
それは、クイが大量に採取した魔草を薬に加工し、ウテリア領の新しい特産品にしようという計画だ。今は、魔草の生息分布図と薬の試作品を持って、商人たちに資金を募っている。少しずつ試作品の種類も増えはじめていて、いずれ、大きな加工所がウテリア領に建つことになるだろう。そうすれば、ウテリア領民が出稼ぎに行く必要もなくなる。そして、ウテリア領に、立派な障壁を築く事だってできるかもしれない。




