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6-7

 訓練所を見渡せる木の根元までやってくると、オレリアスは、見上げもせずに、

「スフィア、警戒を解除して、兵たちに休みをやってくれ。」

と呟いた。兵たちに休みをやれるのは、久しぶりだ。

 すると、木の上から、スフィアの声が降ってきた。

「最低ね!」

 その言葉にオレリアスは笑った。

 予想通りの言葉。

 オレリアスは、そのまま、

「あとは任せる。」

と言って、その場を離れた。

「任せるって、クイをあのままにするつもりなの?!」

 スフィアがいつもの調子で責め立てていたが、オレリアスは、何も答えず、足も止めなかった。

 まとわりつくわずらわしさを振り払うように、オレリアスは、通いなれた道を無心で歩く。

 ひたすら歩き続けていると、麦畑の向こうに中心街が見えた。

(……言われなくても、分かっている。)

 実際、クイは、充分すぎるほど結界士として働いていた。

 彼女がウテリア領の結界を整えたお蔭で、領内に瘴気を感じなくなっていたし、魔獣の目撃情報も聞かなくなった。それに、彼女が結界術を教えたお蔭で、あのヒューが生き生きと仕事をする姿を初めて見た。

(教えてやればよかったんだ。)

 ウテリア領民が、クイをどう思っているか。

 だが、オレリアスは、それすらクイに教えてやることができなかった。

(くそっ。)

 今もなお、後悔よりも、怒りが先に立っている。

 オレリアスは、やり場のない怒りにのまれて、中心街をにらみつけた。

(俺だ。俺なんだ! 軍将になってからの四年間、このウテリア領を守り抜いてきたのは、この俺なんだ。)


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