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クイの初デートは、キュン死寸前だった。
いきなりオレリアスが、名前で呼び合おうと提案してきて、もうそこからダメだった。クイはずっと、パニック状態にある。
「……オ、オオオ、オレリアス……。」
喋る事もままならない。
「ん? なんだい? クイ。」
「はぅ。」
親しげな口調で呼ばれるだけで、思わず昇天しそうになる。
こんなに何度も臨死体験を味わうことになるなんて。
ふらふらのクイに、オレリアスは、困ったように頭をかいた。
「早く慣れてくれないかな。こちらまで照れてしまうじゃないか。」
「ごごご、ごめんなさい。」
でも、落ち着けないのは、オレリアスのせいだ。
オレリアスはなぜか、ずっと、クイの手を握っていて、そのせいで、クイは魂が半分抜け出てしまっていた。空中をぷかぷか浮いているような感覚のまま、足が地面についている実感もない。
「まずは、中心街に行ってみようか、クイ。」
「はぅ。」
二人は、中心街を通って、果樹園を散策したあと、農作業中の領民に冷やかされながら、ウテリア川のほとりを歩いた。ウテリア川の流れは緩やかで浅く、そこで遊ぶ子供たちを眺めてから、二人は、街道沿いまで南下し、その通りにある小さな甘味処を目指すことにした。




