日常
チャイムが鳴り、授業が終わった。明日提出の宿題をもらって、授業が終わった。翔を見てみるとどこか落ち込んでいる。
「翔、どんまい。」
俺は翔の頭に手をポンと置いて、慰めるように、煽るようにそう言った。
「はあ?俺別に悪くないし。」
まだ意地を張れる翔に違う感動を覚えた。
翔は授業が始まった後に教科書やらノートを取りに行って、そこへちょうどやってきた先生に見つかってこっぴどく怒られてた。普段ならその程度のことで怒らないが、今日は機嫌が悪かったらしい。おそらく、先生の好きな野球チームが昨日負けたのだろう。あの先生が機嫌が悪い時なんて大体そうだ。そのおかけで翔は遅刻やら準備不足やらでいろいろ怒られた。
「つーか、そもそも、先生も遅刻してきたやん。休み時間に来てなかったやん。なんでそれで俺だけ怒られるん。ほんま意味わからん。」
「それは...そう。」
先生は授業が始まった後にやってきたというのに、自分は謝らないのだ。それに、翔は怒っているらしい。
「あーもういいや。遊んでこよ」
「ぐっばいだ」
翔はそう言うと、外へ出て、近くの友達に抱き着きにいった。
あれは、低身長の特権だろう。そんなことを遠目で思いながら、俺は、先ほどの10分休みと同じように、ももの席へと向かった。そこにはもうすでにももと真似は待機しており、すでに何やらたくさん話し合っていた。
「何話してんの?」
俺が聞くと、真似は、
「翔って...ありゃあ、無理無理言うタイプのうけでごわす。ふ、腐腐。」
「ふふ、確かにそうかも。」
それは...そうかも。
「そういえば、真似さっきの休み時間に何か言おうとしてなかった?」
真似は思い出したかのように、顔を上げて口を開けた。
「そう、俊さん。俊さんはバースはご存じですか。」
「まあ、それくらいは。」
バース。それは基本の世界設定から、新しい設定を追加で加えたものだ。簡単に言うと、ほぼ異世界みたいな設定で、世界は現実世界みたいな感じだ。例えば、獣人が出てきたり、色々ある。そういうものだ。
「そういう系を俊さんは見たことがありますか?ちなみにワイはケーキとフォークが好きでごわす。」
「俺は...そういうのあんまり見ないかも。」
「そっか...」
「俺、ケーキとフォーク知らないかも。何それ。」
すると、真似は目を輝かして、色々と語り始めた。
「まず、ケーキが先天性に与えられたもので、本人には自覚がなくてですね...その次にフォークが後天性に与えられたもので、味覚が失われていて…」
矢継ぎ早に話始める。いつ息をしているのか疑問に思いながら、体感二倍ぐらいの速さになっている言葉をできる限り聞いていく。
「なるほどね。」
「わかったでごわすか?」
「大体は」
真似は満足したように、顔を緩めた。
時計を見ると、すでに五分が経過していた。つまり、真似がやく4分近く話していたことを知らせる合図でもあった。それに少し驚きながら、あることに気づいた。
「やば、俺教科書机に置いていないわ。ちょっと持ってくる。」
後ろにおいてある棚から教科書を持ってこようと席から立った。次は数学だから、棚は...廊下側の方か。
そちらに向かって、数学の教科書を取り出すと、後ろから頭を叩かれた。
「いた」
振り向いてみると、そこにいたのは紛れもなく、隼人だった。隼人は「よ」と簡単な挨拶をした後に、俺に近づいた。
「あー、今日は、一緒に帰れるから。昨日はごめん。」
「あーおっけ。」
そういわれた俺はあくまで自然に返事をした。
隼人の分の数学の教科書を棚から取り出して、隼人に渡した。俺も机に向かって、教科書に置いた。
同じ日常があるだけで、それだけで、嬉しい。




