運命か、醜悪か
始めは、全然好きじゃなかった。本当に普通の友達で、たまたま習い事が一緒の、所詮その程度の友達だった。
でも、いつからだろう。いつからか、俺は、君を追いかけてしまうようになってしまった。目が勝手に動いてしまう。君の言葉に体が動いていしまう。
本当に、良くないことだとわかっているつもりだ。知っているのだ。俺は。知ってしまっているのだ。本当は、知りたくなかったのかもしれない。どこか、嘘だと思いたかった。嘘だと願うしか、俺にはなかった。
それしか、選択肢を俺は持つことができなかった。
――そんな気持ちは、全部心の端っこに詰め込んでおく。少なくとも、今は。
「お、隼人。おは」
「ん。」
「今日隼人にしてはいつもより早いな。」
そういうと、隼人は頭をかきながらにやけてこう言った。その顔が少し赤くなっていたのを、俺は見逃さなかった。
「めっちゃ、時間間違えたよね。勝手に寝坊やと思って、焦ってて急いで学校着たら全然余裕やった。」
好きな人と、起きたことが似てしまっているのは、運命なのか。それとも、ただ、共通点を見つけようと必死な、醜い者なのか。俺にはわからない。
「まじで?俺も今日寝坊した。」
そういうと、次は、お互いに笑いあった。
くだらない、実にくだらない。そんなことがとても俺にとってはうれしいのだ。くだらないことを喋りあえることがとてもうれしいのだ。
一限目が終わると、静かだったクラスは再び活気を取り戻す。
俺のクラスは、授業ごとに態度が180度くらいクラスだ。ある先生の前では馬鹿みたいに騒ぐくせに、違う先生の前になると、授業中何もしゃべらなさ過ぎて逆に怒られる、なんてこともある。一時間目は、しゃべらない方の授業で、案の定、今日も怒られた。
怒られたら怒られたで、さらにみんなはしゃべらなくなることを知らないのだろう。先生が怒るところを見ると、いつも心の中で笑っている。
隼人は別の友達と遊びに行ったので、俺はつられるように、気ままにももの席へと向かった。
「やっほ」
「ああ、俊じゃん。どう?最近は?隼人といい感じ?」
「...ノーコメントで」
ももは「そうだよね、言えないよね」とくすっと鼻で笑いながら、話題を変えた。
「それじゃあ、語ろうか」
「腐腐、もちろんでござる」
いつの間にか来ていた真似も加えて、腐ったトークが始まる。
いつもの、何気なくなってきてしまっている、腐腐トーク。略して腐トン。話の内容は、気の向くままに、楽しいままに。
廊下にいる君の姿を頭の片隅で思い浮かべながら、俺はトークに参加した。
――きっと、俺は悪者だ。




