一番
あんなに楽しかった勉強会、いや、最後はほとんどゲームをしていただけなんだけど、そんな勉強会は午後23:58に終わった。
「俺寝るわー。おやすみ。」
俺がそう言うと、翔と隼人はおやすみと相槌が打っ。俺はそれにさらに相槌を打って、通話退出ボタンを押した。
ピコンという音が聞こえた後、静寂が広がった。あんなに騒がしかった耳元が今では随分と静かだ。隼人と翔はもう少し勉強するらしい。正直日を越えて勉強することが俺にはできないので、ここでギブアップといったところだ。俺は日を越えるごろには眠くなってしまうから。
自室の扉を開けてみると、リビングは既に真っ暗で、もう親が寝に行ったことがわかった。
コップを棚から取り出して水を入れる。時刻はもう0:02。だいぶ眠い。
水を飲むと、ベッドにどーんとダイブする。スプリングが響く。少し割れないか不安だけど、そんなことは、布団を羽織ると消えてしまった。電気が消えると、暗くなって、瞼を閉じるともっと暗くなる。ただ、瞼の裏に映るのは、真っ暗な景色ではなくて、今日の景色が映っていたりもする。
真似とももが先生らを腐った目をして見てたっけ。それを想像しようとすると、案外鮮明にできてしまいそうな気がして、他のことを考えようとしたな。視線を逸らした先には、君がいて。
感慨深くもなんともない一日だけど、俺はそんな一日が好きだ。平凡で、単調で変わり映えのない日常が、俺の心を、安心させてくれる。今日という日が俺にとっての精神安定剤で、俺にとっての一番だ。一番が今もあるままだなんて嬉しくってたまらない。明日もまた、そんな一番が続きますように。
俺はそんなことを考えた後、意識を手放した。
朝、親の声で目が覚めた。
おかしい。普段はアラームの音で起きるはずなのに。
違和感を感じながら、いつものように、テレビを見てみると、アナウンサーの声が飛んできた。
「まもなく7:58。続いては…」
…まずい、寝坊だ。
俺は急いでおにぎりを口の中に詰め込みながら、服を着替えて、そして、お茶で口に流し込んだ。時間を見てみると8:09。集合時間は8:10。俺が今ある場所からだと大体2分ぐらい。
…大丈夫。ギリギリ。リュックを背にかけて、急いで待ってくれているはずのきっしーの元へ向かう。遅れたら怒ってくるからあいつ。自分はいつも遅れてくるくせに。もし今日に限って早く来てたらキレよう、
そんなことを考えながら向かうと、案の定、いつも通りきっしーはいなかった。それに少しの安堵を感じつつも、なんだか怒りが沸いてきた。
あいつもうちょっと早くこいよ。
そんなことを思っているとすぐにやってきて、俺は少し怒りながら学校へと向かった。まあまあ、とずっと俺をまるで子供のように可愛がるきっしーを横にしながら。
学校には、すでに君がいた。珍しく早く、学校に着いている君がいた。
俺にとっての最高の一番。




