平然
「あーまじで?そう見えちゃう?」
頑張って、平然を装う。
「まじでまじで、なんか隼人と話すときだけ、めっちゃ笑顔で、多分ちょっと顔赤い。」
「…まじで?」
「まじ」
やばい、そうなんだ。
「まあ、あいつおもしろいし。」
「確かしたかし」
「誰やねんたかしって」
「しらなーい」
俺は、もしかしたら隠すことが下手なのかもしれない、改めてそう思った。真似とももは、元が腐ってるからそういう発想に至るのかもしれないという仮説がたてれるけど、朱羅は違う。腐女子じゃない。じゃない…はず。きっと違う。聞いたことないし。多分。腐女子はそんなに俺の学校に多くない。絶対にそう。うん。朱羅はそんなのじゃないから、本当に自分の勘でいいところまでいったことになる。勘の鋭さに感激するとともに、大きな恐怖を覚えてしまう。ばれてしまうのかも、と。
そのとき、玄関の扉が開いた。
「ただいまー」
その声が聞こえた後に俺は朱羅にこう言った。
「俺親帰ってきたから一回抜けるわ。」
「え、待って。私も今帰ってきた。」
「まじで?」
「まじでまじで」
「やば」
会話にどこかのデジャヴを感じつつもそう返す。どこか、似たり寄ったりだ。俺と朱羅は。
通話を退出するボタンを押して、通話が終了する。切るときに通話時間を見たら3時間だった。そのうち一時間くらいはゲームをしていたので、大体二時間勉強をしていたことになる。まあまあいい方ではないのだろうか。この後にも勉強はするし、通話していない間にも勉強はしているのだから。
ご飯を食べたり、風呂に入ったり、勉強に入ったりしていくうちに、時間は過ぎて言って、気づけば時間は22時を示していた。通話アプリを開くと10分前からすでに始められていて、隼人は独りぼっちで通話していた。そのことにふっと笑いながら、俺は通話に参加した。
「ども」
「――」
「ども?」
「うわ、びっくりした。」
そう慌てる隼人。
「さっきまでぼっちやった隼人さんやん。」
「誰も入ってくれんかったんやけど。」
「かわいそ。」
「次からは俺から通話作らんわ。」
「拗ねてる~」
「拗ねてないし。」
運命か必然か。俺が入った直ぐ後に、翔が入ってくる。
「あ、ぼっちだった隼人さんやん。」
「みんな言ってくるやん、なんなん。」
「かわいそ。」
再びデジャヴを疑う会話を聞きながら、通話の人数は三人になった。いつもの三人。班が一緒の三人。班には真似もいるけれど、男子なのは俺たち。よくしゃべる三人。
明日も、明後日もずっとこんな風に。




