通話
言葉を、投げる。
「っていうか、明日の体育だるくね?」
「それな」
それは、日頃のことだったり、
「うわ、俺のやってたゲームコラボしてるわ」
「あー、あれな」
それは、急に支離滅裂になったり、
「隼人本読もうぜ」
「それするんやったら野球するわ」
そうやって、笑いながら喋る君が素敵で、学校が楽しくて。2人だけというのはそれだけで、どこか緊張してしまう。三人になったら、すぐにこの緊張は無くなってしまうのに、2人というだけで、なぜか、胸が熱くなる。
「ゲームしよ」
提案されたら、ノーなんて言えなくて、
「いいよ」
その言葉が、スマホ越しに隼人の元へ届く。
スマホを横にして、ゲームアプリを起動する。
「俊下手やな」
「俺一応このゲーム一年ぐらいやってねんけど」
「まあ俺三年だから」
「はいはい、すみませんねー」
試合が始まり、終わり、時間が流れていく。勉強会のはずなのに、しているのはなぜかゲームだ。まあ、一日一時間のゲームは、脳に良い効果あるらしいのだから、おそらくこれも勉強の一環だろう。きっと、多分、絶対。
30分ほど経ったころ、朱羅と翔が入ってきた。
「ぶいいいいいいいいいんんんん」
「どうもぉ」
翔のよくわからない叫びとも言えない雄叫びと、朱羅のまるでお笑い芸人かのような挨拶で空間がまた新たに入れ替わる。
俺と隼人は、していたゲームをやめて、やっと本格的に勉強の方へと移る。雑談しながらの勉強会へと、舞台は変わっていく。それは、少し名残惜して、胸から何かが抜けたような感覚になる。でも、抜けた何かを取り返して、俺になる。
「じゃあ、勉強するか」
「ん」
ただ、「えー」と、そう言う声が聞こえた。
「はあ?俺抜きでゲームしてたのにやめんの?俺やってないのに?」
遅くから入ってきた翔がそう告げる。そんなにいうならもっと早く通話入ってきたらよかったのに。それに、あいつさっきまで他のゲームしてたの知ってるぞ。オンラインの表示消してなかったくせに。
「お前が遅かったからだろ」
淡々と正論を言う隼人。俺もそれに合わせて愚痴を言う。
「お前がさっきまで、ゲームしてたくせになにいってんの?」
「は?やってないし?証拠あんの?」
「お前のアカウントオフライン2分前って書いてるけど」
急に黙り込んだ翔。悔しそうにしているのが通話越しでもわかる。てかもう、完璧にイメージできる。
「じゃあ私勉強するから」
そう朱羅が言ったことで、改めて勉強へとフェーズが移っていった。
勉強なんかより、俺は。




