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金の獅子と銀の竜  作者: じゃっすん
故郷への帰還
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初めての眷属

 5日ほど眠ったレオノールは、スッキリと目を覚ました。サイフィードに会いたいがために、少し焦っていたようだ。まだラプトル隊の皆にも挨拶をしていないのに。それに……帰ったらやろうと思っていた事を思い出したのだ。


 それは眷属を創ること。


 眷属は誰でもいいという訳ではなく、主に対する絶対の忠誠心が必要だ。寿命から切り離され、主のために生き、主のために死ぬ。それが眷属の絶対条件。

 これはギルバートとアークバルトも変わらないのだが……金獅子の間でのみ眷属の融通が可能となる。ジルとバーニャがこのパターンだ。もちろん本人の了承は必要だが。

 レオノールは純粋な金獅子ではないので、眷属は自分で得るしかない。その最有力候補が……


「ぎぃ わたしの けんぞく なる」


 ラプトルのギィだ。

 ギィが「クルルッ!」と力強く鳴き、レオノールとの間に(パス)が通った。ギィの自分に対する愛情と忠誠を感じ、レオノールは強く望んだ――自分の眷属たれ、と。


 次の瞬間、ギィの体がカッと光る。


 レオノールは自分の力がギィに流れ込んでいるのを感じた。そうして新しく生まれ直すのだ。自分の眷属として。

 光が収まればそこにはラプトル……ではなく、角と翼を持ったドラゴンがいた。サイズは以前と同じだが。


「ぎぃ かっこいい」


 レオノールがギィの周りをグルグル回っていると、本竜は翼が気になるのかバサバサと動かしている。

 その様子を少し離れた場所で見ていたアークバルトとギルバートは唸った。


「ラプトルが眷属になるもんなのか?」


「レオノールはラプトルと会話できるから可能なのだろうな」


 ギルバートは人間以外の眷属は持っていない。というか、代々の金獅子の間でもそうだ。初めて見る珍事に2人は興味深そうにギィを見た。


「それで何の力を得たんだ?」


 眷属は主の力の一部を譲渡される。

 ジルとバーニャはレオノールの護衛も兼ねているために"力"に極振りしてある。影は姿を消すために光を操る力が標準装備だ。

 レオノールは眷属自慢をするためにビシリと人差し指をギィに突きつけた。


「ぎぃ ぶれす はく」


 レオノールの意を酌んだギィの喉が大きく膨らみ、次の瞬間氷のブレスが放たれる!

 それは"死"の力が内包されており、周囲の木々が凍ると同時に、キラキラと光を反射しながら木っ端微塵に弾け飛んだ。


「ハハハッ!こりゃスゲェ!流石はレオノールだ!」


 アークバルトに高い高いをされたレオノールは、そのままクルクルと回される。嬉しくなってキャッキャと笑っていると、ギィが今度は氷魔法を披露してくれる。


「普通は力を与えすぎると破裂するが……よっぽど相性が良かったようだな」


 幸いなことに、ボソリと呟かれたギルバートの言葉は誰にも聞かれることなく消えていった。


「よし!今日からテメェはレオノールの護衛だ。分かったな?」


「ククッ!」


 こうしてギィは、レオノールの乳母改め護衛にジョブチェンジした。






 ギィのお披露目するために、レオノールは背中に乗ってラプトル隊の元へ向かっていた。空はまだ飛べないので地面を歩いての訪問だ。


「レオノール様!お久しぶりス!」


 手を振りながら走ってきたのはラプトル隊の中でも親しくしているピローだ。相変わらず髪の毛は寝癖でモシャモシャしている。


「わたし かえった」


「お帰りなさいス。それにしても何でギィはドラゴンの仮装してるんスか?」


 何と残念なことにギィは仮装と間違えられていた。こんなに格好良くなったのに。

 レオノールが目で合図すると、ギィは自慢げに翼をバサバサと動かした。


「え!?ギィだよな?」

「何で翼があるんだ!」

「角もあるぞ!」


 わらわらと集まってきた隊員の想像通りの反応に、レオノールは教えてあげる。


「ぎぃ わたしのけんぞく なった」


「何か分からんけどスゲェ!」

「進化か!?進化なのか!?」

「まさか俺のリリも飛べるようになるのか!?」


 レオノールとギィはあっという間にラプトル隊員に囲まれたが、彼らは一定以上近付いて来ない。遠くの木の影からこちらを凝視しているアークバルトに気付いたので。


「俺のリリもドラゴンになれますか?」


 そう聞いてきたのはキリンヌだ。お尻をチラリと見たらちゃんとくっついているので、リリが守ったのだろう、とレオノールは安心する。


「りり、わたしの けんぞくなる?」


「クルクル」


 その答えにレオノールはふふっと笑ってしまった。何故なら……


「りり きりんぬの めんどうみなきゃ いけないから けんぞく なれないって」


 リリはレオノールより家族をとったのだ。その事実が何故か嬉しかった。

 

「リリー!!」


 涙で顔をグショグショにしながら抱きついてくるキリンヌを、リリはしょうがないわね、とペロリと舐める。


「俺のラプトルにも聞いてください!」

「俺も!」

「自分も!」


 相変わらずのラプトル愛に、レオノールは自分が戻ってきたのだと実感できた。聞くまでもない質問をレオノールが問えば、ラプトルは一斉にクルルッ!と囀った。


「ほかのみんなも そう」


 野太い歓声が上がり、全員が相棒のラプトルを抱きしめる。一部尻尾で叩かれたり、足蹴にされたりしているが、それもまた愛なのだろう。たぶん。


「レオノール様がいらっしゃると賑やかですなぁ」


 自分のラプトルと寄り添いながら、苦笑する隊長のエルマーの声が青空へと吸い込まれていった。



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