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金の獅子と銀の竜  作者: じゃっすん
ガザール古代遺跡
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怒られる

 レオノールとシルヴァは床に正座していた。

 目の前で腕を組んで佇むのは怒れる大魔神ロイだ。残念ながらレオノールの手土産作戦は不発に終わり、アークバルトは手出し無用の言葉に部屋の隅で置物になっている。


「なるほど、私に嘘を付いて遺跡に行ったのだな。それがどれだけ危険な行為か分かっているのか?遺跡に潜る冒険者が年間どれだけ死亡していると思っている」


「「ごめんなさい」」


 2人は素直に謝る。

 レオノールは自分の力を過信してシルヴァを危険な目に合わせてしまったのだ。返す言葉もない。


「おい、俺がいるんだから危険な目に合うわけねぇだろ」


 我慢の限界がきたアークバルトが口を挟むが、今回はロイも譲らない。


「貴殿もいったい何を考えているのだ!子どもを遺跡に連れて行くなど、大人としてやってはならない行為だ!」


「俺が守れば関係ねぇだろ」


「良いか?傷は何も体の傷だけではないのだ。遺跡には目を覆いたくような悲惨な場所もある。それを子どもたちに見せるというのか?まだたった6歳の子どもに!!」


 さすがにアークバルトも反論出来なかった。現に今回レオノールは、心の傷をさらけ出すことになったのだから。


「遺跡に行くのは成人してからだ。約束しなさい」


「わかった。ろい ごめん」

「分かりました。心配かけてごめんなさい」


 素直に謝る2人をロイは両腕で抱きしめる。


「お前たちが無事で良かった」


 シルヴァはその言葉にポロポロと涙を流し、レオノールも心がポカポカしてロイを蔓でギュッと抱きしめる。


「わたし きょうから ろいぱぱって よんでいい?」


「だ、ダメだよ!父上は俺の父上なんだから!」


「そうだぞ!お前のパパは俺だけだ!」


 2人の強固な反対にあってレオノールはロイぱぱ呼びを断念した。






「しかし我が国にそんな危険な遺跡があるとは。他の遺跡の位置はどうなっている?」


「ここと、ここと、ここと、ここ」


 広げられた地図にレオノールが次々と指差していく。


「け、結構あるのだな。建国祭も近いというのに」


 建国祭まであと2ヶ月。

 全部調べるとなれば到底間に合わないが、せめて出入り口だけでも封鎖する必要がある。間違っても新人類のような怪物を外に出すわけにはいかない。

 増え続ける仕事にロイは天を仰いだ。ただでさえ貴族の動きがきな臭いというのに。


「わたし ぱぱ かしだす。こんかいの おわび」


「それは助かるが……」


 本当にいいの?とロイがアークバルトを見れば絶望顔だ。勝手に貸し出されたアークバルトはレオノールに縋り付く。


「レオノール!考え直してくれ!」


「ぱぱ すこし しごとしたほうが いいと おもう」 


 レオノールに仕事してない宣言されたアークバルトは必死に言い募る。


「最近、ザギルと仲良しアピールしてるだろ?」


「ほかには?」


「ええと、ほら、龍脈の修復とか金眼の回収とか、あるだろ?」


「りゅうみゃくの しゅうふく、かみの しごと。やって あたりまえ。きんがん かいしゅうしたの わたし」


 そう言われれば、最近もらった玩具(カメラ)で遊んでいるだけの様な気がする。退路を失ったアークバルトが助けを求めてロイを見るが、憐れみのこもった目を返されただけだった。


「ろい ほうしゅう よこす。ぱぱ しごとする」


「贄でなくていいのか?」


「おわびに にえ ひつようない」


 ふむ、と考えたロイは遺跡から出る遺物の利益の4割を提示した。

 冒険者や研究者を動員する際の費用をガザールが全額負担することを考えれば破格だといえる。なにせ、既に金になりそうな遺物が発見されているのだ。アークバルトに損はない。


「いや、利益は要らねえ。それより宝物庫の地下にあった宝珠が欲しい」


「宝珠か……」


 ロイの顔が一気に渋くなる。


「何だ?問題でもあるのか?」


「あれから何度か試したのだが、魔法陣があった場所に行けなくなったのだ」


「もしかしたら魔法陣を完全に破壊した影響かもしれねぇな」


 原因は対になる宝珠をアークバルトが回収したためだが、白々しく別の原因をあげる。ちなみに対の宝珠はアークバルトの腕輪の中だ。

 そうとも知らないロイは「やはりそうか」と残念そうな顔をした。


「だが壊れた遺物を報酬として渡すわけにはいかない」


「人間と俺は価値観が違うんだよ。俺があの宝珠に興味がある、それだけだ」


 ロイの魔力を注いでも反応がなくなったので、見た目はただの水晶だ。色々な実験を行ったが何の反応もないので、ガザールの研究者も早々に匙を投げた。今では研究室を飾るオブジェの1つと成り下がっている。

 それに価値を見出すアークバルトに興味が湧いたロイは、好奇心に負けて尋ねてみる。


「それならば構わないが、あれが何か知っているのか?」


「知ってたら必要ねぇよ。これから調べるんだろうが」


「確かにそうか。これはお願いなのだが、もし分かったら教えてほしい」


「気が向いたらな」


 全く教える気のないアークバルトは適当に答え、それを見ていたレオノールは「おとなって きたない いきものよ」とシルヴァに教えた。

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