表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金の獅子と銀の竜  作者: じゃっすん
龍脈の修復
59/60

アークバルトの謎解き

 レオノールは再び宝物庫へと来ていた。一緒にいるのはロイとアークバルトだ。ザギルとシルヴァは乗り物酔いのため不参加となっている。

 本当はレオノールも参加したくなかった。気分が落ち着いたら洗いましょう、と専属侍女のターナがシルヴァに言っていたからだ。レオノールも出来ればシルヴァを洗いたかった、というか洗うべくそのままターナの後をコッソリ付いて行っていたのだが、アークバルトとロイによって敢え無く捕獲された。


「宝物庫の扉が……」


 ロイが遠い目で破壊された扉を見ていた。焦ったレオノールがそのまま体当りした結果である。

 レオノールはアークバルトの腕から飛び降りると、パンパンと手を2回叩いた。


「お呼びでしょうか。レオノール様」


 空間が揺らぎ、影がその場に現れる。ロイは反射的に剣に手をやったが、そのまま離す。その顔には何故か諦めが浮かんでいた。


「このとびら なおす」


「御意」


 更に追加で2人が現れ、魔法を駆使して扉を直すべく動き出した。


「使いこなしてんな」


「私の城なのだが……」


「はやく いく」


 早く終わればシルヴァを洗えるかもしれない。グイグイ引っ張るレオノールはヒョイっと抱き上げられ、アークバルトにそのまま運ばれて行った。 






「宝物庫の地下にこのような場所が」


 再び出現していた不思議な扉はロイが触れることでピカッと光り、無事消えていった。


「これは……転移魔法か?」


 アークバルトがボソリと呟く。

 レオノールとシルヴァは扉が消えたと思ったようだが実際には違う。宝珠に触れた瞬間別の場所へ転移させられていたのだ。

 後ろにある扉も最初に見たものとは別の扉で、転移魔法陣は対となって存在している。

 そして転移魔法陣は、バレンシアガの核が奪われた時に使われた古代魔法でもある。


「後で回収するか」


 調べれば転移を封じることが出来るかもしれない。

 念のために感覚を広げて場所を確認すれば、ここはガザールにある無人島の洞窟の中のようだ。回収はそう難しくはなさそうだが……宝物庫にある宝珠を持ち出すにはロイの許可が必要になる。既にレオノールが宝を選んでいるので、手に入れるのは難しいかもしれない。


「脅すか、奪うか……いや、コッソリ盗む方が騒ぎにならねぇか?」


 不穏な言葉の羅列は、先に行った二人の耳には届かなかった。


「ぱぱ はやく」


 焦れて呼びに来たレオノールに促されて先に進めば、真っ黒い部屋に出た。認識阻害の古代魔法が掛けられているようだが、アークバルトには通用しない。

 そのまま中に入ると精緻な魔法陣が見える。ただし、レオノールの根っこでズタズタに破壊されているが。

 

「一部に神文字が使われてるな」


「神文字?」


「神が使う言葉だ。それ自体に力が宿っている。まあ、テメェら人間には過ぎた代物だな」


 金の炎が吹き出し、魔法陣を焼いていく。アークバルトの仕業だ。


「ここに くろい どらごんのまかく あった」


「これのことか?」


 アークバルトが腕輪から深い青の魔核が取り出すと、レオノールはコクリと頷いた。漂ってくる美味しそうな匂いに涎をジュルリと飲み込む。


「黒くはないようだが」


「浄化されてんな。バレンシアガが堕ちた影響が眷属にも出たんだろう。色が青いし水竜か」


「そう言えば、昔この辺りには水竜信仰があったと聞く。海の守り神のような存在だったと」


「可能性は高いな。もともと人間に友好的だったのはバレンシアガの方だ。眷属が人間を守っていてもおかしくはねぇ」


「そうなのか?人間を滅ぼそうとしたのがバレンシアガだろう?」 


「バレンシアガは人間との間に子をもうけていた。その子どもが人間に殺されたんだ。だから堕ちた。全て人間のせいでな」


 アークバルトの目はまるで断罪するかの如くロイを映していた。


「人間はな、テメェが思っているより強欲で罪深い生き物だ。道を違えんなよ」


 ポンッと肩の上に置かれた手が、ロイには酷く重く感じた。違えれば殺す、そう忠告された気がして。

 重くなった空気を察知したが、レオノールは全く気にならなかった。頭の中はもう魔核一色だ。


「ぱぱ これたべて いい?」


 レオノールはピッタリと魔核に引っ付いて、期待の眼差しでアークバルトを見る。シルヴァと約束したので許可が必要なのだ。 


「問題ないだろ。いいぞ」


 許しを得たレオノールはシュルリと蔓を巻き付けると吸収していく。ヒュドラほどの満足感はないが、それでもレオノールを満たしていく。やがて全てを喰らい尽くして、ほぅっと息を吐き出した。


「美味かったか?」


「うん。わたし けんぞく つくりかた おぼえた」


 流石はバレンシアガの眷属の魔核だ。デュオ・アムーレに戻ったら早速試してみよう。

 話している内に瞼が重くなり、クァっと欠伸が出た。シルヴァを洗わなきゃ、と思うが体は言うことを聞かず、眠りの波へと攫われていった。


「おやすみ、レオノール」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ