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金の獅子と銀の竜  作者: じゃっすん
友との出会い
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教官レオノール

 レオノールが引き起こした惨事の後、シルヴァは訓練場に通うようになった。レオノールはロイにお説教されかけたが、アークバルト(モンスターペアレント)によって難を逃れた。流石はレオノール至上主義のアークバルトである。


 シルヴァにあまり遊んで貰えなくなったレオノールは帰国の途につく……ことはなく、一緒に訓練場に通っていた。シルヴァが訓練している間は暇なので、アークバルトも一緒だ。

 今日のレオノールの衣装は黒色シャツワンピにゴツいベルト、帽子や眼帯、靴にいたるまで真っ黒だ。バーニャ曰く、教官コスプレらしい。


 レオノールはあの事件依頼、兵たちに一目置かれていた。怖がられるかと思ったが、意外な反応である。流石は細かいことは気にしない獣人族だ。


「あの酸の攻撃はヤバかったっスね。頭から被っちゃって死ぬかと思いました」


「しぬまえに かいしゅうした。だいじょぶ」


「食べられるのが救命措置だったとは……」

「腹の中、結構気持ちよかったよな」

「甘くて美味かった」


「ところで何で酸の攻撃にしたんスか?」


 何気なくされた質問が兵たちの間に波紋を呼んだ。


「さん はく いってた」


 そこで彼らは気付いてしまった。

 自分たちがひどい目に遭った原因が、砂漠に住むワームに似ていると言った魔物マニアの男のせいだという事に。


「お前のせいかァァァ!」

「返せぇぇぇ。俺の腕を返せぇぇぇ!」

「余計なこと言いやがって!」


「ちょ、待て!俺は事実を言ったまでだ!ぐふっ!やめろぉぉぉ!」


 目の前の大乱闘を見学しながら、差し出されたジュースを飲む。液体は一人で飲めるのだ。お菓子や生肉は食べれないのに……不思議である。

 初めて飲んだジュースは甘酸っぱく、悪くない味だ。


「これ なに?」


「気に入ったのか?イーストエンドの果物だ。ジル」


 アークバルトの意を酌んだジルが頷くと、訓練場を出ていった。市場からこの果物が消える日は近いのかもしれない。


「レオノールが来ると訓練場が騒がしいな」


「さわいでるの わたし ちがう」


 ザギルが濡れ衣を着せてこようとするので、レオノールは無罪を主張する。騒ぐ部下たちを冷たい目でみたザギルは、その内の1人のケツを蹴り上げた。


「ひどいッス!」


「黙れ。休憩は終わりだ。訓練に戻れ」


 敬礼して去っていく男たちに手を降っていたレオノールの横に、ザギルは膝をつく。


「今日も頼めるか?」


 そう言って差し出されたのはチョコレートだ。デュオ・アムーレにはないスイーツで、レオノールの一番のお気に入りである。

 賄賂を受け取ったレオノールは、植物を編み込んで色々な種類の魔物を作っていく。もちろん性能も本物と遜色はなく、魔法も使う。まあ、使っているのはレオノールだが。 


「全員構え!始めるぞ!」


 魔物に立ち向かう兵に混じってシルヴァの姿が見える。その手に嵌めているのはガントレット……というよりメリケンサックに近いだろうか。手を守る形状ではなく、相手に打撃を与えるために鋭いトゲが生えている。

 これはシルヴァの趣味ではなく、その怪力に耐えられる剣がなかったためだ。本人も斬るより殴る方が向いている、と言っていたのでこのまま鍛えるつもりだろう。シルヴァは兵になりたいのではなく、大切な人を守りたいだけなのだから、剣に拘る必要はない。


「……あまり人間に入れ込むな。後が辛くなるぞ」


 心配そうにアークバルトがレオノールを覗き込んでくる。その意味をレオノールは理解している。それでも、友達になりたいと思った。一緒にいたいと思った。それに……


「わたし ぱぱ いる。だから だいじょぶ」


 レオノールの側にはアークバルトがいる。シルヴァが居なくなって淋しくて泣いたとしても、その隣には必ずアークバルトがいて、レオノールを抱きしめてくれる。アークバルトの隣こそが自分の帰る場所なのだから。


「そうか、そうだな。お前には俺がいる」


 抱き上げられてチュッチュ、チュッチュとキスされる。


「ぱぱ じゃま。みえない」


 今は戦闘の途中なのだ。負けるわけにはいかない。キラリと緑眼を輝かせながら、レオノールは兵士を蹂躙していく。これも人形遊びをしているようで楽しい。最後に樹で作ったラプトルを合体させてドラゴンにすると、大きな口を開けて兵士たちを飲み込むべく動かした。


「卑怯だぞ〜!」

「ラプトルは合体しない!」

「なんでドラゴンになんだよ!」


 兵士たちのブーイングを聞き流し、次々と飲み込んでいく。


「こっちだシルヴァ!」

「兄上!」


 シルヴァを抱きかかえたザギルが走る。はたから見るとそれは美しい兄弟愛なのだが、実情は違う。


「団長卑怯ですよ!」

「そうだ!そうだ!」

「シルヴァ様!俺と逃げましょう!」


 そう、シルヴァは食べられないのだ。もちろんレオノールの友達特典だ。

 結局、逃げ切ったのはシルヴァとザギルのペアで、それ以外の兵たちは現在ドラゴンのお尻から排出中だ。


「わたし はいせつ おぼえた」


「流石は俺のレオノール!賢いな」 


 えっへんと胸を張ったレオノールは、アークバルトに抱き上げられると、クルクルと回される。ピンと手足を伸ばしてポーズをとると、自然と笑い声がもれた。


「え、あれってウンコだったんだ」


「シルヴァ、皇族たる者言葉遣いに気を付けなさい」


 ウンコ扱いされたくない、と2人は同時に思ったという。 

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