トクメツの生還と戦後処理!
キリト達が転送門から出てきた。
服が汚れたり擦り切れているが深手はない。
キリカさんとカトウも無事のようだ。
キリトが、縛り上げて転がしてある吸血鬼を見て言う。
「おう、忍者野郎!
逃げた奴はふん捕まえたみたいだな!
じゃあ、ぶっ殺すか!」
キリトが腕まくりして刀を抜きかける。
俺はあわててそれを止める。
「待て待て!
アホか、サムライ野郎!
せっかく捕まえたのに殺させるかよ!」
キリトが呆れた顔で言う。
「なに言ってんだ!
吸血鬼なんざ生かしといてどうする!」
「どうするもこうするも、情報を引き出すに決まってんだろ!
苦労して捕まえたのはそのためだ。
こいつは吸血鬼の幹部らしい。
情報を持ってるはずだ」
この吸血鬼はスピード狂の単細胞だが、実力は高い。
吸血鬼の幹部になり上がっているはずた。
オークのダンジョンに潜入して見聞きした限りでは、過酷な条件を満たすだけの実力を持っている。
その実力を身につけるために、沢山の人間が犠牲になったのだ。
犠牲者のことを考えれば、吸血鬼を生かす理由はない。
すぐに殺そうとするキリトの言い分もわかる。
それでも俺はこの男の持つ情報が欲しい!
「なんだぁ?
拷問して情報を引き出すってのか?」
「拷問てお前、物騒だな。
そんなことしなくても情報を引き出すくらい簡単だ」
この吸血鬼は単純だ。
ちょっとカマをかけただけでもいろいろ情報が取れた。
言葉は引き出せなくとも、表情やリアクションは雄弁だ。
この男の目的はボスの魔石を集めること。
いわゆる収穫だ。
ウラドが言う最終段階についてこの男がどこまで理解しているかは、表情からは読めなかった。
だが、御庭なら情報を引き出すくらいわけないだろう。
そういう仕事は専門家に任せればいい。
キリカさんがびしっと俺の顔を指差す。
「そう言うなら、その吸血鬼は貴様に任せようっ!
帰るぞ、キリちゃん、カトウ!」
言うだけ言うと、キリカさんは俺に背を向けて出口へ歩いていく。
カトウが面倒くさそうに手をひらひらさせてキリカさんを追う。
「報告が面倒だし、俺たちは何も見なかったってことで」
「んじゃ、さっさと帰るか!」
キリトが帰ろうとするところを呼び止める。
ダンジョンの中がどうなっていたか聞かないとな。
「その前に確認させてくれ、キリト。
ダンジョンのボスは倒されていたのか?」
「ボスは倒されていたぜ。
もうすぐ崩壊するから、ダンジョンに入るのはやめとけよ」
ボスが倒されればダンジョンは消える。
この領域ももうすぐ普通の空間に戻る。
「てことは吸血鬼たちがボスを倒した後か。
魔石を持っている吸血鬼はいたか?」
「そりゃ知らねーな。
全員斬り捨てたから、持ってたとしても消えているだろ」
俺は足元に転がっている吸血鬼を指差す。
「この吸血鬼は、ここでの用が済んだと言っていた。
中の連中が持っていないのなら、ボスの魔石はこいつが持っているんだろうな」
「そうかもな」
すでに自律分身は縛り上げた男を調べ終えている。
しかし魔石は隠し持っていなかった。
おそらく収納スキルで隠し持っているのだろう。
そうでなければ魔石を外へ持ち出せない。
となると、一人で逃げ出したこの男が持っていると考えられる。
「そうか。
引き留めて悪かったな、キリト。
お疲れ」
「おう。
じゃあな!」
細かいことは公儀隠密に連れ帰ってから調べればいいか。
自律分身に吸血鬼を見張らせて、俺は連絡のために外に出た。




