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【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
六章 章タイトルはおいおいで!

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タイマンは挟み撃ちで!

 吸血鬼がめり込んだ金属棚から身を起こす。

 べこべこと金属を歪ませ、怒りの表情で立ち上がる。


「てめえ……!」

「話せよ。

 お前はここに何しに来たんだ?

 例の収穫か?

 ボスの魔石を集めに来たのか?」


「……!

 てめえ、どこでそれを聞いた!?」

「当たりか?

 集めた魔石を使って、何をするつもりだ?

 最終段階ってのは、ボスを複数集めて殺し合わせることか?」


「てめえ、勝手にベラベラとしゃべりやがって……!

 知るかよ!

 知ってても喋ると思うのか!」


「喋ってくれると助かるんだけどな。

 言っておくけど、お前はもうここから逃げられない。

 奥の連中(キリトたち)が戻ってきたら、生き残る道はなくなるんだ。

 今、俺に話せば命までは取らないと保証する!」


 特異殲滅課に対話など通じない。

 彼らは敵を滅ぼすことを最優先の目標としている。


 俺たち特異対策課は違う。

 人々を守ることが優先であり、手段は問わない。

 吸血鬼だろうと活用する柔軟さがある。


 男は苛立たしげな顔で吐き捨てる。


「ここから逃げられないだと?

 生き残る道がないだと?

 勝った気になって調子に乗ってんじゃねえッ!

 てめえをぶっ殺して逃げるくらい余裕なんだよォ!」

「なら、お前を倒した後ゆっくり話してもらうことにするよ!」


 男が床を蹴り、一瞬にして距離を詰めてくる。

 その勢いで抜き手が突き出される。


 俺は身を捩って躱しながら、刀を振るう。

 しかし【ファストスラッシュ】はまたも躱された。


「しゃあっ!」


 男の逆の手が俺の頭部を狙う。

 鋭く尖った爪が高速で迫る!


「ふうっ!」


 俺は鋭く息を吐き、手を差し込んで防御する。

 【危険察知】と【回避】で攻撃は読めていた。


 だがこれはギリギリ反応できる程度。

 高速で迫る爪を避けることはできない!

 水を纏わせた左手の裏拳で抜き手を受ける!


 しかし俺の腕力では吸血鬼の攻撃を抑えられない。

 手の甲を突きが滑ってくる。


 パワーでもスピードでも負けているのだ。

 もちろん、そんなことはわかっている!


 俺が勝っているのは別のことだ!

 【反発の術】を発動!

 男の腕が大きく外側へ弾かれる!


「なにィ!?」


 ただ弾いただけじゃあないぞ!


 男の腕を吹き飛ばした反動を腕に乗せる。

 拳を硬く握り、硬質化した水で拳を覆う。


「うおりゃあっ!」


 防御動作をそのまま攻撃に変えた拳が顔面に炸裂する!


「ぐえッ!」


 たしかな手応え!


 男がのけ反る。

 折れ砕けた前歯と水しぶきが花火のように散る。


 さらに追撃を入れる!

 頭部へもう一撃!


「インパクトストライク!」

「くうっ!」


 男は体勢を崩しながらも腕でガードする。

 防がれた!


 だが振動は伝わった!

 男の腕がだらりと下がる。


 男はそのまま後ろに倒れ、ドアにぶち当たる。


「ば、バカなッ!

 こんな貧弱な攻撃で……!

 パワーもスピードも俺が上回っているはずだ!」


「戦いに必要なのは、それだけじゃない。

 前にも言っただろ。

 いくら速くてもどうにもならないってな!」


 速さだけで勝てるなら苦労しないんだよ。

 一つの能力に頼っていては、ダンジョンでは生き残れない。


 技術、スキル、格闘能力……。

 どれか一つでは足りない。

 積み重ねて組み合わせてこそ真価を発揮するのだ。


「てめええッ!

 俺のスピードが負けるわけはねえッ!

 ――加速!」


 男の体がブレるように動く。

 俺はとっさに水盾を展開して防御態勢を取る。


 しかし攻撃は来なかった。


 ばん! と大きな音がする。

 それと同時に男の姿が消えた!


 閉じていたドアが全開している!

 逃げる気か!?


「ひひっ!

 別にてめえを倒さなくたっていいんだ。

 ここはいったん退いてやる!

 あとでじっくりぶっ殺してやるから、怯えて暮らすんだな!」


 男は廊下をもう半ばまで走り抜けている。

 視認できないほどの速度は一瞬のことのようだ。

 俺はその背にペットボトルを向ける。


「おいおい。

 逃がさないって言ってんだろ!」


 ペットボトルから高圧の水流が迸る。

 そこから放たれた水が矢のように男の背に迫る。

 しかし男はそれをなんなく躱す。


 水が廊下にぶちまかれる。


「まさか俺が滑って転ぶとでも思ってんのかァ!?」

「いいや、違うね。

 【水刃】――水マキビシの術!」


 水を操作して男の着地点に術をかける。

 水が鋭く尖ったトゲを形成する。


 踏めば足裏を貫くマキビシだ!


「ぐああっ!」


 赤い血が散る。

 だがマキビシが貫いたのは男の足ではない。

 とっさに足を引っ込め、手をついて逃れたのだ。


 トゲは掌を貫通したが、速度は落ちない!

 前転しながら、出口の扉へと突っ込んでいく。


「ひひっ!

 逃げ切った!」


 男が扉をくぐりながら、あざ笑うような顔で振り返る。


「これで俺の勝ち――ぐえっ!」


 男が仰け反って倒れる。

 自律分身が刀の峰でぶん殴ったのだ。


「ナイスだ、(自律)

 言ったろ、逃げられないって!」と俺。

「張ってた甲斐があったな!」と自律分身。


 自律分身は初めから入口を監視していた。

 吸血鬼が恨めしげな顔で俺を見る。


「うぐ……。

 仲間はいないって……」


「その言葉を信じたのか?

 まあ、俺しかいないって言葉は本当なんだけど、理解しなくていいぜ」


 吸血鬼はそのままがくりとくずおれ、意識を失った。

 俺たちはそのまま吸血鬼を縛り上げる。


 捕獲成功だ!

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