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【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
六章 章タイトルはおいおいで!

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スキル付与の火力革命!?

 燃えるような赤い羽根を持つ怪鳥が、こちらへ向かって飛んでくる。

 長い脚が何かを掴んでいる。

 鋭い爪でガッチリと掴まれているのは……ワニか?


 鳥が爪を開いて、捕らえていた獲物を振り捨てる。

 身軽になった怪鳥が翼をはためかせ、ぐんと加速する。


「クワァァッ!」


 そして離れていても聞こえる耳障りな鳴き声を上げた。

 まるで縄張りに入り込んだ俺たちを威嚇しているようだ。


 その声に応えるように、もう一匹の怪鳥が現れる。


「クワッ!」


 少し小柄な個体。

 こちらは(つがい)雌鳥(めんどり)だ。


 接敵までのわずかな時間を使って、分身を次々に生み出してスキルを付与していく。

 スキルを付与すると、素の分身に比べてわずかに時間がかかる。


 だから、瞬時に数体出すような使い方はできない。

 だがこれで十分だ。


 五体の分身に条件を与え、近接攻撃スキルを付与。

 付与したのはすべて【ファストスラッシュ】。

 持たせる武器は刀だ。


 トウコが銃口に力を溜めながら言う。


「刀で、どうやって飛んでる相手を斬るんスか?

 鳥公はどうせ、すぐには降りてこないっス!

 【投擲】のが良くないっスか?」


「分身の投擲じゃ、威力が弱いし、当たるかもわからん!

 まずは地面に降ろさせて、そのあと斬るんだよ!」

「何か考えがあるんですね、ゼンジさん!」


 リンの言葉に、俺は力強く返す。


「もちろんだ!

 一匹は俺が受け持つから、もう一匹は頼むぞ、二人とも!」


「はーい!

 持ってきたお水をここに置いておきますね!」


 リンが足元に水のペットボトルを数本置く。


「空の敵は撃墜王トウコちゃんにお任せっス!」


 トウコがチャージを終え、引き金を絞る。

 同時に雌鳥がクチバシを開く。


「クワァッ!」


 大きく開いたクチバシから炎が吐き出された!

 火の弾が空中に煙の尾を引いて飛ぶ。

 それとすれ違うように、トウコの弾丸が交差し火鳥を襲う。


 火球もまた、トウコを襲う。

 さっとリンが前に出て、腕を突き出して叫ぶ。


「ファイアボールっ!」


 リンの腕から火球が飛び出し、空中で火鳥のそれと激突した。

 両者が拮抗し、空中で破裂する。


 破裂したそれは、鮮やかな花火のように弾けて散る。

 周囲に火の粉が降り注いだ。


 トウコが放った弾丸が火鳥を貫いた。

 だが狙いはわずかにそれ、翼をかすめただけだ。

 赤い羽根がパッと散る。

 わずかに姿勢を崩しながらも雌鳥は健在だ。


 雌鳥は、そのまま滑空してトウコを狙う。

 射撃後の隙でトウコは動けない。


 リンが盾を構えてトウコの前に立った!

 滑空攻撃を防ぐつもりのようだ。


 自律分身は二人を注視し、いつでも術を発動できる状態のようだ。


 俺はそこで、リンたちから視線を外す。

 リンたちのフォローは自律分身に任せて、もう一匹の相手をしなければならない!


 気持ちを切り替え、飛んでくるもう一体に注意を戻す。

 俺の相手は巨体の雄鳥(おんどり)だ。

 口中に炎を蓄えながら突っ込んでくる。


 攻撃パターンは前に戦ったのでわかっている。

 すれ違いざまに炎を浴びせてくるか、掴んで空中に連れ去るつもりだ。


 雄鳥のクチバシが大きく開かれ、チロチロと炎が口からあふれている。

 掴みかかるの攻撃ではなく、炎のブレスか!


 多勢のこちらを警戒して距離を取るつもりだな!


 そうはさせない!

 俺はさらに五体の分身を出し、準備を終えていた。

 最初の分身と合わせて十体の同時操作だ。


 どれだけ分身を出したところで、手が届かなければ意味がない。

 それなら、相手に降りてきてもらえばいいわけだ!


 新たな五体に付与したスキルは【引き寄せの術】!

 この術は検証でコントロールに難があるとわかっている。


 だが発動はできる!

 今は精度や精密さなど必要ない!


 雄鳥が炎を吐こうと接近してくる。

 今にもブレスが来る!


 俺はタイミングを計る。

 まだ遠い!


 【危険察知】と【回避】を頼りに、攻撃範囲から分身を移動させる。

 遠ざけすぎてもうまくいかない。


 ぐんぐんと火鳥が迫ってくる。

 空中で比較するものがないためにわかりにくいが、奴はかなりの巨体だ。

 威圧感から、その体がさらに大きく見える。


 だが、まだだ!

 もう少し引きつけて……!


 そのとき、炎のブレスが放たれる!


「クワアァァ!」

「水盾!」


 俺は準備しておいた水の盾でそれを防ぐ。

 ごうごうと炎を吹き付けられるが、水盾はそれをしっかり防いでいる。


 奴が俺の頭上を飛び越え、上昇に転じようとする。

 ここだ!


「いまだ!

 引っ張れっ!」


 五体の付与分身が、あらかじめ与えておいた命令通りに術を発動する。

 タイミングは完璧だ!


 五体の分身が【引き寄せの術】で雄鳥を捉えた!

 一つ一つの術の威力はそれほどではない。

 コントロールは乱れていて、引き寄せる力も方向も一定しない。


 だが、それでいい!


「キョアアッ!」


 雄鳥の巨体がかしぐ。


 狙っていたのは奴が最も近づくタイミング。

 滑空から上昇へ転じるギリギリのタイミングだ。


 弱い力でも五つ合わせれば十分な力を産む。

 タイミングは合っているのに、かかる力はてんでバラバラ。

 それがむしろ、相手の姿勢を崩すにはちょうどいいのだ!


 バランスを崩した雄鳥が、そのまま地面に激突する。

 乾いた砂煙を上げ、怪鳥が地面を転がって止まる。


「追撃!

 ファストスラッシュだ!」


 立ち上がろうとする雄鳥へ近接攻撃スキルを付与した分身を突撃させる。

 与えた命令はシンプルだ。


 ――敵が攻撃範囲に入ったら【ファストスラッシュ】を放つ。

 ――発動できないときは通常攻撃をする。

 ――味方を攻撃しない。


 回避や移動は条件に加えない。

 位置の調整はマニュアル操縦だ。


 分身は何も考えず、ただただ斬りつけるだけ。

 そしてそれはシンプルに強い。


 分身の振る刀が【ファストスラッシュ】で加速する。

 スピードの乗った刃は、それだけ威力も上がる。


 これまで分身は非力だった。

 ステータス補正や威力を強化するスキルがないために攻撃力が乏しかったのだ。


 だがしかし、スキルを付与した今、その弱点は消えた!


 初手で最速の一撃をとにかく打ち込む!

 防御など考えない先手必勝の一撃!

 相手に確実な痛打を与えられるのだ!


「キョェェ!」


 数度の斬撃を受けつつも、雄鳥が立ち上がる。

 おっと、なかなかタフなやつ!


 雄鳥は翼で刀を防ぎ、分身の一体を蹴り倒す。


 分身が一撃で塵になって消えた。

 それでも残る四体がその隙に斬りつける。

 これは通常攻撃だが、それなりの効果はあった。


 雄鳥が大きく息を吸い、口の中に炎が揺らめく。

 ブレス攻撃の予兆だ。


「クワ……!」

「させるかよ!」


 俺はペットボトルに圧力をかけ、勢いよく【操水】で飛ばす。

 さらに【水刃】を発動させ、槍の形状へ。


 開かれた大口に水の槍が叩き込まれる。


「ガッ……!」


 クチバシをひび割れさせて雄鳥がよろめく。


 そこへさらに分身の追撃が叩き込まれる。

 今度は再使用可能になった【ファストスラッシュ】だ。


 その攻撃で分身のエネルギーが切れたようだ。

 刀を残して分身たちが塵に変わる。


 体中に斬撃を受けた雄鳥が赤い羽根を血で染め、ふらつく。

 そして耐え切れずにどさりと倒れこんだ。


 やったか?

 いや、まだか?


 念のため近づかずに様子を見る。

 動くようなら、分身に命令してもう一度【引き寄せの術】でバランスを崩せるはずだ。


 ナタを抜き、投擲してとどめを刺そうとしたところで、雄鳥が塵化し始めた。

 雄鳥の巨体がさらさらと塵に変わり、乾いた風に乗って散っていった。


「よし、一匹倒したぞ!」


 俺はそう叫び、リンたちの戦闘に注意を向けた。

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― 新着の感想 ―
『とったど~!』 トドメはゼンジ本人だった。 それにしても、水の消費量を考えないといけない点は改善しないとね。
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