滝壺に眠る秘宝を探れ!?
俺は再び意識を集中して【水探知】【岩石探知】の能力を滝壺へと向ける。
滝壺の奥は激しい水泡が混じっていて不鮮明だ。
熱水に手をつけたくないので、水を蛇状に操って滝に触れさせる。
押し流されないように水は硬化する。
硬化した水と滝が接触した状態……俺が触れた状態になる。
先ほどより鮮明に滝壺の様子がわかる。
渦巻く膨大な水の量。
激しい勢いと複雑な水流。
その中に、不自然な形が感じられる。
水を押しのけるように存在する、硬質で人工的な四角い形。
これは箱だ。
当然、宝箱だ。
邪魔をするのは大量の熱水。
絶えず流れ落ちる滝の水量は多く、重い。
スキルレベルを上げた【操水】は湯舟くらいの分量なら一度に操れるが……。
滝には流れ落ちる勢いもある。
重力も敵に回っているのだ。
湯の温度も問題だ。
触れれば火傷を負うほどの温度。
熱水晶のせいで、流れる水は熱湯に近い。
「【防水】を取って飛び込めばいいんじゃないっスか?」
「濡れない効果で、水が避けることを期待するのか?
ふーむ……防水といっても、どの程度の効果かにもよるな。
これまでの経験からして、水をはじく程度の効果だと思うぞ」
体の周囲の水すべてを押しのけるようなパワーはないはず。
「ケチ臭いスキルっスねー」
「いつものことだろ。
スキルレベルを上げれば、やりたいことができるんだろうけどな。
レベル一じゃムリだ」
【防水】はスキルポイントを使ってまで取りたいスキルじゃない。
【検証者】の枠も【水圧】と【操風】で埋まっている。
まだ外したくないしなぁ……。
「んじゃ、【水中行動】っスか?」
「この滝が熱湯じゃなければ、それでいけたかもな。
熱さは防げないから、大ヤケドしちまうわ」
使い道が限られそうなスキルだが、こういう場面では役に立つのかもしれない。
「今あるスキルでやりくりするとなると……【水圧】かな」
「水圧でどーやるんスか?」
「いつもは圧力をかけるほうに使っているんだが、下げるほうに使うんだ。
減圧だよ!」
「んー?
圧力を下げるとどうなるんスか?」
「水の重さは圧力そのものじゃないけど……。
かなり拡大解釈すれば水圧と言えなくもない」
「よくわからないけど、言えなくもないっス!」
水圧は深さに応じて高まる。
上に乗る水が増えるからだ。
流れ落ちる水の重さだって水圧といえる。
これを減じる方向に【水圧】の効果を使う。
水の圧を減らして軽くする。
そこを【操水】で押し上げる。
二つの力を操れば……!
「まあ、やってみるさ!
【操水】プラス【水圧】!」
よし、さっきよりずっと軽い!
いける!
この感覚を忘れないうちに一気にやるぞ!
こういうのは勢いが大切だ!
滝壺の水を押しのけ、さらに上から降りかかる滝の水を押しのけ、押しとどめる。
ぽっかりと空いた水の穴に飛び込む。
水底へ着地。
思ったよりも深い!
宝箱を視認。
罠はないと思うが、分身で開ける。
水を支えるのはそろそろ限界だ!
宝箱の中身をつかみ取り、底を蹴って壁面へ!
この高さはジャンプでは登れない。
だが俺には平地も同然!
【壁走りの術】で壁を駆け上がり、滝壺を脱出。
かといって滝を登ることはできない。
水の流れる先、下流側から飛び出し、空を蹴って川べりに着地する。
背後で分かたれていた湯が閉じる。
トウコが興奮した面持ちで言う。
「おおーっ!
間一髪だったっスね!」
「なーに、まだ余裕はあったぞ!」
ほんのちょっと、あと数秒の余裕だけど!
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