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【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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熱水晶の作動原理を探れ!

熱手榴弾(ねつしゅりゅうだん)は、名前の通り熱を生む効果が主みたいだな」と俺。

「だから爆発力は弱いのか……!」と自律分身。


 俺と自律分身の感想はほぼ同じだ。

 トウコが不思議そうに言う。


「ゴブリンの手榴弾は小石も飛んでくるっスよね?

 あれは何が違うんスか?」

「たしかにそうだな」と俺。


 飛んできた手榴弾をまじまじ見る余裕などない。

 避けたあとに小石が降りかかってきたと思うが……。


 ゴブリンが使う手榴弾とショップで引き換えた『熱水晶の熱手榴弾(しゅりゅうだん)』は別物なのか?

 そうは考えにくいが……。


「それなら、小石も一緒に投げてるんじゃないか?」と自律分身。

「手榴弾に石をくっつけてるんスかね……こんな感じで!」


 トウコが包帯を取り出し、手榴弾にくるくると巻きつけていく。

 拳銃弾を数発、包帯で挟んでいるようだ。


「ほう、即席の破砕(はさい)手榴弾か!

 ふむ、うまくいくといいが……」と俺。

「ダンジョンはなぜか爆発物が使いにくいからな……」と自律分身。


 妙な制限があるのだ。


 ダンジョンでは機械や電池が動作しない。

 これと同様に、銃や爆弾も使えない。


 トウコの銃はスキルだから例外だ。

 ここに実銃を持ち込んでも使えない。


 花火やカンシャク玉くらいまでは火薬が働くんだけど……。


 トウコが白けた顔でため息をつく。


「はー、ケチケチしたルールっスねえ」

「まあ、ファンタジーだからな」


 火薬の発明は比較的早い。

 強力な兵器に変わったのは近代のこと。


 そのせいなのかな。

 弱い火薬は作れても、強力な爆発物は無理なのだ。


「現代の高度な道具は使えない……というルールか」

「熱手榴弾が爆発するのは、熱水晶がファンタジー由来だからだな」


 熱を生み出す水晶による爆発。

 こうしたファンタジーな効果は許されている。


 その爆発を利用したトウコの即席破砕手榴弾なら……。


 と、期待を込めて試してみた。


 結果は……。

 うーん、微妙。


 完全に失敗とまではいかないが……。

 期待外れの威力だな。


「ふーむ。

 燃焼範囲が狭まったようだな」

一応(いちおー)タマは飛び散ったんスけどねー。

 んー、威力がイマイチっス!」


 弾丸を使ったが、これは誘爆しない。

 トウコの弾丸は火にくべても爆発しないからだ。


 これは前に試したことがある。

 あくまでもスキルの銃に込めて撃ち出す代物なのだ。


 破片はちゃんと当たったが、さほどの威力ではなかった。


 俺は首をひねる。


「熱の広がりが弱かったのが気になる。

 もしかしたら、熱が弾丸に吸収されたんじゃないか?」と俺。


「俺もそう考えていた。

 つまり、この手榴弾の特性はあくまでも熱なんだ」と自律分身。


「うぇっ?

 どういうことっスか?」


 俺は思いついたことをトウコに説明していく。


「つまりだな――」


 起爆すると熱が周囲に広がり、近くの物を発火させる。

 熱が広がるときに空気も熱される。

 そのときに空気が膨張して爆発のような余波ができる。


 こんなところか。


「さっきの即席手榴弾だと、巻きつけた弾丸に熱が集まってしまうんだろうな」と俺。


 自律分身が思案顔で言う。


「近くの物に熱が集中するってことか……ふむ。

 そういうことなら……ちょっとこの槍の熱水晶で試してみたい。

 あのあたりに、水を出して固めてくれるか?」と自律分身。


 俺は問い返す。


「どんな形で、どれくらいの量がいるんだ?」


 自律分身の思い付きは俺と近いものだが、まったく同じではない。

 細かい部分は聞かないとわからない。


 自律分身が身振りを交えて説明する。


「ゴブリンくらいのサイズ感の人型だ。

 形は適当でいい」と自律分身。

「ちょいまち……」と俺。


 水袋の水量では足りないので【水生成】を使う。

 少し離れた位置に、ゴブリン水像を作っていく。

 細部にこだわるとコストがかかるのでザツなつくりだ。


「これでいいか」と俺。

「いいぞ。そしてこの槍をすぐ近くに撃ち込む!」と自律分身。


 自律分身が槍を投擲する。

 槍が水像の足元に突き立ち、小さな破裂音を立てる。


 爆風は小さい。

 水像が揺らめくが、強めに固定していたおかげで崩れない。


「うぇっ?

 ぜんぜん効いてない感じっスよ?」


 トウコが首をかしげて水像を指差す。


「俺の仮説通りなら、その水像はアツアツに熱せられているはずだ」


 トウコが水像を指でつつく。


「あっつ!

 熱湯ってほどじゃないけど、火傷しそうなくらいっス!」

「気をつけろよ、トウコ!」


 トウコはさっと指を引っ込めて、指にふうふうと息を吹きかけている。

 俺は薬草丸を取り出して手渡す。


「でも正解だったな!

 近くの物体を熱するのが、熱水晶の効果だ!」と俺。

「やはりな!」と自律分身。


 俺の言葉に自律分身は満足げにうなずいた。

誤字報告ありがとうございます!

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