お披露目! 冷却くノ一装束!
俺は張りついていた天井からひらりと降り立つ。
「おう、おかえり。
学校はどうだった?」
「どうもこうも、消化試合っス」
トウコは荷物を放り出し、つまらなそうに言う。
相変わらず、学校はトウコにとって楽しい場所ではないらしい。
ダンジョン攻略や公儀隠密の仕事があるからといって、普通の生活を捨てるべきではない。
そんな俺の考えはやや古臭いかもしれないが、大切なことだと思う。
そう説得したこともあり、トウコはしぶしぶながら学校へ通っている。
偉いぞ。
「そうか、お疲れ。
ところでいいところに帰ってきたな。
トウコ用の装備を作っておいたんだ!」
「そのゆるキャラみたいな手袋っスか?」
トウコがトカゲ手袋を胡散くさげに見やる。
「これはオマケだよ。
本命はそっち、くノ一装束、冷却バージョンだ!」
忍具展示ラックに掛かっている衣装を指差す。
おっと。
トカゲ手袋で指差しているので、少し滑稽だ。
手袋を脱ぐ。
トウコが薄青色の衣装を見て、喜びの表情を浮かべる。
「おおーっ!?
店長が作ったにしてはさわやかな色っスね!」
「微妙にディスるんじゃない!
ほとんど前の装備と同じだけど、素材は火トカゲの皮を使っている。
防熱性能があるといいんだが、まだ未検証だ」
「へー、そうなんスか」
おや、素材に興味はないか。
なら機能だ。
「前と違うのは背中についているポケットだ。
水袋を入れられるようになっている」
「おーっ!?
って、なんで背中に水を入れるんスか?」
トウコがよくわからないと言いたげな顔で俺を見る。
「そこに氷水を入れるんだよ!
背中がひんやりするし、いつでもチューブから冷たい水が飲めるぞ!」
暑い日も安心!
これは忍具やスキルとは関係ない。
ハイドレーションの便利な使い方だ。
トウコが目を輝かせて服を裏返し、背中についたポケットを確認する。
俺はハイドレーションを手渡す。
これは市販品そのままだ。
「氷枕みたいな感じになるんスね!
これは良さそうっス!」
「じゃ、部屋に戻って氷を満杯に入れるぞ。
スキマに水を入れて、空気を抜けば完成だ!」
「リョーカイっス!」
一度ダンジョンから出て、冷凍庫から氷を取り出す。
ダンジョンにも冷凍庫が欲しいところだな。
【濃霧】で氷を作れないこともないが、手間がかかる。
徒歩数秒で現代とダンジョンを行き来できるんだ。
文明の利器を使えばいい。
背中に氷水ハイドレーションを入れたトウコにたずねる。
「着心地はどうだ?」
「冷たいっス!
これならアツアツ階層も行けそうっス!」
拠点は涼しいので、氷水を背負っていては体が冷えてしまう。
「せっかくだし、ちょっと行ってみるか?
俺も新装備を作ったから試してみたいんだ」
「いいっスね!
じゃ、さっそくゴーゴーっス!」
「今日はリンがいないから、慎重に行くぞ」
「りょ!」
今回も自律分身も出しておく。
自律は手早く身支度を整えていく。
専用バックパックを背負っている。
放水ノズルのついた忍者ハイドレーションシステム一号機だ。
自律は忍法が使えないので、水は飛ばせない。
でもそれでいいのだ。
水を出してもらって、俺が操ればいい。
普通に飲んだり、補充に使ったりできる。
水はいくらあってもいいね。
ついでに自律分身の背中も氷水で冷えるしね。
いいことづくめだ。
さらに忍具一式を身につけて準備完了。
今日は、愛刀は俺が背負っている。
さて、出発だ。
今回は刀と水の両立を目指すぞ!
俺たちは管理コンソールを使って転移した。
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