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【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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トカゲ手袋はファンデルワールス力で!

 引き換えた火トカゲの足をしげしげと眺める。

 これは左前足だな。


 細かなウロコの生えた表側はいいとして、変わっているのは手のひら部分だ。


「滑り止め付きの軍手みたいな……。

 これが火トカゲが壁に張りつく秘訣ってわけだな」


 火トカゲではないが、ヤモリがなぜ窓などに張りつけるのかを調べたことがある。


 ヤモリの足指には細かな剛毛がびっしり生えていて、

 さらに毛の先端は枝分かれして、非常に細かくなっているという。

 この細かい毛が、垂直な壁面の凹凸に入り込むことで、

 力が生じて張りつくことができるのだそうだ。


 この毛のような器官は趾下薄板(しかはくばん)

 張りつく力のことを分子間(ファンデルワールス)(りょく)という。


 原理としては電子や原子や磁場が関係しているらしいが……。

 まあ、細かいことはさておこう!


 つまり、粘着液や爪先を使わずに壁にくっつけるわけだ。

 指で趾下薄板(しかはくばん)を撫でてみる。

 ふむ、滑りにくさを感じるな。


「ほんとに軍手みたいだよな。

 これで手袋を作ったら、グリップ力が高まりそうだ。

 ……トカゲみたいに、壁にも張りつけるかもしれないな」


 しかし、俺には【壁走りの術】や【登攀】がある。

 なんなら【吸着の術】すらある。

 壁登りのプロとは俺のことだ!


 ということで、俺には不要。

 でもリンとトウコの役に立つはず。

 断崖エリアを登るときに便利そうだからな。


 忍具作成によれば、特殊な付与効果はつけられない。

 つまり、このアイテムにスキル的な接着能力はないわけだ。


 こだわらず、さくっと手袋を作ってみよう。

 ほぼ素材をそのまま使ったトカゲ手袋だ。

 壁に登ることを考えて、脱げないようベルトでしっかり固定できるようにしておく。


 壁登り道具は忍具だよね!

 トカゲも忍者っぽいしな!


「いざ――忍具作成!」


 これもすんなり完成!

 今日はクラフトが捗るぜ!


 試着して壁に手を当てて……。


「おっ?」


 なかなかのフィット感。

 壁のでっぱりを軽い力でつかめる。


 これがファンデルワールス力!

 ファンデルワールスパワーだ!

 強そう!


 ロッククライミングが捗りそうだ。

 モノリスでさらに『火トカゲの足』をいくつか引き換える。


 出てくる足は一本で、部位はランダム。

 火トカゲのガチャだ。


 三個目で右腕が出た。

 他には、左腕がかぶって、右足が出た。

 こうなると左足も欲しくなるが……まあ、今はいいだろう。


 右手袋を作って嵌めてみる。


 武器を抜いて素振りしてみる。

 ふむ、違和感はない。


 軽い力でグリップできるので、武器がすっぽ抜ける心配がなくなる。

 これは結構便利だ。


「投擲は……むむ」


 棒手裏剣を投げようとすると、指に引っかかってうまくいかない。

 微妙な力加減が狂い、手裏剣は狙いを逸れてしまった。


 クナイやナタでも同じ結果だ。

 手を離すタイミングや角度を調整すれば何とかなりそうだが……。


 まあ、練習しても仕方がない。

 これは壁を登るための専用アイテムだと割り切ろう。


「せっかくだから、壁を登る練習をしておくか」


 拠点の壁の突起に手を添え、腕に力を込めて登る。

 スキルを使わなくとも、簡単に登れるぞ!


 わずかな壁の突起に手をかけて、すいすいと壁を登る。

 なんなら天井も行けそうだ。


 さすがに足パーツがないとかなりムズい!

 腹筋や背筋に効くぜ!


「ただまーっス!

 ん、なにしてんスか、店長?」


 おっと、天井に張りついてプルプルしているところを見られてしまった。

 何事もなかったように、俺は華麗に天井を離れた。

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