完成! 圧力感知式の放水グローブ!
圧力感知式の放水グローブをイメージして術を発動しようとする。
しかし、忍具作成君からの反応は鈍い。
むむ、どうしたんだ?
なにやら不満そうな様子。
これは機械じゃないかって?
いやいや、そんな大層なものじゃない。
素材は金属や樹脂、ゴムなどを使っている。
たしかに和風ではないし、忍者テイストからは遠い。
でも、簡単なパーツの組み合わせだ。
高度な歯車や電子部品は使っていない。
電力や動力で動くわけじゃないし。
なになに?
弁が技術的に高度すぎないかって?
大丈夫だ。問題ない!
たしかに近代的な弁が発展したのは蒸気機関の時代だ。
しかし基本的な構造は昔から、古代ローマの時点で存在していた。
安全弁や逃がし弁は……。
ムリ?
うーん。
たしかにかなり近代の技術かもしれないな。
昔の忍者だったら、どう工夫するだろう。
水芸の場合は竹筒や油紙でなんとかしていたらしい。
水芸の演者は忍者じゃない?
忍者は芸人を装って旅をしたりしていたし、似たようなものだ。
水芸だってやったかもしれない。
忍者はよく、カラクリ仕掛けやトンデモ発明品を作るだろう?
そういう謎技術で、なんとかなるんじゃないか?
デカいボンベやタンクを背負った忍者はマンガでよく見るよな。
現実忍者はさておき、創作忍者では定番だ。
水使いや氷使い、あるいは毒使いだ。
たいていタンクが弱点で、壊されて負けるんだが……。
おっと、脱線した。
科学技術がダメなら、こうしたトンデモ発明品の方向でもいいぞ。
摩訶不思議な理屈で動作する忍法はざらにある。
創作忍者が使う道具だって忍具に違いない。
現実的な忍者道具だけに限定されないはずだ!
忍法はファンタジー!
忍具は不思議装置!
可能性は無限大だ、そうだろう!?
用意した品が科学文明の発明品だというなら、使わなくても構わない!
そこは任せるので、うまいこと頼む!
なんなら、ここにある高度な弁を参考にしてもいいぞ!
手本があるなら簡単だね!
これを不思議忍具として再現すればいい!
任せたぞ、忍具作成君!
できる!
君ならできるぞ!
期待をこめて待つ。
お、術が発動する手ごたえアリ!
材料と魔石が光を放ち始める。
来た来た!
そうかそうか、やってくれるか!
さすが相棒、こころの友よ!
光が収束し、新たな装備品が完成した!
圧力感知式の放水グローブだ!
左手パーツのみで、右手用はない。
左右非対称になってしまうが、かまうまい。
右手で刀、左手で水。
これでいこう!
「じゃあ、さっそく嵌めてみるか!」
いそいそと手袋を身につける。
手袋といっても、籠手のようにある程度の硬さがある。
あまり柔らかいと水圧で形が崩れてしまうからな。
サイズは当然、ぴったりだ。
未来忍者風ボディースーツとの兼ね合いも悪くない。
背中の水袋から伸びた薄い平型チューブを腕に接続して水を送る。
チューブは一部露出しているが、邪魔ではない。
腕をグリグリと動かしてみる。
よし、大丈夫だ。
突っ張るところはない。
水の出口は、手のひらの付け根の手首側にある。
暗殺用のリストブレードが飛び出しそうな感じだ。
手の甲側にも出口を作ろうと思ったが、やめておいた。
複数系統にすると複雑になってしまう。
そういうのは後でやろう。
少しずつ機能を足していけばいい。
まずは動くものを作る!
そして試す!
改善はそれからだ!
さて、さっそく今回の目玉機能を試していこう!
水圧で弁が働いて水が出る仕組み。
スイッチ要らずで、ノーハンドでオンオフできるのだ。
安全弁や逃し弁の応用……になっているはずだ。
このあたり、細かい部分は忍具作成君に任せたからな。
「さっそく試し撃ちだ!
【操水】で圧力をかけて……こいっ!」
チューブに水圧がかかり、緊張が高まる。
俺は手を壁に向けて構え、狙いを定める。
一定の圧力を超えたところで、弁が作動!
水がほとばしり出る!
圧力をかけたこともあって、悪くない勢いだ!
これなら放水ノズルなしでも十分だな!
できるじゃないか、忍具作成君!
限界に挑戦したな!
しばらく、これで試してみよう。
放水グローブを試して問題なければ、全身に水を通してみるのもいい。
どこからでも水が出せる水芸スーツだ!
キワモノ路線に近づいている気がする。
俺は正統派のスタイリッシュ忍者を目指していたはず……。
ま、まあ大丈夫。
方向性は間違っていないはずだ!




