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【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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今日は水の日!

 宝箱を回収し、罠を避け、迷宮階層を駆け抜ける。

 そうして一気に十階のボス部屋までたどり着いた。


 今はボス部屋前で休憩している。

 リンが楽しげに言う。


水蛇(みずへび)さんは便利ですねー!

 おかげでスイスイ進めました!」

「罠探しローラーを持ってこなくていいのは楽だな。

 荷物が減るのは大助かりだ」


 と言っても、ローラーは今後も使う機会がある。

 自律分身が罠のある階層を攻略するときだ。


 トゲ罠がある階層ではマークをつけた安全な床だけを踏んで進む。

 これは少し窮屈だ。

 うっかり罠を踏む心配をしながら進まなければならない。


 今回、水蛇で新たな罠を確認できた。

 もちろん蓄光塗料でマーキングしておいた。

 これで自律分身が低階層を周回するとき、楽になるぞ。


「やっぱりクモには飛び道具が効く。

 巣に近づかなければ駆除は簡単だよな」

「クモさんはよく燃えるので、戦いやすいです。

 見た目は苦手ですけど……」


 道中のザコクモを相手に水忍法を試した。

 クモは柔らかく、【水刃】がよく効く。


 巣を張って待ち受けるクモと、遠距離攻撃の相性は抜群。

 ボス相手にも有効だろう。


「ボス戦だし、念には念を入れよう」


 今日はトウコがいないことだし、自律分身を出しておく。


「――自律分身の術!」

「よう、俺!」


 と、現れた自律分身が片手を上げて言う。


 俺は愛刀(ルーシー)と、自律分身用のカバンを渡す。

 自律分身は手早く、各種忍具で武装していく。


「よし、準備万端だ」と自律分身。


 使った魔力は【瞑想】で回復した。

 さらに遅効性の魔力回復丸を飲む。


「よし行くぞ!」と俺。

「おう!」と自律分身。

「はいっ!」


 重い大扉を押し開け、ボスエリアへ踏み込む。


 すぐ横にはリン。

 少し後ろから自律分身がついてくる。


 ボス部屋は暗く、闇に沈んでいる。

 【暗視】があっても暗すぎて見えにくい。


 俺は持ってきた蓄光塗料の残りを、ノズルの先端へ注ぎ込む。

 蓄光塗料は水ではないから水忍法の対象にならない。


 直接操れなくても、流れる水で押し流すことはできる!


「――【操水】!」


 背中のタンクからホースへ水を送り、そのままノズルの先端に詰めた蓄光塗料を室内にまき散らす。

 蓄光塗料には充分な光を当ててあり、励起(れいき)状態にある。

 塗料が部屋の床や柱に付着して、わずかな光を放つ。


 この程度の明度でも【暗視】を持つ俺にとっては充分な光源となる。

 さらに道中の壁から拝借してきた松明に火を灯し、ポイポイと部屋に投げ込む。

 これでリンと自律分身の視界も確保できた。


 ボスクモの姿は見えない。

 気配を隠してどこかに潜んでいるのだろう。


 俺は部屋に目を走らせ、姿を探す。

 柱の陰、光の届きにくい天井の暗闇。

 いない。

 隠密状態のクモは簡単には見つからない。


 部屋のそこここに、きらりと光るクモの糸が見つかる。

 この糸にかかれば、こちらの動きが察知される。

 それだけではなく、粘着性を持った糸で動きを鈍らされてしまう。


「じゃあ、焼いちゃいますねー」


 リンはファイアボール、と明るい声で詠唱する。

 そして見つけた糸を次々に焼き払っていく。


 もう対策の分かった相手だ。

 炎がてきめんに効くこともわかっている。


 だが今日は水の日!

 水忍法さんにも活躍の場を!


「コソコソ隠れる相手には……濃霧!」


 まき散らした水から霧が立ち込める。

 この霧は【水探知】によってそのまま索敵センサーになる。


 範囲は広くないが、近づくものがいればわかる。

 リンが糸を焼き、自律分身が周囲を警戒している。


 索敵を続ける。

 どこだ、どこにいる。


 む?

 霧が動く……いや、動かされた。


 俺は霧を通じてその姿をぼんやりと知覚する。

 ボスクモ……大アミグモだ!

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