ダーティ・ゴブリン水とクリーン・リン水!?
ゴブリンチームを撃破し、後続の敵もいない。
「よし、戦闘終了!」
「お水、うまく使えてましたね!」
新装備、ハイドレーションシステムは好調だ。
「ああ、放水はスムーズにできた。
もう少し少ない水量でもゴブリンくらいは倒せそうだな。
タンクの水はまだ半分くらい残っているけど……」
俺はちらりと、床にできた水たまりを見下ろす。
これを吸い取って再利用してもいいが……。
だが俺は眉を寄せた。
「うーん。
この水をタンクに戻すのは抵抗があるなぁ」
ハイドレーションの水は飲み水にもする。
細いチューブとバイトバルブも残してあるのだ。
今更だが、飲み水は別系統にすればよかったな。
まあ、改善はたやすい。
拠点に戻ったら飲み水用に小容量の別のパックを追加すればいいかな。
リンが水たまりの前にしゃがみこむ。
「汚れちゃってますよねー」
「一応、浄水器のアタッチメントも持ってきている。
これは市販品で、川の水だって飲める代物だ。
九十九パーセントの細菌やゴミを除去できるらしいぞ」
「災害のときに便利そうですね!」
「ああ、備えあれば患いなしだ。
でも、今回はそういうことじゃないんだよな。
ゴブリン汁が混じった水をタンクに入れるのは、なんとなくイヤだって話」
すでにゴブリンは塵に変わっている。
それに伴って、血や体液も消えている。
だけどイヤだ!
リンがまじめな顔で、水たまりに手をかざす。
「あ、そういうことなら私が綺麗にしますね!
【食材無毒化】!」
風呂の水もこうして浄水している。
これで不純物や毒が消えて、クリーンな状態になったわけだ。
でもさ、綺麗になっても、ゴブリン水だったという履歴は消えないんだよね。
テーブルの上の虫をティッシュでつぶした後、汚れてなくても手を洗いたくなるじゃない。
そういう気持ち……。
あと、新品の装備ってこともあるし。
などとウダウダ考えてしまう。
いやいや、気持ちを切り替えよう!
今は低階層のテストランだし、水に困っていない。
魔力にも余裕があるから生成してもいい。
だけどこれは訓練だ。
使えるものは使おうじゃないか!
「これで水をリサイクルもできるな!」
【操水】で水を集めて給水ノズルからタンクへそそぐ。
リンが照れた笑みを浮かべる。
「ふふ。
お役に立てたみたいでよかったです!」
【食材】と【水忍法】のコラボが成立した。
あんまり考えていなかったパターンだな。
【水生成】は魔力コストが高いし、こうすれば省エネだ。
リンは魔力が豊富だし、その分回復も早い。
これで補給については問題ないな。
問題があるとしたら、この水は飲みたくないってことだ。
と、考えてみたがその必要はなかった。
【水生成】して直接飲めばいいからな。
簡単だった。
ゴブリン水のせいで頭を悩ませることになったが、あっさり解決したな!




