霧隠れからの暗殺コンボ!
眼前に八匹の獲物。
地の利を得て、狩る側にいると信じている、愚かなゴブリン達。
「ゲヒャヒャ!」
赤ゴブリンが下方へ槍や手榴弾を投げつける。
霧が立ち込める下方で爆発が起きる。
「ヒヒッ!」
その顔には下卑た笑みが浮かび、一方的な攻撃をしかける喜びに歪んでいる。
その油断が命取りになる。
俺は周囲に展開した【濃霧】に意識を集中させる。
濃い霧に視界は白く閉ざされている。
だが俺にはわかる。
敵の位置、体の向き、その全てが。
霧隠れの術。
しかし隠れるだけじゃあない。
包み込んだすべてをさらけ出す探知網だ。
遠くは探知できなくとも、自分の周囲なら探れる。
攻防一体、接近戦向きの能力!
まずは群れから一番離れている、あの個体から始末する!
【隠密】と【消音】の効果を最大に。
俺は【歩法】による滑らかな足運びで、霧の中を移動する。
足音一つ立てず、滑るようにゴブリンの背後へ。
奴は下の様子をうかがうのに夢中で、こちらには全く気づいていない。
好機!
刀を抜き放つ音すら霧が吸い込む。
狙うは、首筋の急所。
――【致命の一撃】
ぷつり、と肉を貫く手応え。
ゴブリンは悲鳴を上げる間もなく、その場で塵へと変わった。
よし、まず一匹。
他のゴブリンたちは、仲間が音もなく消えたことに気づかない。
俺は再び霧の中へと身を溶け込ませる。
次の獲物は、崖下をのぞき込み、槍を手にしている二匹。
霧が、俺の姿を完璧に隠してくれる。
【水探知】が、奴らの息遣いすら伝えてくるかのようだ。
一歩、踏み込む。
すれ違いざまに、一匹の喉を切り裂く。
振り返りざまに、もう一匹の背中から心臓を貫く。
二つの命が同時に霧散した。
魔石が床に落ちる前に、それをつかみ取る。
音もなく、次の獲物へ向かう。
霧を介した知覚と体術。
そして【暗殺】と【致命の一撃】スキル。
これらが組み合わさった時、俺は霧の中に潜む捕食者となる。
後は作業だ。
霧の中で最も効率的なルートを割り出して動く。
影のように動き、刃を届ける。
一匹、また一匹と、ゴブリンの気配が消えていく。
奴らは何が起きているのか気づいてすらいない。
気づくのは自分が死ぬその直前だ。
声を出す間もない。
「ギ……?」
ついに、最後の一匹が異変に気づいた。
仲間たちが誰もいなくなっていることに。
狼狽し、周囲を意味なく見回している。
俺は、そのゴブリンの正面に、ゆっくりと姿を現した。
俺の背後で霧が晴れる。
「ア……ギ、ギギ……!?」
ゴブリンの顔が、恐怖に引きつる。
あるいは驚きかもしれない。
ようやく、敵――俺の存在に気づいたようだ。
奴の手に武器はない。
もう投げてしまった後だ。
腰からナイフを抜こうとするが、遅い。
俺は刀を構え、一気に距離を詰める。
ゴブリンが何かを叫ぼうと口を開く。
だが、その声が音になることはなかった。
俺の一閃が、その命を消し去ったからだ。
俺は空中に生成された魔石をつかみ取り、息を吐く。
「……ふぅ。
掃討完了、だな」
霧の中に動くものはもういない。
霧が完全に晴れ、岩棚に静寂が戻った。
下で待っている二人へ手を振る。
「おーい、終わったぞ!」
すぐに、無事な声が返ってきた。
「おつっス、店長!」
「こちらも大丈夫ですー!」
<経験が一定値に達しました。レベルが上がりました!>
おっ!?
レベルが上がったぞ!
<熟練度が一定値に達しました。スキルレベルが上がりました!>
<【壁走りの術】 3→4>
<【歩法】 3→4>
<【登攀】 1→2>
おおっ!
天の声さんが喋りまくる!
大豊作だ!
ご意見ご感想お気軽に! 「リアクション」も励みになります!




