朗報! 奴がついに独り立ちするぞ!
レベルが上がった。
さらに熟練度でスキルレベルも上がる。
<熟練度が一定値に達しました。スキルレベルが上がりました!>
<【壁走りの術】 3→4>
<【歩法】 3→4>
<【登攀】 1→2>
足場の悪い中、俺を支えてくれた移動系スキルの数々!
道中でも使いこんできたからな!
さらにアナウンスが続く。
まだ上がるのか!?
<【勤勉】 1→2>
「勤勉、きたーっ!?」
待ってたぜ!
勤勉さんがついに成長したぞ!
【検証者】にセットしてから、どれほど経ったことか!
これはボス討伐報酬で得た特別なスキルだ。
スキル効果は、取得経験値とスキル熟練度への補正。
つまり成長を補佐する能力。
意識して使うわけじゃなく、常時発動している。
だから、成長しているという手ごたえがない。
働いているのに、普段は忘れられている縁の下の力持ちのような存在。
ちゃんと熟練度が貯まっているか不安だった。
でも、しっかり成長してくれた!
熟練度はちゃんと貯まっていたらしい!
特殊なスキルである【勤勉】自身にも、その成長効果が適用されたのかもしれないな!
いやあ、よかったよかった!
このスキルは俺と共に勤勉に働いてきた。
それが報われたと言えよう!
スキルレベルが二になったので検証者枠から外してしまおう。
これで普通のスキルとして運用できる!
もちろん、枠から外しても消えたりしない。
熟練度でレベルアップしたスキルを枠から外しても、スキルが残ることは別のスキルで確認したからな。
ちょいと不安だが……。
まあ、大丈夫だろう。
今こそ【勤勉】の独り立ちのとき!
俺は緊張した指先でウィンドウを操作する。
ぽちっと。
検証者枠から【勤勉】を外し、改めてステータスを確認。
……よし!
ちゃんと残った!
これで【勤勉】はスキルレベル一だ!
さらに、スキルポイントで成長できたりして……。
む……これは無理か。
やはり特殊なスキル扱い!
変則的な取得方法になっても、特別なスキルとして扱われているのだ。
スキルポイントを振っての成長はできない。
ボス討伐報酬のスキルは、基本的にボス討伐報酬でしかスキルレベルが上がらない。
ということは、ボス討伐報酬で成長させられるはずだ。
次は【検証者】の枠より【勤勉】を育てたほうがいいか?
いつも選択を迫られているなぁ、この二つのスキル。
【勤勉】を外したことで【検証者】の枠が空いた。
なんと、二枠空いているぞ!
これを無駄にするのはもったいない!
いろいろ検証したいものだ!
【風忍法】に手を付けるのもいいな。
未取得の【水忍法】を試すのもいい。
シナジー効果が期待できそうな術がいくつかあるんだよな。
うーん、可能性がありすぎて迷ってしまう!
そんなことを考えながら、岩壁を駆け下りる。
二人のいる場所に合流する。
リンが俺の顔を見つめ、なにかに気づいたような顔をする。
「おつかれさまです、ゼンジさん!
……あれ、何かいいことあったんですかー?」
「お、わかるか?」
トウコが俺の顔を指差す。
む?
ゴミでもついてるのか?
「店長、ニヤニヤしてるからバレバレっス!」
「ああ、そういうことか」
顔に出ていたらしい。
ま、隠してもしょうがない。
嬉しいことは分かち合えばいい!
「今の戦闘でレベルが上がってな。
その上ついに、熟練度で【勤勉】が上がったんだ!」
リンが嬉しそうに顔をほころばせる。
「わあっ!
よかったですねー!」
トウコが白い歯を見せて笑い、親指を立てる。
「おめっス!」
「おう、サンキュー。
ってわけで、今日はもう引き揚げよう。
盾を拾って帰ろうぜ!」
「りょ!」
「はーい!
盾、壊れてないといいなぁ……」
リンは心配そうな表情で崖下に視線を送った。
特に問題なく登ってきた岩壁をくだることができた。
途中で盾も見つかった。
少し傷んでしまったようだ。
だが問題ない。
「ふう、これで大丈夫です!」
盾は、リンの【修復】ですぐにピカピカになった。
便利なものだ。
「じゃあ、さくっと帰るぞ!」
「店長、閉店前のバイト君みたいになってるっスよー」
いるよな、早く帰りたいモードでソワソワし始める奴!
「まあ、俺は閉店後も仕事があって帰れなかったけど!」
「ドンマイっス!」
って、そんなこと思い出してどうする!
やや足早に転移モノリスへ戻り、拠点へ帰還した。
今日の探索は終わり!
さあ、スキル振りタイムだ!




