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【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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クローゼットダンジョン・二十二階層!

 自律分身が戻ってきた。

 偵察の結果を聞いた限り、二十一階と大差ないという。


 術を解除して意識のフィードバックを受ける。


 ふむふむ。

 たしかに大きな違いはない。

 洞窟で、暑くて、ゴブリンやトカゲが出る。


 自律分身が進んだルートは行き止まりだったようだ。

 熱水の川はなかった。


 途中で赤ゴブリンと遭遇して、これを倒している。

 スキルのない自律分身は、体術や剣技だけで戦っている。


 もちろん俺もスキルなしで同じことができる。

 だけど、心構えだけは違う。


 自律分身は死んでも俺の意識に戻るだけ。

 つまり死を恐れず大胆に戦えるのだ。


 俺は安全マージンを十分に取って、被弾を避けて戦う。

 この違いが大きい。


 俺は階段を出て、進む方向を決める。


「さて、出発だ。

 自律分身がチェックしたルートは行き止まりだったから、別ルートを進むぞ!」


 自律分身が進んだルートは手元の地図に書き込んである。

 二人が元気よく返事を返す。


「はーい!」

「リョーカイっス!」


 休憩のおかげで、俺の魔力はほぼ回復している。

 まだ全回復ではないが、まあ問題なかろう。


 盾を構えたリンを先頭に、俺、トウコが続く。

 このルートには川や水溜りがない。


 リンが暗がりを見通そうとしているのか、目を細めている。


「うーん。

 小さな脇道が多いですねー」


 索敵する場所が多くて大変かもな。


「ひとまず、広い道をこのまま進むぞ」


 脇道のほとんどはすぐに行き止まりだ。

 いちいち進んでいてはキリがない。

 まずは太い道を進む。


「さっきの階と比べたら、暑さがマシっスね」

「湿度が低いんだろうな」


 そんな話をしながら、洞窟を進んでいく。


 前方に水蛇を出し、床を調べる。

 洞窟階層に罠はないと思うが、念のため。

 【操水】と【水探知】の練習でもある。


 別の体をもう一つ操るような感覚。

 分身の操作に通じるものがある。

 それでも人間の形と流体ではかなり勝手が違う。

 その差を埋めるためには、練習あるのみだ。


 トウコが耳をそばだて、鋭く小声で言う。


「ゴブリンの声がするっス!

 あっち!」


 トウコが前方を指さすが、見える範囲にゴブリンの姿はない。

 俺の耳にもゴブリンの声が届いた。

 だが、反響して位置が掴みにくい。


 リンが言う。


「脇道から来ます!

 もうすぐ出てきますよ!」

「りょっ!

 チャージ中っス!」


 トウコが構える銃が光を蓄え始める。

 そこへ、二匹の赤ゴブリンが現れた。


「アギッ!?」

「ギギッ!」


 先頭のゴブリンがこちらを指差し、警告するような声を上げる。

 それを合図に、戦闘が始まる。


 トウコが引き金を引く。

 俺も負けじとナタを投擲。


「チャージショットーっ!」

「ていっ!」


 チャージショットが放たれ、そのゴブリンを打ち抜く。

 ナタが二匹目の肩口に突き立ち、よろめかせる。


「ファイアラァーンスっ!」


 よろけたゴブリンをかすめるように火槍が飛ぶ。

 炎の槍はゴブリンを炙り、さらに背後へ。


 そして横道から顔を出したゴブリンに命中して燃え上がらせる。

 ゴブリンが体をばたつかせ、悲鳴を上げる。


「アギャァァ!」

「ウギッ!」


 炎に巻かれたゴブリンの蔭からゴブリンが踊り出てくる。

 そして何か投げようと振りかぶる。

 槍だ!


 しかし遅い!

 水蛇はもう、ゴブリンの足元へと忍び寄っている。

 足を掴んで強く引き、ゴブリンのバランスを崩す。


「グゲッ!?」


 ゴブリンがつんのめる。

 これで投擲は防げた。


 さらにトドメにもう一丁!


「――【水刃】!」


 俺から奴へ伸びる水蛇は、発射台であり滑走レールだ。

 水に沿うように【水刃】が滑っていく。


 刃がゴブリンを貫く!


「ガハッ!」


 ゴブリンは赤い顔を苦痛にゆがませ、吐血。

 そのまま塵になって消える。


 刃を水に戻し、その水で脇道を索敵――

 ――しようと思ったが、感知できる範囲外だ。


 【操水】のほうが【水探知】より効果範囲が広い。


 リンがふうっと息を吐く。


「今のゴブリンさんで最後でしたー!」

「よし、今回は先手を取れたな!」

「もう赤ゴブの相手は余裕(よゆー)っス!」


 先に見つけて攻撃すれば、赤ゴブリンは脆い。

 盾持ちがいないから一気に倒せるのだ。


 投げモノさえ封じれば、なんてことないな!

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