表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1363/1646

偵察待ちは自由研究で! ペットボトルで氷を作ろう!

 俺たちは安全な階段で休憩中だ。

 偵察に出た自律分身の帰りを待っている。

 その間に【瞑想】でできる限り魔力を回復しておこう。 


「あー、暑いっスねー」


 トウコが着物の裾をパタパタさせ、体に風を送る。

 見えちゃうぞ。


「外より階段のほうがマシだが……まあ、暑いな」

「そうですねー」


「ひんやりの術プリーズっス!」

「……濃霧!」


 トウコの服に水をかけ、蒸発させる。

 霧は邪魔なので動かしてどける。


「ひやー。

 生き返るっス!」


 それを、リンがうらやましそうな顔で見ている。


「あの……」

「濃霧!」


 続いてリンにも同じようにする。

 リンが嬉しそうに笑う。


「えへへ、ありがとうございまーす!」


「店長店長!

 これ、限界まで冷やしたらどうなるんスか?」

「どうなるって、答えは簡単だ。

 俺がすごく疲れる、だよ!」


 こんなことばかりしていると魔力が回復しない。

 【瞑想】のおかげで回復する量のほうが多いからいいけど……。


「あ、ゼンジさんはずっと魔力を使っているからお疲れですよね。

 それなら、拠点に帰ってからゆっくり試しますか?」

「まーまー、いいじゃないっスかー。

 どーせ、二号が偵察から戻るのはまだまだ先っス!」


 自律分身から強い危険信号は届いていない。

 ということは、偵察は順調なのだ。

 多少魔力を使ったところで、回復する時間はある。


「じゃ、試してみるか。

 水を限界まで気化させてみよう」


 トウコのタオルに水をかけ、術をかける。

 そのまま【濃霧】をかけ続ける。

 すると、どんどん霧が発生していく。


 しかし、氷はできなかった。

 また、完全に乾かすこともできない。


「ふーむ。

 【操水】と同じで、布にしみこんだ水はうまく操れないんだな」

「でもかなりひんやりしたっス!」


 実験の結果が出たな。

 俺が疲れてトウコが喜ぶ!


 リンが俺に微笑みかける。


「お洗濯に便利ですよ!

 干す前に使えば、すぐ乾きそうですね!」

「脱水の仕上げみたいなもんだな」


 いいように解釈すれば便利だ。

 この術だけでは生乾きになるってことだけどね。


「布にしみ込ませた状態だと生乾きまでで、氷はできなかったが……。

 ペットボトルの水ならどうだ?

 濃霧……!」


 少しずつ霧に変わっていき、だんだん水位が減っていく。

 すべての水を一瞬で蒸発させることはできない。


「お、かなり冷たくなってきたな。

 さらに続けてみるぞ!」


 ペットボトルを持つ手が冷えてくる。

 水が固まり、氷ができてきた!


 ペットボトルを左右に振る。

 底にできた氷がガラガラと音を立てる。


「ふう……。

 なんとか氷ができたな」

「でも霧がすごくて、よく見えないっス!」


 トウコがぶんぶんと手を振って、霧をあおぐ。

 お互いの顔がぼやけるほどの霧が立ち込めている。


「ふふっ。

 トウコちゃん、霧のスキルなんだから、あたりまえだよー」


 まあ【濃霧】は霧を出すのが主な効果だ。

 気化は過程であり、それによる冷却はオマケの効果。


「ふむ。

 思ったよりも水が減ったな」


 トウコが不思議そうに言う。


「いっぱい霧を出したからじゃないっスか?」

「何か、おかしいんですかー?」


 俺は水忍術のためにネットで色々と調べた。

 にわか知識なので、あまり自信はない。


「俺も詳しくはないんだけど……。

 水の比熱(ひねつ)を考えれば、もっと少ない水で氷を作れると思ったんだよ」


 水の比熱は高い。

 少量の水でも、氷を作れるだけの冷却効果が得られたはずだ。


 おそらく、スキルに対して物理法則はちゃんと働いていないんだろう。

 水から霧が発生するプロセスは物理法則に近い。

 だけど奪う熱量は物理法則とは違っている。


 この差は……俺自身の認識か?

 物理法則への理解が足りないのか。

 あるいはスキルの仕様だろうか。


 思い込みやイメージにも限界がある。

 そもそも、そんな物理法則をイメージできないしな。


 逆にファンタジー方向への思い込みにも限度がある。

 爆発的に霧を作って水蒸気爆発!

 とか、そんなことを考えてもうまく発動できない。


 これくらいの氷でも、作れただけで満足しておくべきだろう。

 スキルは融通が利く。

 とはいえ、なんでもアリではない。


「ふーん。

 ま、どーでもいいっスね。

 氷もらいっス!

 はー、ちべたいー」


 トウコがペットボトルを額に押し当てて、ゆるんだ表情を浮かべる。

 即物的な奴だな。


 リンが嬉しそうに言う。


「これで、冷蔵庫が壊れても安心ですね!」

「ダンジョンに冷蔵庫はないし、外だとスキルレベルが下がって使えないけどな」


 マジレスしてもしょうがないけど。


 そこへ自律分身が戻ってきた。


「ん、何してるんだ?」と自律分身。

「濃霧で氷を作ってたんだ」と俺。


 へえ、と感心した表情を浮かべる自律に、リンが微笑みかける。


「おかえりなさい、分身さん。

 偵察はどうでしたかー?」

「まあ、二十一階と大差ないな」と自律分身。


 さて、自律分身から細かい話を聞こう!

 そして、せっかくだからこのまま二十二階もちょっと見ていくぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ