滝の裏側にあったのはアレでした!
滝の裏側へ進む。
湯気を術でどかし、顔に飛沫が降りかからないように腕で覆う。
ごうごうと流れる滝の裏に通路が続いている。
腹に響く轟音に負けじと、俺は声を張り上げる。
「滑らないように、足元に気をつけろよ!」
「りょっ!」
「はーい」
リンが通路の奥へシステムさんを送り込む。
「近くに敵さんは居ません。
進めますよー!」
「よし、奥を探索しよう」
水蛇で床を探ったが罠や穴は見当たらない。
「ちょい狭いっスねー」
「維持がしんどいから、水膜を解除するぞ」
滝の飛沫がかかる部分は乗り越えた。
膜を維持するにも魔力がかかるのだ。
トウコが流れ落ちる水へ手を伸ばし、情けない顔をする。
その手が力なく落ちる。
それを見たリンが笑顔を浮かべ、トウコを慰めた。
「あぁ……あたしのウォータークーラーが……」
「トウコちゃん、我慢しようねー」
高さも横幅も狭い。
それでも立って歩ける程度の広さはある。
暗くはない。
壁や天井から張り出している熱水晶のおかげだ。
リンを先頭にして滝の轟音を背にして進む。
さほど歩く必要はなかった。
「お、下り階段か。
あっさり見つかったな」
次の階層への階段だ。
このフロアの探索はまだ途中だ。
地図はまだまだ埋まっていない。
かなり早く辿りつけたな。
「ここは暑いんで、さっさと進みたいっス!」
「なら、とりあえず階段に入ろうか。
熱水晶に触らないように気をつけてくれ」
「わかってるっスよー」
熱水晶を破壊してしまうと、周囲に熱がまき散らされる。
この狭い空間では逃げ場がない。
いっそ離れて破壊してしまうか!?
最低限の明かりだけ残せばいい。
「んじゃ、邪魔なものは壊してしまおう」
「それなら、あたしの出番っスね!」
トウコが銃を構え、熱水晶を照準する。
俺は手を上げてそれを制する。
「いや、危ないから俺が分身でやるよ。
銃で撃って熱の余波を食らうと困るからな。
さ、階段に入るぞ。
奥へ進むんだ」
「リョーカイっス!」
「はい。
十分に離れましょう!」
分身を残し、階段へ進む。
しばらく離れたところで、俺たちの元に熱風が届いた。
判断分身が指示に従い破壊したのだ。
よし、安全に除去できたな!
これで通行に困ることはない。
誘爆して大爆発なんてことにはならなくてよかった。
俺のダンジョンでは、基本的に壁を破壊できない。
だから通路が崩落する心配はない。
「お、ついたな。
二十二階層だ」
階段の外には代わり映えのしない洞窟が広がっている。
ところどころに赤い光が見える。
これは熱水晶だ。
「あんまり変わらないっスね」
「まあ、二十五階までは同じだろ」
「はい、いつも通りですねー」
二十五階にボスがいて、その先は迷宮階層になるはず。
この階層もさっさと片付けて、次へ進もう。
「じゃ、偵察だ。
――自律分身の術!」
「よう、俺!
じゃあ行ってくるぜ!」と自律分身。
準備を済ませ、一人で洞窟に消えて行く自律分身。
その背を見送り、俺は言う。
「んじゃ俺たちはここで休憩だ」
「あたしはまだまだいけるっスよ!
弾も売るほどあるっス!」
【弾薬創造】と【弾薬収納】のおかげか。
トウコはやる気十分なようだ。
「ちょっと休ませろ!
魔力を回復したいんだよ!」
「ゼンジさんはずっとスキルを使っていましたからねー。
ゆっくり休んでください」
体力は問題ない。
魔力はかなり減っている。
【瞑想】しながら、俺は話を振る。
「リン、盾はどうだ?」
「すっごく使いやすいです!
あっ、せっかくだから修復しておきますねー」
リンはそう言うと、いそいそと魔石を取り出して修復を始める。
拠点から持ってきた要らない魔石を使っているようだ。
盾がピカピカと輝く。
リンの笑顔も満足げに輝く。
「便利っスねー」
「トウコちゃんは銃を修理しなくてもいいのかな?」
「たしかに、銃にも修理や収納スキルがあったら便利かもな」
トウコが銃をくるくると回しながら言う。
「あたしの銃は使い捨てっス!
どんどん新しいのを出せばいいんスよ!」
「まあ、すぐ出せるんだからそれでもいいのか」
「どーせ、オバチャすれば壊れるっス!」
【オーバーチャージショット】を使うと、発射時に銃が壊れてしまう。
「壊れたら新しい銃か予備の銃を使うわけだな。
まあ、そんなスタイルもいいだろ。
手をケガしないよう気をつけてくれ」
「リョーカイっス!
まあ、爆発するんで気をつけようがないんスけどね!」
まあね。
どうしようもないよな。
ことが爆発だから、ケガをするリスクは避けられない。
威力は高いが、多用すべきではないかもな。
「爆発と言えば、赤ゴブリンさんの武器ですが……。
受け止めても、盾が燃えちゃって困るんです。
どうしたらいいでしょうか?」
盾にぶつかった衝撃で起爆するようだ。
それなら……。
「もっと意識して【防火】を使ってみたらどうだ?
防ぐ瞬間、燃えないように意識するんだ。
もし火がついても、あわてず消火すればいいし」
「意識的に使うんですね!
やってみまーす!」
燃える効果と防ぐ効果。
矛盾問題だ。
うまく防げれば、安心して戦えるぞ!
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