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【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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気化冷却法と霧の向こうに見えるもの!?

「いざ――濃霧(のうむ)!」


 俺は手をかざし、タオルとヘアバンドの水分を蒸発させていく。

 二人が驚いた顔で言う。


「おおっ!?

 ひんやりするっス!」

「頭がスースーします!」


 俺はにやりと笑って説明する。


「水が蒸発するとき、周囲の熱を奪う!

 これが気化冷却(きかれいきゃく)だ!」


 トウコが俺の言葉にうなずきながら、したり顔で言う。


吸血鬼(きゅーけつき)が使いそうな技っスね!」


 まさにそれだ!

 マンガで見た憧れの技が今この手に!


「ま、俺の術で相手を凍らせるのはムリだけどな!」

「スキルレベルを上げたらできるんでしょうかー?」


 リンの言葉に俺は首を横に傾ける。


「どうだろうな?

 大量の水を一気に気化させれば氷が作れるはずだけど……」


「じゃあスキルレベルを上げちゃえばいいっス!

 もっと涼しくなるっスよ!」


 涼しさ特化ビルドかよ!?

 暑いフロアではいいけど、他の状況で微妙になるだろ!


「まあ、攻撃用の技として使える可能性はあるか……。

 氷を作るくらいならさておき、人体を冷凍するのは、かなりのパワーがいるだろう。

 少なくとも、ちょっと上げたくらいじゃ難しいな」


 四段階か五段階か……。

 レベル次第だろうけどスキルポイントが足りない。


「クール系忍者もいいと思うんスけどねー」


 ずいぶん推してくるね!?

 涼みたいだけだろ!


「ま、考えておくよ。

 他にも取りたい術がいっぱいあるからな」

「そうですよねー。

 私もスキルポイントがぜんぜん足りなくて……。

 あっ、敵さんが来ました!

 ゴブリンさんです!」


 リンがハッと気づいたように、前方を指差す。

 横穴からゴブリンのざわついた声が聞こえてくる。


 先を越されてしまったな。

 俺はまだ敵に気づいていなかった。

 リンの【魔力知覚】のほうが索敵能力が高いのだ。


 【水探知】で敵を探すには工夫が必要だ。

 何しろ敵は水中にはいない。


 暑さ対策ばかりして、そっちまで手が回っていなかった。

 次の機会にチャレンジしてみよう。


「ナイス索敵だ、リン!」

「はいっ!」

「んじゃ、撃ちまくるっス!」


 トウコが銃を構えて不敵な笑みを浮かべる。

 撃ち放題チャンス!


 赤い肌のゴブリン達もこちらに気づき、騒ぎ始めている。



 ゴブリンの一体が投げ槍を構える。

 大きく腕を引き、投げようとする。


「ピアスショットっ!」

「ウギッ!?」


 その肩を銃弾が貫く。

 ゴブリンは槍を取り落とす。


 槍は床に落ちたが、爆発はしなかった。


 別のゴブリンが石のようなものを投擲。


走操水刃(そうそうすいじん)の術!」

「ギィッ!」


 熱水の川の水を(さかのぼ)るように水の刃が走る。

 ゴブリンの腹を切り裂き、塵へと変える。


「ば、爆弾が来ます!

 私の後ろに!」

「おうっ!」


 リンが両手の盾を構える。

 俺はその後ろで身を低くして衝撃に備える。

 トウコはもっと後方へ下がったようだ。


 床に落ちた赤い石が赤熱するような光を発し、だんだんと光が大きくなる。

 破裂音と共に激しい熱が周囲に広がる。


 リンの盾に何かがぶつかる、ぱらぱらという音。

 俺は身を起こす。

 ダメージはない。


 リンは……。


「リン姉、燃えてるっス!」

「あっ!?」


 リンの構えた盾が燃え上がっている!

 体まで燃え移ってはいない。

 だがリンは焦った様子でうろたえている。


「ああっ……!?」


 俺は【水刃】でまき散らした水へ意識を向け、術を発動。


「リン、消火だ!

 ――【濃霧】っ!」


 濃い霧が立ち上り、リンの体を包む。

 盾の炎が小さくなっていく。


「しょ、消火っ!」


 リンの声とともに魔法が発動。

 小さくなっていた炎が、これで完全に鎮火(ちんか)する。


 俺はそれを横目に駆け出し、一気にゴブリンへと距離を詰める。


「チャージショット!」


 トウコの弾丸が俺の横を閃光のように駆け抜け、ゴブリンが倒れる。

 残ったゴブリンは二体。


 ゴブリンがツルハシを振り上げる。

 だが遅い。

 俺は足を止めず、すれ違いざまに首元を刀で一閃。

 続く一振りで、最後のゴブリンの胸を斬り下げる。


 二体のゴブリンがほぼ同時に倒れ、塵に変わる。

 俺は空中に生成された魔石の一つをキャッチし、もう一つを引き寄せる。


 ダブルキル!


 これで最後のはずだ。

 だが、まだいるかもしれない。


 俺は上下左右に目を走らせる。

 敵は見当たらない。


 水中にも、岩壁にもいない。


「これで敵は仕留めたはずだ……!

 そこの横穴を索敵するから、二人は背後と正面の確認を頼む!」


 二人に指示を出しつつ、俺は漂う霧を操る。

 そして散りかけていた霧を一か所に集めていく。


 霧は濃く、より濃密になったところで、それを横穴へ送り込む。

 霧も水の仲間。

 なんとか【水探知】で知覚することができる。

 とはいえ、水に比べると曖昧で、頼りにならないほどふわふわした感覚だ。


 ぼんやりと存在が感じられる程度。

 それでも、横穴に敵がいるかくらいはわかるはずだ。


 横穴は狭くて暗く、折れ曲がっていて奥が見えない。

 ゴブリンたちはここから出てきたのだ。


 すぐ近くだが、視線の通らない未確認地点。

 こんな場所を調べるにはちょうどいい。


 【濃霧】はわずかに霧を移動させられる。

 さらに【操水】を併用して移動の速度を上げる。

 【水探知】で霧を感じることで、操作の精度が高まっているように思う。


 横穴は奥まで続いている。

 人間が通るには少し狭い。

 ゴブリンなら立ったまま通れるかもしれない。


 ひとまず、敵の姿はないな。

 これより奧へ霧を進ませても、感覚が薄れてしまって読み取れない。


「よし、ここは大丈夫そうだ」

「正面も大丈夫ですー」

「うしろもオッケーっス!」


 よし、戦闘終了!

 敵の増援もない!


 少しゴタついたが、なんとか切り抜けた!


 霧を使った索敵も一応できたが……まだ課題があるな。

 もっといい方法を考えよう!

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