新装備の初陣はまさかの結果に……!?
「――出発前に新装備の試着をしてもらいたいんだが、いいか?」
「あっ、もうできたんですね!
ぜひ、試着させてください!」
「じゃあ、肉は俺が焼いておく」と自律分身。
「ありがとうございまーす!」
草原ダンジョンのキッチンでは、炭や薪を使って調理できるようになっている。
火魔法を使わなくても、調理は可能である。
俺は収納から装備を取り出す。
「さて、これが改良した装備だ。
手に取ってみてくれ」
俺はリンに二つの盾を手渡す。
艶消しの銀色に輝くフライパン・トンファー盾。
透明なポリカーボネートにキチン質が練りこまれたフタ・トンファー盾。
それを見たリンは目を輝かせ、頬を紅潮させる。
「わあ……!
試作品の時より、ずっと軽いですね!
それに、取っ手もすごく握りやすいです!」
リンは驚いたように、しかし嬉しそうに盾を構えてみせる。
品評会の時に課題だった持ちにくさやガタつきは完全に解消されている。
「振ってみても、全然ぐらつきません!
すごいです、ゼンジさん!」
「当然だ。
素材から見直した正式採用版だからな」
俺はリンにアタッチメントの脱着方法などを簡単に説明する。
リンは興味深そうに、いちいち大きくうなずいている。
「じゃあ、リン。
テストするから構えてくれ」
「あ、そうですよね、はい!」
リンは盾と俺の顔を見比べる。
新品の装備に傷をつけたくないのかもしれないな。
しかし盾が傷つくのを気にしても仕方がない。
持ち主を守るための品だ。
リンがフタ盾を前にして、二対の盾を構える。
「どうぞー」
「ていっ」
俺は刀を抜き、軽くフタ盾を叩く。
お、手ごたえが軽い。
衝撃が分散していくのが俺にも分かった。
【調理器具・衝撃吸収】が発動したようだ。
盾は無事で、へこみ一つついていない。
「透明で、リン姉の姿もバッチリ見えるっスね!
合格っス!」
トウコによる透明度チェックが入った。
こちらを前に構えれば【モデル】スキルも使える。
少し間を置き、今度はフライパン側を叩く。
きぃん、と澄んだ金属音が響き、刀が弾かれる。
少しふわりとした手ごたえだ。
こちらも問題なし。
リンが盾の表面を確認して、傷が無視できるほど小さいことにほっとした様子を見せる。
「強度も、安心感も、試作品とは比べ物になりません!
これなら、もっと戦えそうですー!」
リンは宝物のように二つの盾を抱きしめた。
その満面の笑みが見れただけで、頑張って作った甲斐があったというものだ。
「おう。
大事に使ってやってくれ。
とはいえ、盾は攻撃を受けてこそ活きる。
だから遠慮せずガンガン使ってくれ!」
リンが大きくうなずき、礼を述べる。
「はいっ!
ありがとうございます!」
トウコが言う。
「それに壊れたら修復すればいいっス!」
「そうだね!
そうだ……これで壊れちゃう心配がなくなったんですねー!
調理器具、取ってよかったなぁー」
リンはしみじみとそう言った。
「んで、玉子焼きはまだっスか?」
「あ、そうだったね!
じゃあさっそく、このフライパンで作らせてもらいますねー!」
リンがフライパンを火にかけ、よく溶いた火鳥の卵を投入する。
新装備の初陣は料理だった!
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