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【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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濃霧百パーセント! 霧隠しの術!

「――さっさと次どうぞっス!」


 俺はうなずき、術の集中に入る。


「うむ。

 濃霧――空気を冷やせ!」


 空気を冷却することで霧を発生させるイメージ。

 結果は同じだが過程が違う。


 温度を操る能力として使おうというのだ。

 これができれば、氷すら操れるだろう。


 だが……霧は発生しなかった。


「難しいな。

 じゃあ、生成した水を蒸発させて……」


 【水生成】で手の平に水をためる。

 その水に【水探知】を向ける。

 そこへ【濃霧】をかけるのだ。


 新たに得た水を知覚する能力で、手のひらの水を感じる。

 そのうえで【濃霧】の操作をかけていく。


 よし、いける!

 水が急速に蒸発して、霧が発生しはじめる。


「あ、うまくいきそうですねー!」


 手のひらの水が減り、水蒸気が立ち上って霧となる。

 まあまあ、うまくいっている。


「即座に霧になるほどじゃないが、かなりの速度だ。

 うまくいったぞ!

 これで暑さ対策ができる!」


「うぇ?

 空気を冷やすのはムリだったんスよね?

 なんで、対策できることになったんスか?」


 トウコが一言発するたび、頭上にハテナマークを増やしていく。

 困惑に染まった表情で、トウコが難しい顔で固まっている。


「そっちじゃなくて、蒸発によって温度を下げれるって話だよ」

「気化熱、ですねー!」


 リンが瞳を輝かせ、感心したようにうなずいている。


「リン、正解!

 水は蒸発するときに周囲の熱を奪うんだ」


 トウコが首をかしげる。


「あれっ?

 蒸発するのは水が沸騰(ふっとー)したときじゃないんスか?」


「それは別の話だ。

 水の中で活発に気化しているから、ぼこぼこと水泡が出る。

 そもそも熱湯から出る湯気(ゆげ)はアツアツだ」


 ちょっと説明が難しいな……。


 水は沸点(ふってん)に達しなくても蒸発する。

 そうじゃなきゃ、洗濯物を干しても乾かない。


 【濃霧】は、沸騰させて蒸発させるわけじゃない。

 さっき冷やすイメージでうまくいかなかったのもこれが理由か。

 温度を操る術じゃあない。

 あくまでも水の状態変化を操っているだけ。

 気化や凝結に限定されるんだろう。


 そのイメージで使えばできるかな?

 ただ、今欲しいのは熱い湯気じゃなく、涼しくなる方法だ。


 俺の手は水を気化させたことでひんやりと冷えている。

 その手をトウコの頬に当てる。


「ほら、冷たいだろ?」


 トウコが驚いて跳びあがる。


「ひやっ!?

 冷たいっス!」

「というわけだ!

 これを使えば、涼しくダンジョンを攻略できるぞ!」


 トウコが目をぐるぐるさせて言う。


「な、なんでっスか!?

 むずかしくて頭が沸騰(フットー)しそーっス!」


 あれ?

 まだ伝わらないのか?


 頭から(けむり)を上げそうな様子のトウコの頭に絞った手拭いを乗せる。

 そして【濃霧】をかける。


「こういうことだ。

 冷たくなっただろ?」


 手拭いから霧が立ち上り、気化によって熱が奪われていく。


「よくわからないけど、ひんやりっス!」


 病気の看病で頭に水タオルを乗せるのは、頭を冷やすためだ。

 水が蒸発することで熱を奪ってひんやりする。


「汗をかいて体温を下げたり、夏場に水をまいたりするだろ?

 あれと同じだ。

 さて、【濃霧】はかなり使えそうだとわかったし、検証は充分だろう。

 のぼせそうだし、俺は先に上がらせてもらうぞ」


 俺は水を生成して頭からかぶる。

 そして、それを蒸発させて霧に変える。

 頭が冷やされ、すっきりと冴えていく感覚。


「あ、そうでしたね。

 私もすぐ上がりまーす!」


 俺は霧をまとわせて立ち上がる。

 下半身を重点的に、しっかりと隠している。


 これぞ、霧隠(きりがく)れ……いや、(きん)隠しの術!


 こうして俺は悠々(ゆうゆう)と湯船から上がったのだった。

没タイトルシリーズ

■やらしき中にも礼儀あり!?

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― 新着の感想 ―
0度の氷から水への融解エネルギーは80cal、100度の水が気化するには539calが必要。(中学生の科学レベル) なので、1ccの水を【濃霧】で気化した時、20度約5ccの水を0度の氷にできるという…
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