噂をすれば水!
新スキルを取得した。
「――まずは一段階で試してみるぞ!」
「やたーっ!
これで水汲み終了っス!
じゃあさっそくどうぞっス!」
トウコが給水パイプの注ぎ口を指差す。
さっそく雑用に使われる新術……。
理由はどうあれ、活躍の機会だ。
【水噴射】のように、しっかりと構えてと。
集中して魔力を手先に集める感覚……!
発動までに時間が必要なタイプか。
だんだんと力が満ちてくるのが分かる。
魔力をはっきり感じられるわけではないので、このあたりはフィーリングだが。
「いざ……!
忍法、水生成!」
腰で構えていた腕を前にばっと突き出す。
掛け声と共に、俺の両手から水が湧き出してくる。
トウコが微妙な顔で俺の顔を見る。
「……うぇ?
店長……ちょろちょろしか出てないっス!」
「ふむ……?
この術はこういう感じなんだな」
手から水が湧き出している。
しかし、なんだこれ。
【水噴射】と比べると、どうにも水量が弱いな。
間欠泉と湧き水くらいの差があるぞ。
「これじゃ、水が溜まらないっス!
さあ、もっとジャブジャブと!」
なにがさあ、だ!
「ぜいたく言うなって!
これでも、かなり魔力を使ってるんだぞ!」
力を込めれば、多少は水の量が増える。
魔力をかけ続ければ、【水噴射】のように水は出続ける。
消費魔力は【水噴射】に近い。
水量が違うのに消費量が同じって……。
これは、無から水を生成しているからか。
ゼロからイチにする能力。
いろんな物理法則を無視している。
ファンタジー忍法だ。
トウコが微妙な顔で言う。
「んー。
ちょっと増えたけど、まだ蛇口の水くらいっスね!
もっとブシャーっと!」
「でえいっ!
無茶言うな……!」
と言いながらも魔力を振り絞って水量を上げる。
蛇口の水を思いきりひねり、全開するイメージ。
出てくるのもそれくらいの水量だ。
む……。
頭が痛くなってきた……。
おお、ヤバいな。
これは魔力欠乏症状!
魔力を使いすぎたんだ。
水を止め、息を深く吸う。
「ふう……。
魔力消費がデカい。
……ちょっと休憩だ」
ふらついた俺をトウコがあわてて支えてくれる。
「えっ?
大丈夫っスか!?」
「少し休めば大丈夫だろう。
ちょっと使いすぎたな」
ふう。
ちょっと無理をしてしまった。
こういうのは安全な拠点じゃないとできないことだ。
限界を知っておかないと、実戦では使えない。
「ゼンジさーん!
トウコちゃーん!
ごはんができましたよー!」
リンの明るい声。
漂ってくるうまそうな匂い。
食欲がわいてきた。
「おう、いま行くよ!」
「やたーっ!
もうお腹ぺこぺこっス!」
俺たちは食卓へと急ぎ、席に着いた。
目の前には湯気を上げる料理が並んでいる。
うまそうだ!




