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世界樹のはやぶさ  作者: 相良義人
第一章
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第四話 再会

こんばんは、作者の吉良義人です。

今日(昨日)の夕方、この作品を数名の方がお気に入り登録をして下さっている事が分かって、少しテンションが上がっています。

やったー!

それでは第四話、どうぞよろしくお願いします。

「……アリア?」


 テナの言葉に反応して、テナに声をかけた少女、アリアはハヤトとテナの前に出てきた。

 その顔は美しく整っており、丁寧に整えられた金の髪、澄んだ大きな碧い瞳、そして品の良さが伺える立ち姿が、ハヤトに薔薇のような華やかさを感じさせていた。

「……ほぅ………」

 アリアの美しさに思わず息を吐いたハヤトに対し、テナはアリアを直視せず、やや視線を落としている。

 そんなテナの様子に構わずに近づいたアリアは、テナに言った。

「こんばんはテナ。またあなたと会えて嬉しいわ」

 そう言ってアリアは、人が見惚れてしまうような美しい笑みで、テナに笑いかける。しかし、テナはそれでもアリアの方を見ようとせず、視線を落としたままだった。

 さすがにテナの様子に異変を感じ取ったハヤトは、テナとアリアの間に体を滑り込ませるようにして、アリアと向かい合う。

「こんばんは。アリアさん、ですね。テナとはどういう関係ですか?」

 そう言ってアリアを睨みつけるハヤトに対し、アリアは、先程までの美しい笑みを消して、不機嫌そうな顔になっている。

「……あなた、誰ですか?」

「僕はハヤト=シラキ。テナとは現在、パーティを組んでいます」

 ハヤトの言葉を聞いた時、アリアは一瞬、驚いたような顔をして、ハヤトの後ろにいるテナの方を見る。そして、少し唇を噛み締めて俯いた。

 そんなアリアの様子に、不思議そうな表情をしたハヤトだったが、表情を元に戻す。

「さて、そろそろ僕の質問にも答えて頂きたい。テナとは、どういう関係ですか?」

 ハヤトの言葉に、アリアはきっ、と表情を引き締め、そして答えた。

「私はアリア=フェルノ。そちらのテナとは、以前、パーティを組んでいました」

「………へぇ?」

 アリアの言葉に、間の抜けた声を上げながらハヤトは、後ろに立っているテナの方を見る。すると、テナはハヤトに小さく頷く。

 どうやら、アリアの言っている事は本当の事らしい。

「……以前、っていう事は、今は組んでいないのですよね?」

 ハヤトの確認するような言葉に、アリアはこくりと頷く。

 さて、次は何を言おうか、と考えているハヤトに、アリアは小さな声で尋ねた。

「……突然で申し訳ないのですが、明日、あなたたちは何処まで行くつもりですか?」

 アリアの唐突な質問に、目を若干、白黒させながらハヤトは答えた。

「……一応、第21層にあるカナレアの街まで行くつもりだけど、実際はどうなるか分からないかな」

 ハヤトの答えを聞いたアリアは、少しの間、目を伏せていたかと思うと、「よしっ」と小さく呟き、そしてハヤトに正面から向き直った。

 そのアリアの瞳からは何やら強い決意のようなものが感じられ、ハヤトは思わず身構えてしまう。

 そんなハヤトに構わず、アリアは二人に言い放った。


「明日のあなたたちの攻略に、私も同行させて頂きます!」


「「…………へ?」」

 アリアの予想外な言葉に、ハヤトとテナは同時に間の抜けた声を上げてしまう。

 ハヤトは、何が何やら分からない、とでも言いたそうな顔をしており、テナは口を小さく開けている。

 二人の頭の中が混乱して、何も言えなくなっているのを良い事に、アリアは矢継ぎ早に言葉を繰り出す。

「というわけで、明日の昼前、此処に私はいますので、ちゃんと来て下さいね」

 そう言ったアリアは、すたすたとテスタの宿屋のあると思われる方へと歩き去っていく。

 「……何だったんだ……?」と小さく言葉をこぼすハヤトだったが、やがてテナと食堂の方へと歩き出そうとする。しかし、

「……戻ってきたよ」

 テナの言葉に、ハヤトは立ち止まり、アリアの来る方向を見る。

 ハヤトたち……いや、ハヤトの前まで来たアリアは、突然、ハヤトの方に顔を寄せてくる。

 アリアの美麗な顔が急接近してきた事、そしてアリアの髪から仄かに香る、花の香りに似たそれが、ハヤトの胸を高鳴らせる。

 テナが「あっ」と何やら驚いたような声を上げているのに対し、ハヤトはギチッと硬直してしまっている。

 しかし、そんなハヤトの胸の高鳴りも、次の瞬間には止められていた。

「……明日、来なかった時は……。分かってますね?」

 恐ろしいほどに迫力に満ちて、もはや脅迫じみているアリアの言葉を聞いたハヤトは、無言でこくこくと頷く。

 ハヤトの返事に満足したアリアは、ハヤトから離れ、先程向かおうとしていた方向へと歩き始めた。

 アリアがもう戻ってこない事を確認したハヤトは、少し残念そうに見えなくもない顔で、テナに言った。

「…………とりあえず、夕食にしようか」

 少し頬を赤らめていたテナの顔が、ハヤトには印象的だった。


     ××××××××××


 テスタの中心近くに位置する、そこそこ大きな食堂。

 世界樹攻略から帰還した冒険者たちが騒いで、活気に溢れているそこの一角に、ハヤトとテナの二人の姿があった。

「………さて、テナ。さっきの奴との関係、詳しく聞かせてくれないか?」

 机に並べられた料理を少しずつ食べながら、ハヤトはテナに尋ねた。

 ハヤトに尋ねられたテナは、ゆっくりと、話し始めた。

「……アリアとはね、エーレンの学園区で会ったのが初めてかな。同じ組にいたのが長かったから、学園を出た後も二人でパーティを組んで、一緒に世界樹に行っていたの」

 エーレンにある学園区では、冒険者になる事を志望する若者を、冒険者として活動できるように育成する。その過程で一緒に鍛錬してきた者とは、当然、初対面の者よりも息が合う。そのため、冒険者として活動し始める者は、同じ学園区で育った者と組むことが多いのだ。

「結構上手くいっていたんだけど、ある時、アリアが攻略で怪我をしたの。あまり大きな怪我じゃなかったんだけど、その時、私は思ったの。やっぱり二人だけのパーティじゃ、いつか攻略で失敗して、駄目になっちゃうって。だから、私はアリアに提案したの。もう一人、パーティに加えないかって……」

 そこまで言ったテナは、表情を少し曇らせた。

「だけど、アリアは反対したの。その一人のせいで、パーティの連携が崩れるって言って……」

 そこまで聞いたハヤトは、心の中で首を傾げていた。

 確かに、新たなメンバーをパーティに加えると、そのパーティの連携は多少だが崩れる。だが、それも微々たるものであり、まだ完成していないパーティであれば、無視して良い問題だ。

 エーレンの学園を卒業しているという事は、この位の判断は出来ると考えて良いだろう。だとすると、何か別の理由があるわけだが……。

「……何だろうな……?」

「……? 何が?」

 ハヤトが思わず零してしまった言葉に、テナは不思議そうな顔をする。「あぁ、何でもない」と軽く誤魔化しながら、ハヤトはテナに続きを話すよう、促す。

 明らかに不自然なハヤトの行動に、少しの間、首を傾げていたテナだったが、やがて話を続け始めた。

「それで、私とアリアは口論になって、結局、パーティを解散する事になっちゃったの」

「……なるほど。それで、一人で世界樹を攻略するのは危険だから、僕とパーティを組んだと……」

 ハヤトの言葉に、テナはこくりと頷いた。

 ふ~む、と何やら考えていたハヤトだったが、テナに一つ、尋ねた。

「……そのフェルノが、明日の僕たちの攻略に付いてくるのは、どういうつもりかな?」

「う~ん……。……すみません、私にも良く分からないです」

 テナは申し訳なさそうな顔をして、ハヤトに謝ってくる。

 「いや、構わない」とテナに言いながら、ハヤトは机に並べられていた料理を本格的に食べ始めた。


     ××××××××××


 テスタの宿屋の中。

 何とか二部屋取れたため、テナとハヤトは別々の部屋で眠る事にした。まあ当然の事である。

 明日の攻略の準備を終わったハヤトは、部屋の隅に設置されているベッドに寝転がりながら、心の中でアリアの事を考えていた。

 今日のアリアの立ち振る舞いから想像するに、恐らく貴族の家の出。事実、エーレンの特級区に屋敷を構える貴族の中に、フェルノ家という貴族は存在していたはずだ。

 フェルノ家は、世界樹攻略が始まった頃からずっと冒険者のための道具の製作に協力しており、フェルノ家が中心になって製作した道具は品質が良いと、冒険者たちの中では評判になっている。

 その影響もあって、フェルノ家は貴族の中でもかなり名門の家だ。

 そんな名家の出身であれば、多数の冒険者が自らの地位の向上を目的に、アリアに近づいてくるだろう。世界樹攻略の確実性を求めるのであれば、そうした近づいてくる冒険者の中から優秀な者を引き抜けば良い。

 それが何故、テナと二人でパーティを組んで世界樹攻略をしていたのだろうか。

 お世辞にも、テナの腕前は悪いとは言えないものの、良いとも言えないそれだ。

 だとすると、テナでなければならない理由が存在するという事になる。

 それに、自分たちの攻略に加わりたいと言い出したアリアの真意は、一体何なのか?

 ぐるぐると頭を働かせていたハヤトだったが、やがて大きな溜め息を吐いて、天井をぼんやりと見上げた。

 あくまで、これはテナとアリアの問題であり、自分は今日と同じように過ごしていれば良いのだと、結論を出したからだ。

 ちょうど良い頃合でやって来た眠気に身体を任せて、ハヤトはゆっくりと目を閉じた。

第四話、如何だったでしょうか。

今回は少し短くなっていましたが、楽しんで頂ければ、と思います。

前書きでも書きましたが、数名の方がお気に入り登録をして下さった事に気が付いた作者は、非常にテンションが上がっています。

どうか冷めませんように……!!

では、次回の更新が何時になるのかは未定ですが、楽しみにして頂けると幸いです。

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